児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

裁判証拠にDVDは使えるか?

 医療過誤民事事件で証拠としてDVDを出そうとしたら、
   大阪地裁にdvdをみる装置がない
   当事者は見られても、
   裁判官が見られない
という反応。

 VHSだと、しおり・ブックマークが付けられないので、DVDにしたんだけど。ブックマークをクリックすると、そこから動画が再生されて、分かり易いよ。

 刑事じゃこんな事件(わいせつdvd)もあるのに、
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040811-00000173-mailo-l35
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040810-00000100-jij-biz
 それじゃ、証拠調に困るでしょう。

 「キャプチャーして紙に固定すればいい」っていっても、動画は、動くから、静止画よりもわいせつなんじゃないの?法益侵害も著しいんじゃないの?

今関監督に懲役2年4月 児童買春で横浜地裁

 弁護人だったら、量刑不当と法律上の争点で控訴を薦めます。判決書もなかなか来ないから取り敢えず控訴
 原判決が破棄されて1月でも減刑されれば、未決勾留の法定通算があるからかなり影響があります。

 一般に(といっても事例は少ないが)児童買春+強姦罪を立てられると、被害者の年令が低いので、被害弁償に成功しても、実刑の可能性が高い。
 実務的に観察すると(この児童の被害が軽いとか、強姦被害が癒されると言ってるわけではないですよ)、強姦罪でも執行猶予はありますよね。被害者が成人なら、被害者側の過失も主張できるし、まあ、一般論として児童ほど被害も深くない・将来に影響が少ない場合もあるからでしょう。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040816-00000106-kyodo-soci
判決によると、今関被告は昨年1月と今年3月、当時12歳と14歳の女子中学生に現金2万円を渡し、ホテルでみだらな行為をした。

 兵庫県の中学生監禁致死事件では、テレクラかツーショットダイヤルが接点であることは被害者の過失だとして被告人に有利な事情として挙げられていますから、
   被害児童12歳、
   出会い系
で、被害者に過失があるかどうかは、高裁に聞いてみる必要はあります。

法定刑も5年になって、実刑事案が増えると思いますが、実刑の場合は特に、事実認定と法令解釈適用については、細かいところまで納得いくまで審理してもらわないと、悔いが残って、刑の執行による改善更生も規範意識の涵養も十分見込めないのではないかと考えています。
 弁護人も、「児童買春=執行猶予」なんて油断ができなくなりました。初犯1罪でも罰金刑から懲役5年まで幅がありますから、弁護方針の見極めが難しくなります。手を抜くと実刑です。

winnyワークショップのレポート

http://www.ipsj.or.jp/05system/digital_library/magazine/vol45/4508.html

情報処理8月号
会議レポート
Winny事件を契機に情報処理技術の発展と社会的利益について考えるワークショップ
Winnyと呼ばれるP2P(PeertoPeer)ソフトの作者が「著作権法違反常助容疑」で京都府警に2004年5月10日逮捕された.この事件を巡ってさまざまな問題が提議されている.
(社)情報処理学会と情報ネットワーク法学会はWinny事件を契機に情報処理技術の発展と社会的利益について考える機会を提供する目的で,2004年6月28日に東京電機大学神田キャンパスにおいてこのワークショップを企画したところ300名以上収容可能の会場が満員になるほど盛況な催しになった.
冒頭東京電機大学の佐々木良一教授からこのワークショップを開くことになった経緯が説明された.情報処理学会セキュリティ委員会 情報ネットワーク法学会ではこの問題はかねてから議論されてきたが,両学会において賛否両論がある.そこで,ニュートラルな立場からこの間題を公開の場で議論したいという意味の説明であった.

プロバイダーの刑事責任〜山口いつ子「風営法改正と青少年保護」法律時報'98.10

風営法の下での勧告があったにもかかわらず何の措置もとらないプロバイダー」は有罪だそうです。

山口いつ子「風営法改正と青少年保護」法律時報'98.10

改正法では、プロバイダーは、「その自動公衆送信装置の記録媒体に映像送信型性風俗特殊営業を営む者がわいせつな映像を記録したことを知ったときは、当該映像の送信を防止するため必要な措置を講ずるよう努めなければならない」(第三一条の八第五項) と規定している。そして、こうした努力義務が果たされない場合には、このプロバイダーの事務所所在地を管轄する公安委員会が、遵守の確保のため必要な措置をとるべきことを勧告できるものとしているが、この勧告に従わない場合について、罰則等の定めは設けられていない。
このような規制の仕組みは、規制の範囲において、かなりの絞りをかけたものとなっている。
第一に、規制対象となる表現内容は、「わいせつ」映像のみに限
定され、しかも、わいせつ映像すべてではなく映像送信型性風俗特殊営業を営む者が記録したわいせつ映像に限定されている。
第二に、プロバイダは、わいせつな映像の記録を「知ったとき」に必要な措置をとる義務を課せられているのであり、この種映像の存在を積座的に調査することを義務づけられているわけではない。


(中略)



たしかに、努力義務や勧告という規制手法では、確信犯的で悪質なプロバイダーへの対策としては不十分であり、規制の実効性を担保するには大きな限界があるといえる。ただ、会員がアップロードしたわいせつ画像をホストコンピュータのハードディスクに記録・蔵置させていたパソコンネットの開設運営者が、わいせつ物公然陳列罪の正犯に問われた事例も存在することからすれば、たとえば、わいせつ表現の存在を知りながら放置し、風営法の下での勧告があったにもかかわらず何の措置もとらないプロバイダーに対しては、同罪による刑事責任が追及される可能性がありうると考えられる。

OCR誤変換は御容赦ください。

 文献や裁判例をいろいろOCRかけて引用してますが、一部を御紹介しているだけですから、必ず原典で確認してください。
 紹介している判決にも誤変換があります。

 日記ですからね。
 
 東京高裁に400ページの控訴趣意書を出したら、20ヶ所の誤変換を指摘されました。指摘された箇所は、とんでもなく誤変換でした。
 20ページに1ヶ所だし、意味はわかるから、まあ、許してよ。
 弁論では訂正してから陳述させられました。