サルコジ的フランスとサルコジ的大相撲

グローバル経済がウリと言われるニコラ・サルコジフランス新大統領は、元々はハンガリーの家族出身だ。そして、思い当たる限り、フランスを担ってきた人々というのは、意外と非フランス系が多いことを思い知る。
レヴィ=ストロースはベルギー生まれのアルザス出身のユダヤ人家族。ジュリア・クリステヴァは、ユダヤブルガリア人。ブルガリアといえばフレンチポップスの女王Sylvie Vartanブルガリア出身だなあ。
フレンチポップスと言えば、マルセル・プルースト氏ご推奨のミッシェル・ポルナレフおフランス人だが、それを真似た井上陽水は立派な日本文化を創った。要するに、固有の文化は本当に固有だったら固有の文化は育たないということであって、かなり不条理な側面がある。
不条理なアルベール・カミュはフランス系アルジェリア人。アルジェリア系といえば、「フランスの神様」ジネディーヌ・ジダンもそうだ。
探せばもっといるだろう。
フランスは確実に外部の世界を取り入れ、変わっているが「フランス」であり続けている。
そのサルコジさんが日本の大相撲を「太った男たちの戦いに、どこに魅力があるのか」「相撲は知的なスポーツではない」と罵倒したそうだが、「変わらない閉鎖的な文化」への厭味なのだろうか。
しかし、大相撲だって気が付けば、ハワイ、サモア、モンゴル、ブルガリア、ロシア、グルジアエストニアと多士済々だ。大相撲も変わっているが、やはり「大相撲」だ。確かに言われるとおり、近年とみに肥満気味で、そう言われてもしょうがないところはあるけれど、朝青龍とか白鵬琴欧洲はそんな肥ってないぞ。横綱なのにけたぐりを平気でする朝青龍は十分に知的だぞ。
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植草一秀被告に好感

セーラー服痴漢プレーは?「何度か」…公判で植草被告の性癖バレた 早大大学院教授、植草一秀被告(46)の第7回公判が18日、東京地裁であり、検察側が植草被告の性癖を洗いざらいさらした。「洗面台の前で制服プレーしたことは」「不忍池近くのショップで制服を買ったか」など、否定の余地もないほどの具体的な質問を矢継ぎ早に浴びせられた植草被告は、渋々ながらも性癖を認めるしかなかった。
泣けてくる。人生の惨さと悲しさと、そしてだからこその喜びを。
植草被告は無罪を主張しているが、ま、この公判の証言は直接的な証拠にはならんと思うけど、裁判というのはつくづく人間の心の機微を機械的なまでに曝してしまう公開私刑の場だと思う。
思い出すのは三島由紀夫豊饒の海」。これ、第1巻は映画「春の雪」でかなりお馴染みになったけれど、全体的には裁判小説だ。
特に第3巻{暁の寺」、第4巻「天人五衰」は元裁判官の痴漢小説と言っていいくらいだ。主人公のヤメ判弁護士が神宮外苑とかで男女の痴態を覗き、わざわざタイのお姫様を覗き見するために別荘まで作った御仁だ。とうとう、ひょんなことから週刊誌記者にかぎつかれて暴露記事を書かれ、恥さらしてしまうのだが。三島は意識的に裁判官にして被告という二重の役割を、しかも滑稽な形で持たせ、シャルル・ボードレールの「創造を志す人は催眠術者と被術者のひとり二役をになわなければならない」(死刑囚にして死刑執行人)を小説に取り入れている。
植草被告は裁く人ではないが、理性の高見から世の中を見下ろす立場のエコノミストだ。その人が恐ろしくも正直な行為を曝されている。刑事被告人以上に醜聞という目に見えない裁判官の被告。
私は、今後、植草被告がどうなろうが、これからも正直に人生を肯定して生きて欲しいと思う。人間は皆、自らの死刑執行人にして死刑囚なのだから。
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