【写真:辯松の弁当。まったくの純粋まごう事なき日本の弁当。西洋のかけらも入っていない。強いていえばプラスティックの疑似笹の葉くらいか。右下が生姜と昆布の佃煮で、これが辛くて旨い。御飯一杯はいけそう。左下は生麩。】
台北 故宮博物院
昨日の夜のNHK BS-1の「ワールドニュースアワー」で、新装なった台北の故宮博物院の様子が報じられていた。すっかり模様替えで昔の暗い、古い感じの館内とは大分雰囲気が違っている様子である。随分と昔に1-2度入った記憶があるのだけれど、ほとんど30年ほど昔の話で良く覚えていない。
当時まだ生きていた連れあいの親父からあの後ろの山の中には倉庫があってたっぷりの量のものがしまわれているんだと聞いていた。彼は招かれてその山の中の彼が得意とする分野の所蔵物を鑑定に行ったことがあるのだそうだ。「良い仕事をしてますなぁ」といったかどうかは知らない。あそこの在庫はなにしろ三ヶ月に一回展示物を取り替えても全部を展示するまでには何年もかかるんだと聞いたし、大事な展示でその管理に繊細な技術を要するものについてはレプリカを展示して本物は裏山に保管されているんだという話も聞いた。
なにしろ蒋介石が駆逐艦に山盛りにして中国から持って来ちゃったというのだから、一体全体どれほどはいっているのだろうか。昔訪ねる機会があったのは出張の間のお休みの日だったのだけれども、そんな時だから一緒に行った先輩方もそれほど造詣の深い人たちではなくて、ゆっくり見ることもできなかった。この際、一度はじっくり訪問してみたいなぁという気になる。
火事
昨日の寝しなにどうも周りでウーウーと消防車のサイレンが鳴り、走り回っている雰囲気である。覗いてみるとどうも400m程離れたところに照明が当たっているようなところから煙が上がったのを一瞬見た。なんだか、騒がしかったのである。しかし、今日の出がけに、この辺じゃないかと思うあたりを歩いたんだけれども、見あたらなかったのである。
国立演芸場
恒例の「鹿芝居」にいく。
- 柳亭市朗「金明竹」
- 林家彦丸「饅頭こわい」
- 金原亭世之介「♪山寺のぉ、で形態模写:市川団十郎、中村芝翫、市川猿之助とやってきて最後にお得意の立川談志
- 古今亭菊春 あれ?なにやったんだっけ。
- 林家正雀「湯屋番」、途中でやめといて彦六と勘三郎バージョンで「奴さん」を踊る。正雀は彦六最後の弟子。何たって歌舞伎が好きで好きでしょうがない。こちらがおられないというと「鹿芝居」は始まらない。
- 金原亭馬生「子ほめ」
- 蝶花楼馬楽(どうやらこの人は私と同じ歳)
- 馬楽が前に振っていた通りに二匹の獅子舞を馬治と馬吉がつれて客席をめぐり、ご祝儀をいただく。最後に高座で獅子を脱ぐといつものように中に入っていたのは菊春と世之介。肩で息をする。
中入り後は「仮名手本忠臣蔵七段目 一力茶屋」幕が上がるとお噂通りに義太夫が上座に。「娘義太夫だ!」といってから、訂正。女義太夫だ!なにしろ本物である。太棹もいい音ですなぁ。
- 大星由良之助:金原亭馬生
- 大星力弥:金原亭彦丸
- 斧九太夫:古今亭菊春
- 鷺坂伴内:金原亭世之介
- 幇間馬助:金原亭馬治
- 幇間彦吉:林家馬吉(国立演芸場のチラシでは彦丸と入れ替わっているような気がするんだけれど・・)
- 寺岡平右衛門:蝶花楼馬楽
- おかる:林家正雀
何たって今回は馬楽と正雀の力に負うところ大。しかし、しかしである。ちょっとまともな歌舞伎になり過ぎで、なんで「鹿芝居」でやってんのか、わけわかんなくなっちまうのだ。やっぱり、ここは菊春の登場とともに、「北島三郎かよ!」と思えば「イヤ、よく見ればそのなりは・・・鈴木宗男だよ!」なんてところが面白いのであって、いくら今日も山川静夫が来ているからって(そういやぁ、去年私が鹿芝居を見た日にも山川静夫は来ていたなぁ)、そんなにマジにやってもらってもなぁ・・。どうやら今日の夜の部(金曜日だけは夜の部がある)の入りがいまいち、というか今三くらいらしくてしきりに世之介が「夜の部もどうぞ」と呼びかけるけれど、いくらなんでも昼の部が4時10分に撥ねてから6時の夜の部にくるってぇのはもの好きって位のものである。この種の出し物は多分人生の手練れものでないと、中入り前の出し物に神経がいっていないんだし、中途半端になってしまうので、耐えられないのである。その種の手練れものは夜は家に帰ると決まったものなんだな。金曜日の夜に来るというのは昼に仕事をきちんと抱えていて、それでも見たいという余程の好き者なんである。だから、それほどこの種のものの「好き者」がそれほどこの帝都にはいないと云うことなんである。皆さん真面目な寄席ファンなんであろう。その証拠に「花形演芸会」は結構席に空きがあるという。
「じゃら、じゃら、じゃらとじゃらついてぇ」なんて定番のせりふも正雀がいうと本当に歌舞伎だ。彼はきっと本当は歌舞伎界で女形をやりたかったのだけれども、多分それはかなわないからってんで芝居噺に生かそうと、それなら先代の林家正蔵だてんで弟子入りしたんじゃないだろうか。全く私の勝手な想像である。
さすが世之介の謎解き:お雛様とかけまして、仮名手本忠臣蔵と解く。そのこころは:三段、五段、七段とございます。お見事!
私たちの前、左前方方面はどうやらお仲間のご様子で幹事さんがおられて皆さんの分を一括して取りそろえているらしく、お一人お一人が取り出すチラシにはかがみのご案内がついている。結構な人数のお仲間のご様子。私のおとなりの女性はお一人で来られていて、前座の話から「くすっ!」とお笑いになる。結構なお楽しみのお姿に、あぁ、初心に還らなくちゃな、と反省をした次第。
ぞろぞろ歩く
撥ねてからロビーでご挨拶のご一行様にご挨拶をして、まだ明るいこの時期でもあるし、それほど寒くないってんで大劇場の方にまわってお堀端をあぁでもない、こうでもないと喋りながらとことこ歩く。大劇場も撥ねた様子で、裏の方へとゾロゾロたくさんの中堅どころの男女がやってくる。バスは人を満載して大劇場の前から出ていく。お堀端の路線バス停の前にも人が列を作って待っている。お堀端にも意外といろいろな人が歩いていてかなりのお歳の男女が手を繋いで歩いていたりしている。そうかと思えば何人もの人たちがジョギングの様子で追い抜いていく。お堀には鴨の群れがぷかぷか浮かんでおり、桜田門まで来ると今度はフランス語を喋る外国人グループと合流する。後ろを振り返ると国会議事堂がシルエットとなって浮かぶ。この辺は道が何本も合流するからいつでも渋滞。虎ノ門方向を見るとやたらと工事中なんだけれども、一体全体なんの工事なんだ。日比谷公園の横を晴海通りを行くと、角にこれまで見たことのなさそうなビルが建っていてまだ工事中だ。なんだよ、このビルは、と思うと「ホテル・ペニンシュラ」だとフェンスに貼ってある札に書いてある。その裏がニッポン放送である。そういえばこの辺は見渡しただけで幾つもビルが工事中。ほら、あれは新丸井だし、あっちのむこうは東京駅八重洲口のツイン・タワーだろ。そんなことを云いながらとうとう京橋まで歩く。ふたりでいつものパターンで堪能し、地下鉄二駅分歩き、そこから地下鉄で帰宅。あっという間に爆睡。夜中にまた起きる。