Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

日経概観6/3

78市町村が連結赤字/05年度穴埋め対策必要に(1面)

こちら。

地方自治体の4%超にあたる78市町村の財政が2005年度に、公営企業などを含む連結ベースで赤字だったことがわかった。今国会で審議中の地方財政健全化法案が成立すると、08年度から財政の健全度を測る新たな指標として「連結実質赤字比率」が導入される。赤字比率が高いと北海道夕張市のように国の管理下に置かれ、行政サービスの削減など住民生活にも影響が及びかねない。大きな赤字事業を抱える自治体は抜本的な財政再建を迫られそうだ。

 総務省から入手した全自治体・全会計の決算を基に日本経済新聞が連結実質赤字比率を試算した。同比率は自治体の連結ベース(第三セクターや地方公社は含まず)の財政赤字額が、教育や福祉など基本的な行政サービスに必要な財政規模(標準財政規模)に占める割合を示す。赤字比率が基準を上回る自治体は、国の管理下で再建を進める財政再生団体となる。(07:01)

指標とされる「連結実質赤字比率」は、現時点では「25%より高くする」ということで、一面記載の表には25%を越える自治体が10載っている。
北海道が多く、1位の夕張市を含む5市町。それ以外では、小学校の修学旅行先であった山口県秋芳町(当時、福岡県在住)と、熱海市の名前が目を引く。秋芳町は、観光事業の赤字が13億円ということで、他の必要行政サービスと比べると「無駄遣い」的側面が大きい観光関連のお金は、どんどん削減しないとならない。
それ以外、サービス削減が難しいが赤字の大きい事業は以下のとおり。

  • 個別事業で赤字が大きいのはバスや地下鉄。(神戸市のバスと福岡市の地下鉄は300億円を越す赤字。7自治体の12事業で100億円を越す赤字。仙台市は・・・?)
  • 赤字の事業数の多いのは老人保険医療。(458自治体が赤字)
  • そのほか、病院や国民健康保険の赤字が足を引っ張るところも多い

ただ、先週の記事にもあったように、今回含まれていない3セクの扱いによっては、新たに表に登場してくる市町村も多いかもしれず、不安は募る。(先週の記事を読むと、ひとつの3セクで平均47億円の損失ということで、秋芳町の観光事業の赤字額を優に超える。この借金を背負うのは、基本的には、市町村ではなく都道府県ということだが・・・。)

社保庁歴代長官の責任 第三者機関が調査(3面)

こちら。

社会保険庁が管理する公的年金保険料を納めた記録約5000万件の持ち主が分からなくなっている問題で、厚生労働省は歴代の社会保険庁長官に責任があるかを調査する第三者機関を設ける。大学教授など外部の有識者に加わってもらい、記録管理体制のどこに問題があったのかを調べる。

web版にはないが、「管理責任が重いと判断すれば、退職金を返してもらうなど厳しい処分をするよう結論付ける可能性もある」という。本当に厳しい!が、基本的に賛成。
ただし、スケープゴート的というか、本来は、システム的な部分(それこそ日本社会的!)に一番の問題があるかも知れないものに対して、特定の個人を罰することで溜飲を下げるというのは少し気持ちが悪い。
あと、非難されそうな個人が特定された場合、彼の悩みを聞くカウンセラーがつく必要。
我ながら悪趣味だが、悩みを深めて自殺に至った松岡利勝元大臣には、伊吹文明文部大臣から以下の手紙を送ってほしかった。「きっとみんなが助けてくれ」たはず。*1
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/06110713.htm

中銀が興じる買収合戦(3面・けいざい解読)

アジア各国で積みあがる外貨準備を背景に「中央銀行や財政当局による企業の買収合戦が起きる」という話。

  • タイ政府はシンガポールを目の敵にしている。(タクシン前首相が不当に利益を得た取引相手がシンガポール政府の投資企業だったから)
  • シンガポールには二つの政府系投資会社があるが、ヘッジファンド的で実態は不透明。(GIC、テマセク)
  • これに対抗してタイも同様の投資公社をつくるようだ。マレーシアには既にある。
  • 韓国も昨秋に稼動。(KIC)
  • 中国もシンガポールをまねて設立する。(SIC)

全くの素人で判りかねるが、東アジア共同体への道のりは厳しい。仲良くやりましょう。

EU、CO2削減目標の虚実(4面・国際:地球回覧)

まずはおさらい。

  • ポスト京都議定書をにらみ、EUは1月に温暖化ガス(GHG)を20年までに20%削減する新目標を掲げた。*2
  • これに中国やカナダが続いた。*3
  • 日本は50年までに世界で半減という総合戦略を表明。*4
  • ブッシュも15カ国の数値目標を作る提案をした。

EUの目標に対しては、産業界から「非現実的な値」と冷ややかな目を向けられているが、大風呂敷を広げるのが欧州流だ、というのがこのコラムの主旨。

どの程度ならば達成できるかという着地点を慎重に見極め、議論を煮詰めていく日本とは発想が異なる。
(略)
目標を掲げて走り出すEUのやり方は派手なだけで明確な根拠が無いと言ってしまえばそれまで。だが、それは狭い地域に多くの国がひしめき、多様な文化を抱える欧州が培ってきた「知恵」でもある。
(略)
壮大すぎるともいえる目標を、時間をかけて実現にこぎつけるのがEU流といえる。

EU自体も、その源は1946年にチャーチルがぶち上げた「欧州合衆国」の理念にあり、EU流を体現している。
自分は、環境問題については、日本も大いに欧州流でいってほしいと思う。そういう意味では、安倍首相の「50年に50%」発言には賛成。(その中で日本が何をするか/削減目標がどの程度かが、よくわからないのは不満)*5
先週に引き続き安井至教授の頁から引用する。

C先生:日本社会というものは、比較的よくできた社会ではあるのだが、欧米(含むEU)の政府ができもしないことを平然と発表することに比べると、日本の将来への方針は、どの組織についても、また、誰が作るにしても、次のような態度で作られることが多い。
(1)「石橋を叩いて渡らない」、
(2)「合意をとりつけているうちに未来が来てしまうことを狙う」、
(3)「関係者の利害のすべてを盛り込むために、できるだけ平板的でインパクトが無いものを作る」、
(4)「できるだけ多くのしがらみに、なるべく引っ掛かりつつ検討する」。

A君:要するに、「駄目」だということですね。

要するに、日本流は「駄目」。

エレベータ事故から1年/ブレーキ異常見落とし?/業過致死容疑 保守業者の立件検討(34面)

記事では、構造上の問題(つまりシンドラー社)も挙げられているが、メインの事故原因は保守点検業者(SEC)の問題という書き方。
ジェットコースターの事故もそうだが、機械自体の問題以上に、「点検」の重要性が、これらの事故のひとつのポイントなのだろう。
常に「異常なし」という点検であれば、マニュアルがあれば素人でもできるだろう。簡単な人件費カットに陥らずに、点検者の判断力、専門技術をどのように育てるか?継承していくか?が問題。
ということは、逆に言えば、メーカーや管理者、そして消費者が、「点検」の重要性を認めて、有能な「点検技術者」に上手くお金が回るような仕組みがつくられる必要があるのかも・・・。

*1:正直な話、こういった政治家の責任の取り方、日本的なけじめのつけ方=何も解決されずにうやむやに終わらせるやり方には嫌気がさします。一方で、文部大臣の手紙には、これを「読む相手」が見えてきません。松岡大臣のように特定の相手を想定したとき、この手紙の「伝わらなさ」が改めてわかります。

*2:20年で20%は覚えやすくていいね。

*3:カナダは京都の目標達成を諦めた国のはず。どう続いたんだっけ?

*4:EUにならって、50年で50%としたのか?

*5:一方で、「100年安心」とか、「5000万件を1年で」とか、年金関連への実現不可能なコメントの積み重ねには大いに不満。