ひがし

納沙布岬

 南千歳を過ぎたところでカーテンを閉めて電気を消した。多分追分に停まったのは覚えている。その後は断片的だ。時に揺れで、時に静寂で目を覚ます。意外とすれ違う列車が多いようだ。静寂で目を覚まし、隣りの線路がガタガタ鳴り、前後に揺れて動き出す。今年の7月にもまりもに乗ったけど、気動車だと気にならない発車時の揺れも寝台車では前後動を感じる。ちょっと不思議な気がする。
 何度か眼を覚ました後に時間が気になり時計を見る。4:37。あと1時間強で釧路だ。もう少し寝よう。
 最後の静寂で再び眼を覚ます。白糠だと思うけど確認はしていない。もう少し眠れるかと思った記憶がある。次の瞬間、ゆるゆるとオルゴールが鳴る。釧路到着15分前だそうな。身支度をしているうちに列車は釧路に到着。

快速「はなさき」

 この時期、さすがに釧路でも夜が明けつつあるところだ。東の空が微かに明るくなる。金星が瞬く。乗り換えは5分。根室ゆき。網走ゆきも相前後して発車する。根室行きの乗客は10数人、大きなカバンを抱えた人も多く、ほとんどがまりもからの乗り継ぎ客らしい。まだ夜の続き。暖房が強すぎるぐらいに効いていて、眠気を誘う。私もまだ寝足りないし、眠ることにしようと思う。
 この区間のキハ54、また車内を改装している。今度は転換クロスシートになった。通路側に引き出し式のテーブルが付いていることから以前青函トンネルで使っていた50系のお古と知れる。モケットは明るい青地にタンチョウやらなにやらをあしらった賑やかなもの。
 突然の急ブレーキで眼を覚ます。カランカラン、軽い音が床下でする。列車は完全に止まってしまった。車内アナウンス。「ただいま、鹿と衝突いたしました。確認のためしばらく停車します」運転士と添乗の社員さんが現場へと走ってゆく。何を確認したのかよく分からないけど数分で戻ってきて発車となる。ブレーキ系とか大丈夫なのかしらん。再びブレーキ。鹿がまた出たらしい。今度は衝突しなかったらしく停まらずに発車。まもなく茶内となる。大きなカバンを抱えた人が一人降りてゆく。次が浜中。ここでも一人下車。高速バスも止まらないような小さな街と札幌を結びつける事がこの列車の役割、なのかもしれない。「北の動物王国」というポスターが出ている。ムツゴロウの動物王国ってそういえば浜中だったな。餓鬼の頃はよくテレビで見た。サマーランドに移ったんだっけ。相当苦しいフレーズだけど。でも、あれは何だったのだろう。駅を出てまもなく、車窓に馬が映る。車内は再び寝静まる。車窓を雪原が流れる。前に降った雪が解けずに凍りついた、そんな感じだ。空には雲ひとつ無く、右手前方から太陽が昇ってくる。今日は良い天気になりそうだ。
 列車は忘れた頃に現れる小さな駅を無視しながら走る。ようやく厚床停車。さらに根室半島へと入り込んでゆく。左手に海がちらっと見える。オホーツク海だ。ついで右手にも海。こちらは太平洋。太平洋には白波が立っている。相当荒れているらしい。そしていくつかの島々が浮かぶのが見える。落石に停まる。10年前に歩いたところだ。ちょうど同じ列車から降り立ったのだった。見た感じ当時と様子は変わらない。ここで高校生が数人乗車。ちょっと車内が賑やぐ。

納沙布岬

 2時間ちょっとを掛けて根室へと着く。羽田からは24時間以上掛かっている。無論、真っ直ぐ来ればこんなには掛からないけど。辿りつく、っていうのがぴったりな感じだ。結構寒いけど、凍てつく、という感じではないなぁ。今日はこれからバスで納沙布岬まで向かう。バスの乗り場は駅前の横。ちょうど納沙布行きのバスが入ってくるところ。乗ろうとすると運転士さんに聞かれる、「納沙布ですか?」と。「だったら切符買って下さい。ちょっと安くなりますから」片道\1,020。往復で\1,880。1割までいかないけどコーヒー代ぐらいかな。わざわざ親切な人だ。
 バスに乗っているのはほんの数人。明らかに釧路からの快速乗り継ぎな人が二人。恐らく札幌から一緒なんだろうなぁ。後は地元の人かなぁ。バスは根室市街を一回りした後に見覚えのある道を走り出した。途中、温度計が出ている。−2℃、だそうな。
 去年の5月に根室に来た時は、レンタカーを借りて走った道だ。前回は青々とした大地と空の下、窓を全開にして慣れない道を走りながら横目で眺めるドライブ。今回は弱弱しい青空と白い大地を身を委ねながら眺める時間。最果てまで来たという実感はどちらにもある。正直、もう少し違いが鮮烈にあるかなぁと思っていたのだけど。今日が青空でなく沈むような空で、吹雪いてでもいれば印象がまた違ったかもしれない。バスの行く先、時々集落が現れる。これが意外と大きい。竜飛岬へ向かう途中の集落は本当に小さく貧しいと言った感じだけど。北海道の方がカニやら昆布やらで意外と豊かなのかもしれない。そんな気もする。
 やがて先のほうに大きな塔が見え出す。だんだんと大きくなって終点納沙布岬の案内。バスを降りる。風が突き刺さる。
 ここまで来たのは4人。おばさんが一人観光物産館に入ってゆく。パートさんなのかもしれない。カップルが一組。そして私。とりあえず岬の先端へと向かう。海を見下ろす、そして先に平べったい島々がいくつか見えるその上に幾つもの碑が立っている。東京の、大阪のうよくうよくうよく。数える気がしないほどたくさんの碑。前に来たときには気づかなかった。まぁ場所柄こうなるわな。ダッカダッカダッカン、だって。まぁさっき根室線の列車から見てきた島々とさほど変わらないように見えるのは事実だったりする訳だし、すぐ目の前にあるのにそこに行くことが出来ないことも事実な訳である。
 灯台のそばまで歩く。難破船が打ち上げられてる。昨年5月に来たときもあった船だ。ソ連の船、って近くの食堂の人は言っていたっけ。その食堂は今日は店を閉じている。他の食堂も土産物屋も同様だ。何しろ日曜日なのに駐車場には車一台とまっていないのだから仕方がない。バスの車内から見えた塔、展望台に行ってみる。前回は無視したのか気づかなかったのかよく分からないけど行かなかったところだ。地上80mから北方領土を一望できるらしい。中に入ると受付嬢と上役らしい中年男の二人。他に人は居ない様子。入場料\900だって。そう何度も来る機会があるとも思えないし、視界も良好なので入ることにする。エレベータで最上階へ。こちらも人っ子一人居ない。先ほどの灯台からは真っ平にしか見えなかった水晶島が今度は島らしく見える。貝殻島灯台も見える。\900の価値があるかどうか知らないけど、視点が変わって楽しめた事は確かだ。
  灯台のそばまで歩く。難破船が打ち上げられてる。昨年5月に来たときもあった船だ。ソ連の船、って近くの食堂の人は言っていたっけ。その食堂は今日は店を閉じている。他の食堂も土産物屋も同様だ。何しろ日曜日なのに駐車場には車一台とまっていないのだから仕方がない。バスの車内から見えた塔、展望台に行ってみる。前回は無視したのか気づかなかったのかよく分からないけど行かなかったところだ。地上80mから北方領土を一望できるらしい。中に入ると受付嬢と上役らしい中年男の二人。他に人は居ない様子。入場料\900だって。そう何度も来る機会があるとも思えないし、視界も良好なので入ることにする。エレベータで最上階へ。こちらも人っ子一人居ない。先ほどの灯台からは真っ平にしか見えなかった水晶島が今度は島らしく見える。貝殻島灯台も見える。\900の価値があるかどうか知らないけど、視点が変わって楽しめた事は確かだ。
 帰りのバスの時間になるのでバス停に戻る。乗客はさっきも一緒だったカップルと自分。今度は集落ごとに一人二人と乗って来て、車内は賑やかになる。10時半ごろ、根室駅に戻る。
 帰りの列車は再び快速列車。ちょっと早いけど帰省客って感じのお客さんに見送りの人もいて、旅立つと言う雰囲気に溢れている。暖かな車内でまたウトウト。厚床に停まったのは覚えているけどきちんと目覚めた時には厚岸湖の脇を走っていた。白鳥やら雁やらが湖面のあちらこちらに散っている。列車がすぐ脇を走ってゆくのだけど、驚く様子もない。慣れているのかもしれない。
 列車が厚岸に着く。何人かが乗ってくる。降りるのは自分だけ。ここで1本落とす。次の列車までは50分ほど。ちょうど良い時間だと思う。
 10年前に初めて根室を往復して以来、厚岸を通るのはこれで4度目だけど、今度こそはかきめしを手に入れたいと思う。キオスクにはかきめしの張り紙が出ており、ここで扱っているようだ。でも、ただ単にかきめしを手に入れておしまいと言うのでは50分ほどの時間を持て余す事になる。折角なので駅前で「かき」の看板が出ていた店に入ってみた。「生かき」「焼かき」「かきフライ」「かきスープ」とお品書きが並ぶ。生かきの定食を注文。待つほど無く出て来る。ご飯と味噌汁と小鉢と生牡蠣だから、そりゃ早いわな。生牡蠣を食べる。美味しい。美味しいけどこないだ仙台で食べた生牡蠣の軍艦巻よりはちょい落ちる気がする。シーズンが過ぎたせいかなぁ。厚岸、牡蠣祭りは10/2〜11だそうな。その頃にまた来ればもっと美味しい牡蠣を食べられそうな気がする。う〜ん、牡蠣三都物語、なんていいかもしれない。厚岸、石巻、広島。まてよ、岩牡蠣の象潟も頭を擡げて来るし、三都、で収まるかな。
 少し駅の周辺を歩く。気温もずいぶん上がったようだ。手袋もせず、コートのボタンを外して歩く。通り過ぎてゆく風が心地良い。3月か4月のような雰囲気だなぁ、そんなことを思う。
 駅に戻るとキオスクに非情な張り紙が出ている。「かきめし売り切れ」あぅぅ。でも駅前に駅弁屋の売店があったな。そちらに行くことにする。やっているのかよく分からないけど近づいてみると確かに営業中。ようやく買えました。10年越しです。厚岸のかきめし。
 ここにも携帯ストラップがあるので聞いてみる。店のおばさん、私も使っているんですよ、って携帯を見せてくれる。「こっちはクリーナでこっちのマスコットは中身がちゃんと駅弁になってます」って。爆笑。こちらもお買い上げ。

【今日の買い物】携帯ストラップ 名物駅弁シリーズ 北海道名物 かきめし \710

 長万部で買ったのと同じシリーズ
 釧路からの列車がやって来る。珍しく2両編成。うち1両は切り離されて側線に入った。残り1両が釧路へ引き返す。乗っているのは数人程度。今度の列車は普通列車となる。

【今日の駅弁】かきめし \950 厚岸駅前氏家待合室

 10年越し、と散々書いた。本当は11年越しかもしれない。最初に見たのは93年11月。聖蹟桜ヶ丘京王百貨店でやっていた駅弁大会でだった。「幻の駅弁」と看板を掲げ実演販売していたのがかきめしだった。現地で買えなくて東京で目の前で作っている。それを幻として売る、正直嫌らしかった。こんなところで買うものか、と心に決めた。翌年の10月。道東を旅した。影も形も無かった。その後も2度ほど厚岸を通っているが、まだ入っていないとか言われて買えなかった。だから本当に苦節10年なのである。
 10年越しの駅弁に箸をつける。小ぶりな牡蠣が4個。牡蠣の炊き込みご飯。牡蠣は身が引き締まっている。美味しい。牡蠣の炊き込みご飯。ちょい甘めな気がする。正直10年の期待を受け止めてくれる味ではないかもしれないけれど、食べられたことは自体は嬉しかった。
 釧路に着く。釧網線の列車は15:48まで無かった、2時間近い待ち時間。恥辱を待合室で書く。バッテリーが気になる。出来ればどこかで充電したいけどね。待合室は狭く、混んでくると居心地が悪くなる。根室線の改札をやっていたのでそれにあわせて中に入ってしまう。ホームのベンチで続き。こちらは寒い。先ほどの厚岸がうそのようだ。厚岸って江戸末期に開かれた街だっけ。居心地の良い土地を選んで進出したのかなぁと昨日思ったことと同じことを思ってみたりする。
 ここで当初の予定に戻った。木曜日に宿を予約しようとしたときまで考えていたのは函館10:30で普通列車を乗り継ぎ、滝川で宿泊。翌日の始発に乗ると釧路廻りでも網走に19時に着けるので女満別20:20と言う飛行機で帰京しようという一種の弾丸旅行だった。あるいは宿泊を札幌として翌日池田から北見に抜けても良いとも思っていた。それが旅の窓口楽天トラベルで宿を取る気がしなくなり、ふと思い立ったのがまりもを使って釧路へゆき納沙布を往復した後に女満別へ今日の向かうコース。
 ようやく列車が入って来て乗車となる。今日4度目のキハ54。こちらは以前の簡易リクライニングシートを見合式に並べた方式のまま。今度の網走行きは結構混んでいる。カバンが大きな遠距離の客も目に付く。隣りに座った人の持っていた切符、知床斜里と見えた。席が概ね埋まったなぁと言うときに札幌からのスーパーおおぞらが到着。乗り換え客があって立客が出る。時間が来て発車となる。午後4時前、もうあたりは薄暗く、そんなに進まないうちに暗くなってしまいそうだ。列車は釧路湿原の辺りを走っている筈だ。雪にうっすらと覆われ、枯れた蘆が空を向く。いつの間にか寝てしまった。気がつくと摩周だと言う。車内の客は半分ぐらいに減った感じだ。隣りのホームに釧路行きの列車が見える。あちらはがら空き。列車が発車する。もう真っ暗だ。また瞼が重くなる。折角の旅先で寝てしまうのも難だけど、明日の事を考えれば眠れる時に眠る事は良いこと。どうせ外は見えない訳だし。
 次に眼を覚ましたら知床斜里。隣りの人が降りてゆく。車内も空席が目立つようになったけど明らかに釧路から乗り続けている人もいる。少なくとも自分の他に5人かな。意外と居るものだなぁと思う。
 最後の区間はさすがに眠らずに過ごした。真っ暗闇の中を走り続け、時折駅に停まる。乗ってくる客も降りてくる客もいない。ただ、北浜や浜小清水なんて駅に併設されたレストランやらラーメン屋の暖かそうな光だけが印象に残る区間。網走の手前で、釧路から乗り続けていた人が一人二人と降りてゆく。このあたり、もう網走の市街地だったっけ。
 網走の駅前から空港へ行くバスは19:13の発車だと前もって確認してあった。さてバス停はと探してみる。歩道は凍てついている、完全なアイスバーン。そろりそろりと歩いてゆく。駅前の歩道に見えたバス停は別の系統だった。空港ゆきは駅から少し離れたバス停に着くらしい。またそろりそろりと歩いてゆく。50mほど離れたところに目的のバス停。バスが来るまではまだ15分ほどある。ここで待つのは寒い。バスターミナルまで歩こうかとも思う。ターミナル発は19:10。一旦駅に戻って地図を確認する。1kmぐらいあるようだ。時間はあと10分。足元がしっかりしていれば歩くところだけど、今日の歩き方で1km10分は無理だ。大人しく駅の待合室で待つことにする。テレビが天気予報をやっている。明日の天気、北海道地方は荒れるらしい。
 バスの時間が近づいたので三度そろりそろりと歩いてバス停へ。誰も待っていない。歩道と車道の間には雪が堆く重なっている。凍りついた道。こんな時間に網走にいて今日のうちに横浜に戻れるのが不思議な気がする。三沢の駅前でリムジンバスを待った時の事をちょっと思い浮かべる。5分ほどでバスが到着。リムジンバス、乗客が数人程度でたいそう空いている。しかも路線バスを兼ねている様だ。途中で降りる客もいる。

JD1182 JA8477

 すれ違う車も少ない夜道をひた走る。バスはやがて女満別の市街へ。道路の温度計は-7℃を指している。やがて雪原に誘導灯が眩しい光るようになり空港に到着。
 リムジンバスの様子から飛行機、空いているのではないかと思っても見たけど空港は意外と込んでいた。チェックインした際にチケットに表示された番号は166番。っーことは200人ぐらいは乗客がいるのかな。展望デッキに出てみる。時節柄、夜間閉鎖かと思ったけどまだ入れる。しかも人が何人かいる。もう飛行機がスポットにいるかと思ったけどまだ見えない。19:50なんだけどな。そのときようやく着陸してくる飛行機の姿。JAS塗装のA300。一旦滑走路端まで行って転回。再び滑走路上をtaixingしてくるのが見える。スポットに入る。機体番号「77」だけが確認できる。JA8377かなぁ、と思ってみたりする。写真を撮って退散。そろそろセキュリティーチェックを受けておかねば。
 搭乗待合室はぱっと見た感じ座るところに困る程度の混雑。よく見ると空席がある程度とも言う。しばらく北海道ともご無沙汰なので最後にサッポロクラシックを1杯。美味い。
 搭乗開始、遅れる。そりゃ、19:50過ぎの着陸で20:20に離陸できるとは思えないし。案内では20:25出発となっているけどそれも無理だろう。20:30で御の字かなぁ。実際の搭乗は20:20過ぎの開始。
 今回は翼よりちょい後ろのほうの席。前のほうは席が一杯だけど後ろは余裕がある、もう少し後ろならぽつぽつと言った感じになるのだろうけど自分の周りは席が埋まっている。なぜか隣りは空いているけど。
20:29 Door close 「客室乗務員はドアモードをアームドにして下さい」と放送が入る。アームドだよとなぜか安心する。A300までオートマチックモードの変わったらどうしようと思っていたのだけど。こないだ11/27にJA8977の客室乗務員さんに聞いた話は間違いないみたいだ。
20:31 push buck 羽田までの所要時間、強い向かい風の影響で2時間を予定しているとの事。今から二時間だと羽田に着くのは23時近くになるなぁ。モニタの付いていないエアバスA300なので、エマージェンシーデモがある。二列の通路に前中後、合計6人のアテンダントさんが一斉に行うデモンストレーションは一種壮観。終わると照明が薄暗くなる。A300やMD81の夜間離着陸はこういう扱いするけど、B777だとぐるぐるでもやったかなぁ。あんまり意識していないや。
20:36 taixing 飛行機は北側の滑走路端へ向かう。誘導路はないので滑走路端でUターン。割と大きな飛行機だけど器用に廻るものだ。
20:39 take off RWy18 真っ暗な大地。とたんに何処を飛んでいるのか分からなくなる。
20:44 機内照明が元の明るさに戻る。
20:53 細かな揺れ。主翼灯の向こうに星が瞬くのが見える。真下には街の明かりがちらほら。
20:54 シートベルト着用サイン消灯 ほぼ同時に飛行状況の案内が入った。真っ暗なフライト。モニタもないし唯一の手がかりだ。現在、帯広上空。強い向かい風の影響で対地速度は680km/h。高度は9,400m。この後仙台上空を22:00に通過し羽田到着は22:35の見込み。気流の悪い部分も予想されるとのこと。帯広上空と言うことは太平洋上を飛んで宮古から沿岸に南下するコースだなぁ。帯広-羽田と同じようだ。
  2時間の夜間飛行はさすがに退屈になってくる。ヘッドフォンからから流れる音楽も二順目に入りつつある。機内誌は先週さんざん読み通したし。新聞に手を出してみた。東京版を積んでいる。今朝は羽田から運用に付いた、って事か。
21:41 揺れ始める。シートベルト着用サインが点灯した。アテンダントさんも着席。しばらく揺れていたものの、収まる。
21:46 シートベルト着用サイン消灯。まだまだ先は長い。アテンダントさんが機内を廻り始める。マイレージカードのパンフレットを持って歩いていたのでICカードへの切り替えを聞いてみた。マイレージをICにするかクレジットをICにするか、両方切り替えるとどうなるか、よく分からない事は多い。結局退屈しのぎにしかならなかったけど、まぁいいや。
 気が付くと眼下に灯りが見える。空の低いところに雲が垂れ込めているようで、ぼやけた様な光が広々と続いている。もう関東平野に差し掛かっている様子。間もなく致しますと「シートベルト着用サインが点灯致します。」と案内。最初の案内よりも早い気がする。
22:04 シートベルト着用サイン点灯
22:15 間もなく着陸の案内が入った。再び照明が暗くなる。左手の窓に瞬く光。航空機同士のすれ違い。
22:28 gear down そろそろ着陸する滑走路とどのスポットに入るのかが気になりだす。眼下には東京湾が見える。右側の様子が分からないので確かなことは言えないけれどRWy32ではないかと思う。Lを使うかRを使うか、沖止めかブリッジかで電車一本ぐらいは違ってくる。さてと眼を凝らすもののRWy32Rならば左手に見えるはずの塩浜の工業地帯が見えない。まもなく左手に駐機場が見える。600番台、700番台の駐機場だ。っー事はRWy32L。ここから沖止めになるか、あるいはゴトゴトとブリッジまで進むか、いずれにせよ時間が掛かりそうだ。22:31 touch down
 飛行機は第二ターミナルの前を進み、右折して第一ターミナルに向かう。ここで突然右折して40番台の沖止め、ってのも有り得たけど直進してくれて第一ターミナルまで来る。結局3番スポットに到着 spot inは22:38。
 後ろのほうに座っていた割りにはすんなり降りることが出来る。時刻は22:40になるところ。羽田空港からの京急線横浜直通は何時だっただろうか。07,27,47分というのが頭にこびり付いているので急ぐ。駅の改札まで来ると次の横浜方面は23:05となっている。22:53泉岳寺と言うのがあるけどこれに乗っても結局23:05と同じになるのだそうな。
 バスターミナルに向かう。次のYCATゆきは22:56。港南台行きも23:10にある。バスは横浜駅まで標準30分だけど今の時間ならもう少し早いだろう。港南台行きは何分掛かるかな。港南台から洋光台の一駅で案外時間を食いそうな気がする。横浜行きを選択。
 バスは期待通りに走ってくれる。本牧のジャンクションを右に折れる。湾岸線、次は磯子の文字、磯子行きのバスがあればなぁ。バスは石川町の横、関内の横、桜木町の横を通り抜ける。どこか一つで降りれたならと思う。みなとみらいで下道へ。横浜駅東口を一旦通り過ぎる。せめてココで降ろしてくれたらと思う。ぐるりと回りこんでわざわざ駅から遠いYCATへ到着。23:20。
 駅へと急ぐ。途中、京浜東北線の電車が到着するのが見える。どこ行きなのかは分からない。ホームに上がってみると次の大船行きは23:33。さっきの電車は22分の大船行きだった。バスが桜木町に行くか、せめて横浜駅東口に着いてくれれば乗れたのだろうなぁ。
 結局、羽田からの直通列車が23:28に横浜に着くのを眺めた後に23:33の電車に揺られて帰宅。洋光台には23:53。網走からは4時間40分の行程。