貧乏鍋

 ぼんやりテレビを見てたら、おすぎが白菜と豚肉の鍋を作っていました。白菜敷いて、豚肉敷いて、白菜敷いて…と段々にして行く。ウチでもよく作る貧乏鍋に似てるなあと思ったら、「なんていう鍋なんですか?」「貧乏鍋っていうのよ。金沢で教わったから金沢の貧乏鍋」。そうか貧乏鍋というのはごく普通の名前だったのか。ぼくがこの鍋の作り方を知ったのは、いしいひさいちがメジャーになる前に描いていた「Oh! バイトくん」。貧乏学生料理として登場してたんだよね。基本レシピは白菜と豚肉のスライスを段々に重ねて、醤油をかけて、蓋をして蒸し煮状態にする。水を入れるとしてもごくわずか。水を足さなくても白菜から大量の水分が出るから最初はとろ火で煮れば焦げ付かない。最後に醤油で味を調えて出来上がり。シンプルだけど、冬場は白菜の甘みが生きて実に美味です。ぼくは、すき焼き風に溶き卵でからめて食べます。最後はうどんを入れるかおじやにする。結婚してからはちょいグレードアップして、白菜と豚肉に大根のスライス、舞茸などが加わり、水ではなく少量の日本酒というレシピになりました。おすぎのレシピでは白菜+豚肉の基本に大根と出汁昆布と鮭缶を加えています。ちょっと鮭は過剰だと感じますが、人それぞれでしょう。簡単、バリエーションが作りやすい、経済的というのがこの鍋のいいところです。

パンクと指揮

 テレビといえば夕べたまたま見てしまったのが、パンクロッカーが4週間で指揮者になれるか? というイギリスのドキュメント。「偽物は誰だ?」的なテレビ番組のメイキングです。音楽雑誌の編集長や、コンサートマスターといった審査員の前で、四人の指揮者が指揮し、どれが偽物を当てるというわけです。
 全く訓練を受けていない状態で、とにかく本職を真似て振ってみるんだけど、もうドシャメシャ。なにしろ「楽譜? 字も満足に読めないんだぜ、読めるわけないじゃん」というピンクのモヒカンあんちゃんですからね。有名指揮者が付きっきりで訓練する。編集のテンポが良くて、飽きません。日本の番組だったらもっとクサイことやるんだなろうなあ。感動を強要するんだおろうなあ。上手いのは、訓練を通して、素人が大部分であるはずの視聴者がちゃんと「指揮者の仕事とはこういうものだったのか」と理解できるように作ってあるところです。娯楽と教養主義がちゃんと合体してる。出てくる人々が全員キャラ立ってる。で、笑いあり、人情あり、ピンチありで、最後にはジーンと感動させる。国際エミー賞受賞作品というのも納得です。

聴いたCD