ごめんね日常 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2017-01-07

[]「ギア

  • 京都ART COMPLEX1928 2階6列15番
  • 演出 オン・キャクヨウ

今の家に引っ越してきたころに京都のART COMPLEXロングラン公演やっているノンバーバルパフォーマンスがあるんだよってのはどこかで見ていて(シアターガイド記事だったかな〜)、折角近くに住んでるんだし評判よさそうだし、あと宣材写真で使われている紙吹雪写真がなんかすごくツボ…と思いつつ!こんなに時間が経ってしまった。当日券で観てきました。

2012年からロングラン、さすがに伊達じゃない。素晴らしかったです。まずなによりも度肝を抜かれたのがプロジェクションマッピングを使った演出の見事さ!昨今ありがちなとりあえずプロジェクションマッピングやっときゃいいんでしょなところが全くない、必然性があり、美しさがある。ほんと、ぜひ見てほしい。あの狭いART COMPLEX空間を生かしに活かしまくってます

台詞なし、身体表現によるパフォーマンスのみの舞台ですが、舞台設定のようなもの最初提示されていて、おもちゃの廃工場で今でも作業を続けるロボロイドたち、そこに「ドールである少女人形が落ちてくる、というもの。わかりやすくコミカルな動きが多くて楽しく、あっという間に引き込まれます。また舞台装置スチームパンク感あふれたカッコよさがあって、それが前述のプロジェクションマッピングと見事に融合するんだからほんと見ていて飽きない。

少女との接触によって、ロボロイドたちがしばし解き放たれ、それぞれのパフォーマンスを見せるんですが、ダンサーパントマイマーマジシャン、ジャグラーと4人4様のスタイルで、かつ突出したパフォーマンスが次々出てくる!これほんと素晴らしいです。キャストスケジュールを見ると、それぞれのパートに4〜5人ぐらいキャストがいて日替わりになってるんですけど、私が見た回のクオリティを思うにこのレベルでキャストが入れ替わりってマジすげーな!って心の底から思いました。それぞれにパートカラーが決まってるんだけど、ブルーマジシャンドヤ顔…MAJIでSUKI…ってなったし、グリーンのジャグラーのコめちゃかわいい!ってなったし、しかもどれもこれもほんとに見ごたえがある。なんだこの層の厚さ!

吹雪の圧倒的な物量作戦ラストシーンの照明の演出の美しさ、最後最後まで楽しませるパフォーマンス。上演時間は90分で、まさにあっという間のひとときです。

でもって、私が何よりスゴイ、と思うのは、これが「いつでも観られる」芝居であることです!すでにロングラン公演が5年に及ぼとしており、まだクローズの話は一切聞こえてこないので、今これを読んでいるあなたでも!見ようと思えば!見られる!チケットも何か月も先のもの即完するというようなものじゃなく、1か月ぐらい先なら土日の先行チケット普通に買え、当日券は当日9時(又は10時)から電話予約なので(私の場合、9時にかけて15分ぐらいで繋がりました。運ももちろんあるでしょうが、そこまで狭き門ではないと思われ)並んで時間無駄にする必要なし!そして何より、観劇おすすめすることをためらわせない、内容のクオリティの高さ!

配布された当日パンフプロデューサーコメントに「本公演は、小劇場の新しい可能性を探る試みであり、観劇機会と観劇人口のすそ野を広げるための挑戦です」とありましたが、まさに!と膝を打つ思いでした。この作品に出会った観客が「観劇」というものに対して心を開くだけでなく、この作品からどんどんいろんなキャストが育っていくだろうし、それこそが「すそ野を広げる」ことにほかならない。こういう芝居がいろんなところでかかってほしいし、これを成功させているこのプロジェクトには惜しみない拍手を送りたい。文科省表彰したっていいぐらいだよ!!!

開演前の諸注意がモニタで流れるんだけど、それをやってるのが小林顕作さんで、どういう縁だろ?と思ってたらがっつり演出部に名前ありました。いい仕事するなあ!あと振付近藤良平さんの名前もあって、ART COMPLEXコンドルズの縁の深さゆえなのかなと。

劇場の立地も最高なので終演後おいしいご飯を食べるもよし、木屋町通や鴨川沿いで風情を楽しむもよし、アフターもがっつり楽しめます。関西にお住まいのシアターゴアーの皆さんはもとより、何かで関西方面に遠征予定の方にもどうですか!とゴリゴリおすすめしたくなってしま舞台でした!

2017-01-03

[]よかった映画2016

年内に見た映画感想もようやく書き終わりました!というわけで映画の振り返りもやっておきたいと思います。っていうか、去年やってなかったのよね(空中キャンプさんの恒例のやつがあるかとおもって、待っていたのだと思われる)。2015年は19本。回顧しなかったので、一応ここで2015年のよかった映画ベスト3を書いておくと
・「パレードへようこそ
・「ミッションインポッシブル/ローグ・ネイション
・「マッドマックス 怒りのデスロード」
って感じです。

で!2016年に見た映画の本数は21本(リピート含まず)。2014年に頑張って映画を見た時の本数が22本で、これが限界だと思う!と書いていたけど、ほんとこの辺が限界な気がする(笑)ということで2016年のよかった映画ベスト3(見た順)はこんな感じです!

・「クリード チャンプを継ぐ男」
・「スティーブ・ジョブス」
・「シン・ゴジラ

「パディントン」と「シビル・ウォー」「ローグ・ワン」も個人的にはめっちゃ好きだし最高だったんですが、なんか3本というとこうなってしまい…というかクリードとスティーブ・ジョブスは製作年は2015年ですから!?でも私が見たのは2016年から!すいません!
クリード」、まだ見てない人にはぜひ見てほしいつーか、この格闘技全般にまったく興味のない私が、あの最後の戦いであんなに燃えるとは、そしてあの音楽の使い方!見終わった後でも、しばらーくしてからあのシーン思い出して「うっ…」と泣きそうになった私だよ。というかここに至っても詳細を書いてないのはこれから見る人の感動を奪いたくないのじゃ!
「スティーブ・ジョブス」、これはね、もう私がソーキン大好きっ子ですからしょうがない。この大胆な脚本!ジョブスの生涯を3つの大きなプレゼンテーションの前に集約させる、その構成力と台詞力!んもう大好き!
シン・ゴジラ」、ネットでの評判が高くなかったら絶対に見に行っていないと思う。なんで今頃ゴジラ…って思ったし、もうそういうCGだとかVFXについて邦画ですごいの見たい欲望とかないよ…と思ってたんですけど、あまりの高評価に押されました。押されてよかった。徹頭徹尾「今の日本にゴジラが現れたら我々はどうするのか?」のシュミレーションがいきわたっていて、しかしょうもない正義感を振り回すやつや、過剰なバカを登場させず、家族愛とか夫婦愛とかの行き過ぎたなセンチメンタルを持ち込まず、基本的おっさんが大活躍する映画で、しかもこれだけ面白い。すばらしいとしか言いようがない。

2017年はもう、初手のドクターストレンジから始まって、続々とアメコミ大作が控えておりますのでね…!できるだけがんばって映画館に行きたい。もうちょっとがんばってミニシアター系も行けたらいいんだけど。ちなみに年明けの映画で今んとこいちばん期待しているのは「ラ・ラ・ランド」です!

2017-01-01

[]2016年ベスト

明けましておめでとうございます。ようやく年内に観た芝居の感想を書き終わりましたので恒例の振り返りをしておきたいと思います。総観劇本数37本(リピート含まず)。減った!しかし減った原因は明らかです。2017年はどうかなあ。髑髏城が年間通して上演されるという正気か!おい!みたいな時代突入しており、ここまできたら最後までつきあうぜ!という気持ちは売るほどあるのですが、しかしついていくにはまず軍資金が!っていうね!がんばって働きます。なんとなく50に届かないまでも40〜45ぐらいは観ておきたいというか、個人的にはそれぐらいの数がちょうど無理なくしっくり、という感じがあるので、もうちょっときもち増やしていくぐらいのココロでがんばりたいです。

夫婦
逆鱗
「治天ノ君」
「クレシダ」
「ワレワレのモロモロ・東京編」

ハイバイが2本入りました。やっぱり岩井秀人さんて役者としても作家としても今ちょっと目が離せないひとだなあという感じですね。「夫婦」もすごかったですが、「ワレワレのモロモロ」で岩井さんが書かれた短編クオリティの凄まじさにほんと脱帽しました。あの「時代」を歌うシーン、歌の歌詞にふんだんにサブテキストを感じさせる構成の妙、最小限の台詞で状況を把握させる作劇術…ほんとすばらしいです。
「治天ノ君」は再演でしたが、これは観られてよかったですね。ここまで踏み込んだ内容と云うのはちょっと映画ドラマにはなりにくいのではと思いましたし、この劇団は観た後もその作品で描かれた内容についてより知りたくなるというか、そういう時代の間隙を描くのがすごくうまいなと思います
野田さんの新作はここんとこ私のベストになかなか顔を出してなかったんですけど、「逆鱗」は文句なしにすばらしかったです。なによりも野田さんの真骨頂ともいうべき、哀切、ただ切なさというものが、弾劾や告発といった色合いを上回って感じられたのが個人的にぐっときポイントでした。松たか子阿部サダヲという役者の破格の腕力にもやられました。ほんとすげーぜ。
そして今年のベストは「クレシダ」です。最初観劇予定になくて、でも東京公演をご覧になった観劇仲間の方々の絶賛ぶりに心動かされてぎりぎりでチケットとりました。本当に観てよかった…。平さん演じるシャンクが、若いスティーヴンにかける言葉ひとつひとつが、芝居をつくるということ、演じるということはなんなのかを体現しているように思え、自分がいま、得がたいものを観ているということに本当に心震えました。

[]僕らはまた、近いうちに再会する

2016年演劇界をふりかえったとき、やはり何と言っても大きかったのは蜷川幸雄、そして維新派の松本雄吉というふたりの偉大な演出家をうしなったことだと思います

どんな舞台にも、その演出家サインというか存在を感じることができるのは当たり前ですが、蜷川さんも松本雄吉さんも、なかでもきわめてそのサインのはっきりした、確固たる演出家としてのカラー、場面を作るときの絵、その世界表現するためのスキル情熱を持っていた演出家で、だからこそ、このふたりの不在というのは余人をもって代えがたいものがあるように思えます

わたしはおふたりの良い観客であったとは言えませんが、演劇というものを決して神棚にまつった「ゲージュツ」ではなく、私たち観客と地続きのものであるというところから視点ぶれることがなかった、どれだけ規模の大きい公演を打ってもそれがぶれることがなかった、だからこそ、偉大な演出家であると同時に、私たち観客の味方であるような気がしていたところがあったような気がします

そして蜷川さんとたくさんの素晴らしい仕事をしてきた平幹二朗さんも、後を追うように亡くなってしまいました。突然の訃報で、直前まで、ほんとうに直前まで舞台に立ち、役者としての素晴らしい仕事を見せてくださっていただけに、残念でなりません。平さんが蜷川さんの弔辞で読まれた、「タンゴ・冬の終わりに」の台詞、僕らはまた、近いうちに再会する…その時がこんなに早く来てしまうとは。

最後最後まで、演劇に対する前向きな情熱を喪わず、わたしたちに観たことのない世界の一端を見せてくださったこと、忘れません。
本当にありがとうございました

2016-12-25

[]「ローグ・ワン/スター・ウォーズストーリー

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スター・ウォーズ サーガ」のスピンオフ正史でいくとちょうどエピソード4の前、銀河帝国軍宇宙要塞である初代デス・スター設計図強奪任務が描かれています主人公はそのデス・スター設計に携わった科学者のひとり娘。

むっちゃくちゃ面白かったんです!!私の好きな部分が後半1時間に集中していて、前半部分の描き方についてはん?と思うところもあったりするんですが、しかしそれをぶっとばす後半の面白さ、面白さというか、言葉にすれば陳腐だけれど、希望というもののかすかな光を名もなき人びとがつないでいくカタルシスがすばらしいです。エピソード4を知っているともちろん知っているなりの楽しみがありますが、ここから見たとしても全然大丈夫だと思う。というか、これを見た後エピソード4を初めて見る人はめちゃくちゃ貴重な体験が出来るのではないか!と思ったりします。

ジンがゲレラを探し出し、そして別れる、ゲイレン(父)を探し出し、そして別れる、というシークエンスが前半に続くので、個人的にはジンキャラを掘り下げるよりも、最終的に「ローグ・ワン」になる面々の群像劇としての立ち上げが早いほうが好みだなあ〜とは思いました。というかそれほどまでにローグ・ワンの面々が魅力的。帝国軍にいながらも脱走してきたパイロットボーディー、フォースを信じる盲目の僧チアルートと彼の相棒ベイズ、反乱軍にいながらも数々の汚い仕事に手を染めてきたキャシアンと、帝国軍のドロイドをリプログラムしたK2SOのコンビ…。たとえばボーディーとゲイレンにどういう話があったのかとか見たいし!キャシアンとK2SOのドタバタ珍道中見たいし!でもってチアルートとベイズな!あの、「運は必要ない、お前がいる」って、これで萌え燃えなきゃ女がすたる!って感じだし、あの「お互いの違うところを受け入れている」ふたりのぴったりと背中を預け合う感じ、その描写絶妙さ!映画キャラクターそのままでも魅力的なのはもちろん。ことによったら薄い本百科事典になるぞってぐらいの関係性ですよね…!

今まで見てきたスター・ウォーズは、言ってみればあるひとつ血脈を描いた大河ドラマだったので、反乱軍側にはジェダイという皆の希望があったわけだけど、今回は全員がフォースの使い手じゃないんですよね。だからこそ、最終盤でのダース・ベイダーの醸し出す恐怖がハンパない。もうこんなん、何をどうしたらいいの!?ってなる。だからこそ、ルークがどれだけ皆の希望だったか改めて感じないではいられないわけですよ。

たったひとつのあえかなチャンスに賭ける、勝つか負けるかじゃない、抵抗をやめたらそれで終わりだ、だからこそ立ち上がるというその覚悟ケーブルを繋ぐ、スイッチを入れる、そのために犠牲になる人たち。あの、チアルートが我はフォースと共にあり、と唱えながら銃弾の中を歩くシーン、あの壮絶な美しさはちょっと忘れがたい。

クレニックさんはひとりだけ白いマントびゅんびゅんさせてどんだけ恐怖をもたらす指導者なの…!って思ったけどすごい中間管理職だった。なんか帝国軍て毎回嫌いになりきれないキャラ作りしてくる(キャラ作りっていうな)。

カリフ侵入をめぐる空中戦の描き方がすごく懐かしの、というか、エピソード4の当時の描写に合わせていて、そうそうこの狭いところをくぐりぬけるXウィング!まさにスター・ウォーズ!!って感じで楽しかったです。ほんと、多くの人がそうだったと思いますけど、私も見終わった後「エピソード4このまま見たい…」って思いましたので、今後そういう上映会とかありそう。あったら行ってしまいそう。歴史歴史の間をつなぐ、すばらしいスピンオフだったと思います

[]「ファンタスティックビースト魔法使いの旅」

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ハリーポッター流行に乗っかってかじったけどそれほどはまらなかったマン指輪に夢中すぎたとも言う…)なので、スピンオフかあ〜、三部作かあ〜、でもエディ・レドメインだし見ようかなどうしようかな〜、と思っていたんですが、ハリポタまらなかった人でも楽しめるよー!という感想を見て、えいやっと見てきました。

やー楽しかった!ほんと評判通り、ハリポタにがっつりいかなかった人でも存分に楽しめる作品でした。もともとのオリジナルの方は、ハリーたちがホグワーツ入学したところから始まるので、成長譚の色合いが強かったですけれど、今回はそれよりも前の時代の米国が舞台で、登場人物も皆大人。そして「ファンタスティックビースト」のタイトル通り、映画で描かれる魔法動物たちがめちゃくちゃ魅力的!そしてそれを心から愛する、動物以外にはいまいち心を開いてないっぽいスキャマンダー先生が輪をかけて魅力的!ほんとこれ以上のナイスキャスティングある!?って感じでエディ・レドメインが大はまりしていててすばらしいよー!

米国の魔法界はこんなふうになってるのかー、って描写もよかったし、グレイブスをやったコリン・ファレルも素晴らしい存在感!でもってクリーデンスをやったエズラ・ミラーね…!ご本人がハリーポッターシリーズの熱烈なファンらしく、ツイッターで流れてくるご本人の「このシリーズに出られる!」喜び爆発のインタビューとか見てると好感しかないし、クリーデンスというキャラクターにずっぱまりのあの演技力!彼、今後のシリーズに出てくるのかなあ。出てきてほしいなあ〜、なんとなく含みのある終わり方でもあったし…。光と闇どっちに転んでてもおいしくいただけますよ…(言い方!

スキャマンダー先生と行動を共にする3人もすごく魅力的で、いい4人組だったなー。コワルスキーさんむちゃくちゃ良い人で、スキャマンダー先生がなつく(言い方!)のもよくわかる。この人もまた出てほしい!と、シリーズ次作以降への期待が高まる感じです。

ちなみに私のお気に入り魔法動物はニフラーです!あの、宝石店で置物のフリするとこのかわいさ!困った奴だけど!でもかわいい!スキャマンダー先生シリーズ通して主軸となるようなので、またどんな魅力的な魔法動物が出てくるのか、こちらも楽しみです!

2016-12-23

[]「十二月大歌舞伎 第二部」

吹雪
以前獅童さんと七之助さんと愛之助さんの組み合わせで見たことがあります。なので七之助さんのおえんは2回目かな。助蔵が獅童さんで、当時の感想にも書いたけど、獅童さんのはっちゃけぶりが若干行きすぎていて、この作品心理劇としての見所が薄味になってしまった感があったので、今回のピリッとした空気はすごくよかったです。とくに七之助さんのおえんがイイ。あの、直吉という存在自分たちを深く結びつけている、おびえたおまえの顔をみるとたまらなくなる…って、あの時のうっとりした顔、めちゃくちゃエロかった。直吉が飛び出していったあと、あの小屋で二人はどうするか、そこの余韻が残されているのもこの作品面白いところだと思います。

寺子屋
私が過去に観た座組と比較しても群を抜いて若い座組での寺子屋。これ、第二部の演目はどちらも心理劇の要素があるというか、寺子屋も松王丸を中心に抑えた、こらえた芝居が多くて、かつそれが一瞬解き放たれるところにカタルシスがある気がします。ほんと、主への忠義のために寺入りしたばかりの子の首を落とすことを算段する、って今じゃ到底成立しない筋書きだと思うけれど、我が子を身代りにした松王丸と千代、寺入りした「子も同然」のはずの子の首を落とした源蔵と戸浪も、どうにもならないものに雁字搦めになりながらの選択であるわけで、だからこそこの芝居の最後いろは送りにたっぷり時間をかけるのも頷けるなあと。

松王丸はしどころしかない役だといってもいいような感じですが、勘九郎さんの松王はかなり心情が表に出る感じでしたね。もともと、声に感情がよく乗るタイプの役者さんなので(そしてそれがものすごく効果的に発揮される時も多々ある)、松王はもっとぐっと抑えた芝居がいいなあ、と思われる向きもあるかもなーとは思いました。源蔵の松也さんも若さが出た芝居でしたが、これからこの年代の座組で観ていく機会も増えるだろうし、今後に期待という部分でもありますね。あと、今回は寺入りもかかりましたが、七之助さん千代がここでもぐっとよかった。あの小太郎と別れる場面な…!むちゃくちゃよかったです。もうあそこで相当泣けた。

[]「十二月大歌舞伎 第三部」

◆二人椀久
どこかで観たという気がしてるんですが、お、覚えてない…(きっと夢の国にいたのでしょう…スイマセン)
今回は玉三郎さまと勘九郎さんの組み合わせ!勘九郎さん、放蕩息子の雰囲気はないけど、松山にほれ込むあまりいろんなもの破綻をきたす役がすごく似合いますよね(ひどい)。玉三郎さまの松山が美しいのはもちろんですが、とくにおふたりの連れ舞いになるところがよかった…。勘九郎さんが踊っていると勘九郎さんしか目が行かない病を患っている私ですが、さすがに玉さまとならばれると、あっあっどっちを観たらいいのぉ〜!状態でした。最後のね、松山が消えていくところの椀久がまた切ない、そんでもってこの切ないのが本当に勘九郎さんに似合う!

◆京鹿子娘五人道成寺
スペクタクル!本当にそんな感じでした。最初の道行、七之助さんに勘九郎さんが加わるところから「常ならぬもの」を観ているという感じがすごかったですが、それが最後の鐘入りに至るまで消えない、消えないどころかどんどん濃厚さが増していくという舞台
玉三郎さん以外はぐっと若い顔ぶれなので、玉さまをシンにそれについていく4人が岡ひろみのようというか、玉さまがお蝶夫人のようというか、玉さまと並んで踊るときの緊張感はもちろん、4人の、これからこの大曲に挑んでいく気合いのようなものも感じられて、ほんと飽きさせない構成でした。観てるこっちもうわあもう目がいくつあっても足りない!の連打でしたね。七之助さんと勘九郎さん、踊りのタイプはこうして並んでみるとやっぱり違うなと思うのに、ふとした瞬間にぴったり寄り添うような動きがあったりして、ご兄弟の血を感じたりして。

しかし、やはりその中にあって、打ちのめされるっつーのか、参りました…!となったのが玉さまの「恋の手習い」。すごかったね。すごかったですねアレ。あの縮緬手ぬぐいをくわえているところ、あの縮緬の手触りまでもが伝わってくるような、一挙手一投足にあの歌舞伎座の客席が吸い込まれるような、濃密さ。時間を忘れて見入っちゃいましたよ。

次にこの娘道成寺に挑んでいくのは誰なのか、それも気になるところですけれど、玉三郎さまおひとりでこれを踊られることはあるんだろうか、あってほしいという気にもなったり、いやはや、すばらしい観劇納めになりました。