Hatena::ブログ(Diary)

rascal2009の日記

2017-06-18

まずは知ろう

わたしたちは、東南アジアASEANという言葉で一括りにしてしまいますが、そこにはいくつもの国、民族、宗教、そして人々がいます。しかし、その人たちは互いの違いを違いと認めつつまとまろうとしています。著者は、それを「多様性の中の統一」として、本書のキーワードに挙げています。

東南アジアの、土着国家の時代から、欧米列強による植民地支配(残念ながら、そこには日本も名を連ねます)を経て、そこから独立して現在に至る道程は、わたしたちが世界史の授業で習う欧米の物語に負けずとも劣らない歴史です。

国民の不満の源は貧しさにあって、それを解消するためには経済の発展が必要であり、その実現のためには国が政治的、社会的に安定していなければならないとして、国民の権利や自由が制限されるのもやむを得ないという理屈と、その結果として経済の成長にともなって中間層が形成され、民主主義が求められるという展開に、歴史の皮肉を見ずにはいられません。

どの国にも問題が山積しています。それでも東南アジアという域内で“ゆるやかに”連帯して前に進んで行こうという逞しさには学ぶべき点が多々あると思います。

2017-06-07

読んで疲れた

青木理の『日本の公安警察』を読みました。

著者があとがきで「巨象の背中を撫でただけに過ぎない」と書いているように、この一冊ですべてがわかるとは思っていませんでした。それでも手に取ったのは、その一端に触れるだけでも無駄にはなるまいと思ったからです。

そう、必要なことだと思ったのです。嫌な直感ですが、そう思った以上、読まずに済ますことは出来ません。

公安警察というと、フィクションで描かれる刑事警察との確執や秘匿性から少数精鋭というイメージを持ちますが、その想像よりも実際には規模も大きければ人員の数も多いことに、まず何よりも驚きました。

国が在るということには、こういう側面もある。それを肝に銘じます。

日本の公安警察 (講談社現代新書)

日本の公安警察 (講談社現代新書)

牛に引かれて

長野善光寺に行って来ました。

予定よりも早く到着したところ、偶然にも「お数珠頂戴の儀」が始まるところで、幸運にも頭を撫でていただきました。

本堂では法要が営まれており、その徳と実のある空気に感動しながら浸りました。

それを横目に通り過ぎて「お戒壇巡り」へ。本当に真っ暗。文字通り真っ暗。よく言うとおり、目の前にかざした自分の手も見えないくらい真っ暗。その中で、しっかりと錠前に触れました。

さて、敷地の一画に“六地蔵”があります。それらは昔から伝わるものではなく、戦後にあらためて作られたものです。何故か? 先の戦争で弾丸を作るために壊されたからです。

その行為を躊躇わない態度を狂っていると評しないで、なんと言えばいいのでしょう。その怒りもまた仏の導きか。

名刹でありながらぬくもりのある、良いお寺です。

2017-05-28

続:怖い本

不満を刺激されて熱狂し、他国を侵略することを奪われた権益回復で当然のことと支持し、状況が悪化すれば政治的指導者の言葉を信じなくなる。

この大衆の主体性の無さを、当時のドイツ国民に限った特性と切り捨てる人はいないでしょう。

半藤一利は、ある著書の中で、先の戦争の教訓として「熱狂するなかれ」と説きます。

アウシュビッツに代表される強制収容所の悲劇を、戦後、ドイツの一般市民は知らなかったと言い、その地獄を生き延びたユダヤ人たちは、「いや、あなたたちは知っていた」と糾弾します。

確かに、戦争に勝利した者が、その後の勢力地図において“正義”であるのでしょう。しかし、人としての尊厳は、また別の話です。

「英雄がいない時代は不幸だが、英雄を必要とする時代はもっと不幸だ」と言いますが、たんなる扇動者を英雄ともてはやしてはいけません。

2017-05-27

怖い本

わたしが本を読むのは、知らなかったことを知るのが楽しいからです。それは知識であったり、物事の見方や解釈であったり、つまりは新しい世界を知るということで、手に取る本が小説であれノンフィクションであれ、同じです。歴史小説を読む場合も、現代に通じる処世術や生きる知恵といった視点は無粋だと思っています。

しかし、この本は明確に実用書と意識して読みました。

ヒトラー演説の、使われる語彙や身振り手振りという技術的な側面、立場や地位に応じた変化、そういうものを知っておくことが大切という言葉ではまだ足りない、必須であると考えたからです。

とても勉強になりました。これから先、“そういう目”で見ます。

読んでいて怖いと思いました。

2017-05-19

閉塞

『機動戦士ガンダム サンダーボルト』、素晴らしい作品です。しかし、そうであればあるほど、この作品がオリジナルなものとして世に出ることが出来なかったこと、ガンダムの名を冠にしなければ企画が通らなかったことに、漫画ないしアニメ業界の閉塞を感じざるを得ません。

他にも、安彦良和の『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』に端を発した新たなコミカライズが後を絶ちません。

いまは良い。でも、将来にはつながらない。好事魔多し。不幸の種は絶頂時に蒔かれます。

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