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2016-05-25

[]「ズートピア

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見てからもうだいぶ時間が経ってしまったんだけど、自分の「見た」記録兼ねてるのでメモ程度に。いっやあああ面白かった!!!先に公開された全米での評価も興収もズバ抜けていたので楽しみにしていましたが、その高いハードルを軽々超えてくる出来。もう言い尽くされてるとは思いますけど、ほんっとーによくできてる!!!

舞台動物たちの楽園「ズートピア」。その世界では進化した動物たちが肉食も草食もなく共存している。野性?そんな野蛮なものあるわけないじゃないの!

「パディントン」の時にも書いたけれど、物語寓話として読む、つまりこれを深く現実社会コミットしたものとして読み解くことができるというだけでなく、ちゃんと物語として面白い!それが本当にすばらしい。もちろんこの映画のなかで描かれるように、誰もが「偏見」という二文字から自由はいられないというような、思わず自分の胸に手を当てて考えてしまテーマ提示があったりするんだけど、たとえそうでも「物語」という枠の中で楽しませる方向性最後まで見失ってない。

しかもその物語も、ニックとジュディのバディものとしての面白さ(いがみ合いからスタートしてそれぞれがそれぞれの大事な部分をぐっと押さえてしまう、ってあたり理想のバディもの展開!)、クライムサスペンスとしての面白さ(謎の事件裏社会、答えに見えていたものが答えではない、意外な黒幕…お手本かヨ!)、そしてもちろんディズニーならではの、ありえないものがありえるファンタスティックビジュアルの数々!!全方位ぬかりなさすぎてもはやおそろしい!!

ジュディが単なる朝ドラキャラ的なヒロインじゃなく、目的達成のためにはけっこう手段選ばないもんね、な逞しさがあるのもいいし、そしてなんつってもニック…!おおニック。ニック。あなたはどうしてニックなの。いやもうあれ惚れるなっつーほうが難しいんじゃない?ボゴ所長にバッジを返せってジュディが迫られるところでのニックの振るまい、あれ、惚れるなっつーほうが難しいんじゃない?(2回目)絶望挫折を冷笑と減らず口に隠して日々を乗り切っていこうとする彼の魅力がもうありとあらゆるところで爆発しまくってたよ!

しょっぱなからジュディが両親に「夢を見ることはいいことだ、努力すれば夢は叶うなんて思いさえしなければ」とあれ?これ、夢と魔法ディズニー映画ですよね?みたいなパンチラインが繰り出されるのもすごいし、なにげにラストシーンでジュディがハンドルを握りニックが助手席にいるっていうのも、さりげないけど結構革新的なんじゃないかと思うのよ。マジで完全に攻めまくってるし、それが鼻につくことなく、その世界の当たり前として提示されることのすごさだよなあ!いやもうなんかね、ラストコンサートのシーンでもうちょっとわけもわからず涙がぽろっとなってしまったもの。もはやディズニー、向かうところ敵なし!

2016-05-14

[]「夢の劇」

大学時代の友人と昨年暮れに会った時に、実は田中圭さんにめちゃくちゃずっぱまっていて、旦那内緒でDVDやら雑誌やらを集めまくっているのだ…みたいな話になり、そんな好きなのに「今度舞台あるけど、行ったことなから…」と言うのでんじゃーチケットとろっか?と一緒に足を運ぶ次第に。友人の希望でアフタートークつきの回を見ました。

そのアフタートークで白井さんも「難解なストリンドベリの本を…」と言っていたように、そして台本が圭史さんであることからわりと想像はつきましたが、まあそれほど食べやすく調理された感は薄かったですね。とはいえ、こういった「世界俯瞰」するキャラクターが出てきて、かつ登場人物の中に「詩人」とか「作家」がいると、ああ、この詩人の描いている詩の世界の話なのね…とかあたりをつけて見てしま習性が。

KAATや松本では三方囲みの舞台にしたそうですが、兵庫では劇場構造プロニアムにしかならず、これは三方ないしは四方囲みで見た方が面白い舞台だろうなあとは思いました。ダンサーが手前と対角線上に配置されるんだけど、その配置は客席が囲んでいるからこその効果だよなという感じ。

しかし、このメンバーの中にあっては、山崎一さんのうまさが際立つなと思いました。早見あかりちゃんもぜんぜん悪くないけど、あかりちゃんだけでなく他の誰よりも舞台の上での自由度が山崎さんはズバ抜けてるんですよね。理屈に沿った食べやすい芝居だとある程度流れで見せきることができる部分もあると思いますが、こうした変則的構成での瞬発力という点もふくめてキャリアの力をひしひし感じました。

アフタートークではあかりちゃん、田中圭さん、白井さんが登壇。田中圭さん、なんとなーく落ち着いた物腰の人を勝手想像していたんだけど、めっちゃ元気な若者でした(笑)あかりちゃんと2人白井さんをいじる時の楽しそうな顔ったら!なんか注文があるとしたら、って振られて「もっと前半から喋りたかったなあ〜!」と仰ってて笑いました。白井さん、KAATの芸監になったので、この兵庫芸文のホールにはこれからもお世話になります…と言いながら「アッでも次にお世話になるのは世田パブの芝居なんですけど!」と絵に描いたようなテヘペロをしてらっさいました。かわうい。

2016-05-08

[]「キャプテン・アメリカ/シビル・ウォー」

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いやーーーー
面白かったですねっ!!!のっけから
「ウィンターソルジャー」公開から約2年、こんなに「その後」を楽しみにした映画も久しぶりで、とはいえ楽しみな一方「これは前作があまりに好きすぎて次になにがきても満足できないパターンでは」とか「とりあえずひとつでもかっこいいアクションシークエンスが見られればもうそれで」とか観る前に予防線を張りまくってしまっておりましたが、いやー…
面白かったですねっ!!!(2回目)

MCUも作品が積み重なっているので、予習必須でハードル高いという声も耳にしますけれども、あと私はいちおうシリーズ関連作を見てからこれに臨んでいるので「いきなりこれを見たらどう思うのか」ってところはちょっと想像がつかず、そりゃ前作見ていたほうがいいよなーと勿論思うんですが、しかしとりあえず物は試しで予習なしで見てみてもいいんじゃないでしょうか!(無責任)最低限あげるとしたらエイジオブウルトロンとウィンターソルジャーかなって感じですかね。時系列的にもこの2作のまさに「続き」ではあるので。

以下作品の具体的な展開に触れるのでたたみまっす!

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[]「キャプテン・アメリカ/シビル・ウォー」いろいろメモ

まだ書くのか…(みなさんの ためいきが きこえるようです)(だって いろいろ 言いたいじゃない!)
以下ほんと具体的なシーンと台詞のことしか書いてないからね!

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2016-04-17

[]「スポットライト 世紀のスクープ

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今年度アカデミー賞作品賞受賞作。レヴェナントに行くかと思いきや、脚本賞作品賞をかっさらっていきましたねー。題材的にも自分が好きそうだなあと思っていたので、公開を楽しみにしていました。

2002年ボストン・グローブ社がスクープし、その後続報を掲載し続けた教会での神父による性的虐待事件が題材になっており、そのボストン・グローブ社のコラムスポットライト」を担当する4人の記者を中心にした群像劇です。カトリック住民の多いボストンにおいて、数十年にわたってもみ消され続けてきた事件を、丁寧に、丹念に、そして執念をもって突き止めていく記者たち。発端は、新しい編集局長就任で、この編集局長が小さいコラムで取り上げられたゲーガン神父による性的虐待事件もっと突っ込んで書くべきだ、指示するところからまります。こういう、反体制的なことを取り上げようとするときに、上が圧力をかけるという構図はありがちですが、まさにトップダウンで全容を解明しろという構図はなかなか新鮮でした。

物語の展開からしても、多くの人がそう言及してるだろうと思いますが、かのウォーターゲート事件を暴いたワシントンポスト記者を描く「大統領の陰謀」を思い出しましたし(特に連なるデスクの間を歩きながらのショットとか)、事件の内容のショッキングさよりも、その事実を洗い出す記者たちの奮闘に焦点を当てて描かれているところが面白かったです。その記者たちが決して聖人君子でないところもよかった。事件の「胸くそ悪さ」とは別に最後までライバル社にすっぱ抜かれることを気にしたり、過去自分の過ちと向き合ったり…。その上で文書公開の許可を求める時にマイクの言う台詞、「君が公開を求めている文書はかなり機密性が高い、これを記事にした時の責任は?」「では、記事にしない場合責任は誰が?」という、その台詞に集約される使命感でこの事実を詳らかにしていく過程がとてもスリリングでした。個人的に一番うおっとなったのは、年鑑という何気ない、まさに誰でも見られる資料から虐待神父あぶり出していくあの緻密な作業、そしてその結果が、全体の6%という予測とほぼ違わなかったというところ。

教会体制糾弾することは、多くの人が信じているもの糾弾することに他ならないわけですが、テレビドラマの「ザ・ホワイトハウス」でもそうでしたがアメリカ社会における「教会」というものの大きさ、宗教政治の密接さは日本にはないものですよね。刷り上がったばかりの新聞が運び出される様子と、それぞれの記者がその初刷りをどう迎えたかを連続で見せるショットはいずれも素晴らしいですが、女性記者のサーシャが敬虔クリスチャン祖母の手を握りながら一緒に記事を読むシーンはことのほか印象的でした。

確かどこかの映画賞アンサンブル演技賞を受賞していたと思いますが、ほんとうに隅から隅まで行き届いたキャスティングで、「スポットライトデスクマイケル・キートンはもちろん、熱血記者マイクをやったマーク・ラファロもことのほか素晴らしかったです。変人扱いされながらも不屈の意志被害者側に立ち続けるガラベディアン弁護士を演じたスタンリー・トゥッチの演技も印象深い。

映画評論家の町山さんが、今のジャーナリズムはある事象をどう評するか、という「批評ジャーナリズム」に偏ってしまっているが、こうした「何が真実なのか」を暴き出す調査ジャーナリズムこそもっと重要視されるべきだと語ってらして、映画の中でも編集局長が語るように、「これこそがジャーナリズムだ」という矜持の感じられる1本だったと思います

2016-04-09

[]「四月花形歌舞伎 昼の部」

◆葛の葉
元禄港歌」の中で披露される瞽女唄の「葛の葉子別れ」ってこれかああ!とポン(と手を打つ)。安倍保名に助けてもらった恩を返そうと白狐は許嫁の葛の葉姫に化けて保名のところに嫁入りし、子をもうけるが、本物の葛の葉姫があらわれて…という筋書き。2人の「葛の葉」をひとりの役者が演じるので、前半はその早替えも大きな見どころ。しかし、この早替えのフリのうまさというか、観客の予想が「あっまた次変わるに違いない…」と思う一歩手前でその趣向をすぱっと切り上げるのとか、よくできているよなあと思いました。七之助さんが子をあやす仕草のうつくしさと、あの障子に文字を書いていくというウルトラCぶりが炸裂する後半がすごい。しかしやはり異類婚姻譚というのは根強いですね。根強い人気。

末広がり
楽しい一幕でした…勘九郎さんファンには御馳走のような時間。よいお席で拝見できたので、あの美しい手の所作舐めるようにガン見しました。ああ、勘九郎さんの踊り、本当に大好き。

物語は、「末広がり」を買ってこいと命じられた太郎冠者が、「末広がり」が何かを知らないまま都にきて、唐傘を買わされてしまう…という筋書きなのだが、勘九郎さんご自身は決してそんなことないと思うのに、こういう純なというか、朴訥なというか、目から鼻に抜けない男性をやらせると本当に輝く。でもって、買わされるのが唐傘というのがこの話のいいところで、なにがいいって傘を使った所作をばっつり堪能できるんですよ!!軽く振ってすぱんと開いてみせるのもだし、その傘を使った所作もふんだんにあって、ああ〜〜かみさまありがとうございます〜〜と拝みたい気持ちであった。太郎冠者がひそかに想いを寄せるお嬢さんが鶴松くんで、ふたりの踊りのほほえま〜な雰囲気もよかったです。

女殺油地獄
与兵衛を菊之助さん、お吉を七之助さんで。菊ちゃんの芸の品の良さというか、端正さがよくあらわれた一幕だった。なんというか、ものすごい悲劇に見えた。いや、もちろん悲劇悲劇なんだが、「こうならない未来もあったのではないか」と思わせる悲劇。与兵衛という男は、基本的に深く思慮するということをしない男で、場当たり的なものの考え方がかれを破滅に導くわけだけれど、菊ちゃんの与兵衛にはどこか「この与兵衛はどこかで後戻りできるのではないか」という雰囲気が感じられ、それはやっぱり菊ちゃんの持ち味である品の良さから来ているのではないかと思う。だからこそ、お吉があそこで金を貸すという決断さえしていれば、ふたりともに救われたのではないかと思わされるのだが、そこは感想が別れそうなところだなとは思った。あそこでお吉が金を貸していてもいなくてもこうなった、と思わせる与兵衛像も私は好きだし、そのほうが殺しの陰惨さも際立つような気がするので。

しかし、油にまみれてつるつると覚束なくなりながら、男が必死の形相で女の命を絶とうとする絵面というのはそれだけですさまじい。あの場面で、笑いが起こるのはグロテスクでもあり、それを見越して書いているのだとすればちかえもんおそるべしとしか言えないわけだが、そのこっけいさを陰惨さがねじ伏せる様というのも見てみたい気がします。

[]「四月花形歌舞伎 夜の部」

◆浮かれ心中
原作井上ひさしの「手鎖心中」。原作未読なのでこれが舞台のみの脚色なのかそうでないのかは定かでないんですが、「籠釣瓶花街酔醒」ががっつり下敷きになっていて、わーこれは籠釣瓶好きにはたまらん趣向やな!と思いました。

実力はないが、カネはある(但し、親の金)、ええしのボンが、戯作者にオレはなる!とばかりに起こすあれやこれやの騒動。つまるところ、本を売るため、売るには自分の知名度をあげなきゃいけない、という発想から売名行為の数々から起こるあれやこれやなんですが、その構造自体が相当にシニカルといえばシニカル。でもそこをぐりぐり押してくる感じは薄かったですね。主人公の栄次郎は、普通に見れば鼻持ちならないやつに見えそうなものなのに、なんともいえない愛嬌と悪気の無さ(悪気の無さって時に罪ですけどね)で乗り切っちゃうし、いわゆる愛されキャラな部分が強く、勘九郎さんもその「ゆるされちゃう」人物像をうまく体現していたなーと思います。でもって、太助という役がなかなか面白い立ち位置だったんですけど、これ、三津五郎さんが演じてらっしゃったと知ってポンと膝を打ちたい気持ち。なるほど栄次郎と太助にはそういう表裏というか、運命共同体のようなふたりが似合うよなあと思いました。

釣瓶にも出てくる帚木の花魁道中(あそこでかむろの襟首掴んで止めちゃう勘九郎さんのニタリ顔たるや!)、七三の笑み、そこで太助の「家に帰るがいやになった」とまるっきりそのまんまの構図が出てくるのワクワしましたし、身請けされて、でも間夫とも切れずいつかは…と算段する帚木っていうのも、籠釣瓶の「あったかもしれないその後」みたいでよかったなあ。

最後には、現実茶番の襟首を捉えてしまう展開になるんだけど、ここで花魁だけが助かり現世に戻っていくってところでの「おいらん、そりゃああんまりそでなかろうぜ」!!!う、うまい!!ここでこの台詞持ってくるか!!なんつう御馳走!!勘九郎さん「夜ごとに変わる枕の数…」と続けて「ハァーーッやりたいねえ。ああやりたい」。やって!!!やってよ!!!(大興奮)いやーだって菊之助さんの八ツ橋勘九郎さんの次郎左衛門での実現をもう相当前から心待ちにしてますおすし

最後のちゅう乗りではほんとにニコニコ楽しそうな栄次郎、「はー気持ちいい。澤瀉屋さんの気持ちがわかるね。今頃博多で飛んでるよー会いたいなー」などとかわいらしい発言から今日はおばあさんの命日だからね、久しぶりに会えるわーとほろりとする発言もあり。途中で落ちそうになるとこも仕込みなんだろうな(笑)

美しくて気立てのいい女房、おすずの菊之助さんよかったです。あの喧嘩のフリやって!やって!できないできない!からの変わり身のキレ味はさすがですし文字通り会場が揺れるほどの爆笑をさらってましたね。ギャップ萌えってことのこと!?(多分違う)堅物のお役人をやった亀蔵さんとのやりとりとか、なんかプチ「笑の大学」みたいな構図だったなー。お堅いあまりもっともぶっ飛んだ方向を思いついちゃうっていうのも面白かった。

題材としてはもっと今日的に仕上げる方向もあったのかなーと思うけど、それはそれとして芸の力で楽しく見られた演目でした!