311のまえとあとと

otomojamjam2011-04-05

先月の25〜27日、水戸に行ってきました。


被災にあった水戸芸術館でやっていたSachiko Mの展示の片付けの手伝いが目的でしたが、昨年から今年にかけてやった「ENSEMBLES 2010 共振」展のメンバーや水戸の友人たちに会いたくなったというのがもう一つの理由。東京でテレビやネットをみて地元の福島のことや放射能のことに思いをはせてもなにも解決しないし、気分も滅入るだけなので、いっそのこと東京より原発に近い水戸にでも行くか・・・という、例によってまったく合理性を欠いた判断。でも、本音はみんなに会いたかったのだ。


結局会ってなにをしたかというと連日朝まで楽しく呑んで、食べてわいわいやってってだけだったんですが、でもそれだけで人って元気になるんですねえ。余震がちょくちょく来る中、皆でした話題はといえば地震の瞬間のことやら(シリアスに危険なものから、まあかなり笑えるものまで)そして震災後、臨時の避難所となった水戸芸術館のてんやわんやの数日のこととか、これまで文系だった人間が急にシーベルトやら気象やらの勉強をしだして知恵熱を出してることから、下世話で不謹慎な話まで、ほんと楽しかった。居るだけで幸せになるってこういうことなんですねえ。


残念ながらSachiko Mの展示を含むクワイアット・アテンションズ展は建物や作品が被災した関係で中止せざるを得ませんでした、これについてはJAMJAMラジオのポッドキャスト版でSachiko Mをゲストに詳しくやってますのでぜひお聴きください→http://bit.ly/encqAa


で、そのとき水戸芸に行って受け取ってきたのがこの写真の実物大ターテーブルジャケの「ENSEMBLES 2010 共振」のDVD。あれだけの震災の中、完成品が水戸に届けられたのです。それだけでも驚きです。被災にあって展示が中断してしまった人たちの前で気をつかわなくちゃとおもいつつ、このDVDを受け取ったときにはうれしくて思わず小躍り。


このDVDには311の前の水戸で起こった世界が刻印されています。たった数ヶ月前なのに懐かしくて涙がでそうになるくらいです。
今となっては台風で外を歩くことができなかったアンサンブルズパレードですら素敵な出来事に思えるくらい、これを見ていると、気をつけないとおセンチになりそうです。


僕らはついつい、311の前と後で、もう後戻りの出来ない別世界があるように錯覚してしまいがちです。確かに違う世界かもしれません。でも、人間の営みというのは、どんなことがあっても、常に断絶と継続の連鎖の中にしかないわけで、これだけの大きな切断があってすら、やはり継続してくことはあって、その継続の中から新しい事態への光が見えてくるんだと思います。
このDVDを見てはっきり確信するのは、継続と新しい事態へむけてのなにものかがこの中にあるということです。


そんなわけで、311以降もEnsemblesいろんなとろでやります。ただしそれは展示という形ではなく、もう少しライブに近い、でもどこか展示のような、そんなものです。
まずは今週末の3日間、わたしのホームグラウンド、震災時にも一度も店を閉めることのなかった新宿PITINNで!



8日金曜日、最初のセットはわたしのソロで。なにをやるかは当日直前までわたしもわかりません。
そしてセカンドセットは、今日急に思いついて、わがままを言って飴屋法水さんに出てもらうことになり、初めてのDUOを。これもなにをやるかはまったくわかりません。ただ、このブログを読んでる方ならわかるかもしれませんが、飴屋さんと一緒に即興をやりたくなりました。ものすごくやりたくなりました。


9日土曜、まずはお昼の1時半から3時まで。Ensembles展を仕掛けた張本人水戸芸術館の竹久侑さんと、わたしにとっては長い長い友人でもあり、もっとも信頼する「考える人」でもある滋賀県立大の教授細馬宏通さん、そしてわたしの3人で鼎談を。「展示する音楽の可能性」という内容ではありますが、こんな時期でもあるので、話はそれだけではなく、というかむしろ今現在のことになると思います。今は意見を言うことよりもまずはいろんな人の話を聞きたい、そんな気持ちです。


そして9日夜は堀尾寛太、毛利悠子、梅田哲也という、わたしが大好きで大好きでたまらない3人とわたしというセット。美術といっていいのか音楽といっていいのかなんだかよくわからない領域で活動する3人がPITINNでなにをしでかすのか、わたしはどうするのか、もうこれも今から楽しみで、楽しみで。どうなっちゃうんだろ。


最終日10日、選挙の日、そしてデモの日は、大友良英ニュージャズトリオ+ (ONJT+) 今年初の公演です。メンバーはいわずもがな芳垣安洋(ds) 水谷浩章(b)に加え、ジム・オルーク(synth)、Sachiko M(sinewaves)、吉田アミ(voice) そしてわたくし大友良英(g) 
たるいことはしません。ひたすら飛ばしまくります。
選挙に行ってデモに行って、行って行って行きまくってその勢いでPITINNになだれ込んでくれたら本望。




大友良英Live Ensembles 3days

    • ENSEMBLES 2010 共振 DVD 発売記念ライブ-- 

会場 新宿PITINN
料金 各日前売り3000円 当日3500円(共に1ドリンク付き)
開場19:30 開演20:00
4月8日(金) 大友良英 Solo(P,G,Turntables,他)飴屋法水(2nd setのみ)
4月9日 (土) 大友良英、堀尾寛太、毛利悠子、梅田哲也
4月10日(日) ONJT+ 
大友良英(G)水谷浩章(B)芳垣安洋(Ds,Per)Sachiko M (Sinewaves)ジム・オルーク(Synthesizer)吉田アミ(Vo)


■追加関連イベント 鼎談「展示する音楽の可能性ーENSEMBLES2010 共振を終えてー」
4月9日(土) 開場13:00 開演13:30〜(予定)15:00
¥1,500(1ドリンク付)
大友良英細馬宏通滋賀県立大学人間文化学部教授)
竹久侑(水戸芸術館現代美術センター学芸員


http://www.pit-inn.com/index.html
◎新宿ピットインにて、チケット(予約可)前売り中
電話 03-3352-0381


もちろん「ENSEMBLES 2010 共振」DVD 販売いたします。希望の方にはサインもします。


ライブ会場での販売以外は、水戸芸術館ミュージアムショップのコントルポアンで通信販売を受け付けています。
宛先:contre_point*nadiff.com (*をアットマークに変換ください)