67年前の問題解決フレームワーク―『道は開ける』D・カーネギー

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マッキンゼーやらボスコンやら、経営コンサルの方々の書籍には数多くの問題解決フレームワークというものが挙げられています。実はこうした問題解決フレームワークは60年以上前のベストセラーにも与えられていた、ということをご存知ですか?


今回はその今から67年前の1944年初版のベストセラー『道は開ける』を紹介します。大体どこの本屋さんにも置いてあるので見たことがある方も多いと思いますが、問題解決フレームワークの元祖としても非常に有用な本です。


道は開ける 新装版

道は開ける 新装版


人の悩みは今昔一緒
本書の中では人々のあらゆる悩み、そしてその解決に至までを事細かに、100以上のストーリーと共に紹介しています。これらの人々の悩みというものは、時代・場所が違えどさほど異なりません。


例えば、テッド・ベンジャミーノという若い軍の下士官は「仕事で失敗するのではないか」という悩みにさいなまれ神経衰弱を起こしてしまいます。
レオン・シムキンという出版社の支配人は勤務時間の半分が会議に費やされるという悩みを抱えていました。


こうした悩みは現代日本でも同じように存在します。根本的な悩みというものは、人間関係、仕事の不安から生じているものであり、キリストや孔子の時代から変わりません。よって、60年前の人々の悩みを解決してくれた『道は開ける』は現代でも十分に通用する問題解決フレームワークとして有用だと解ります。


ベターはワーストから
本書で紹介されているフレームワークには色々な種類がありますが、大まかに区切ると以下の一つに集約されます。

1.「起こりうる最悪の事態とは何か」を自問する
2.やむを得ない場合には、最悪の事態を受け入れる覚悟をする
3.それから落ち着いて最悪状態を好転させるよう努力する

本ブログのテーマは「ゲッティング・ベター」、つまり生活、人生、人間関係を”より良く”することですが、その為にはワーストな事態を想定し、受け入れることから始めなくてはなりません


中途半端な状態で悶々と悩み続けるということは良くあることで、我慢できないほどじゃないけどベストとは思えない!そんな頭も足もどこにも付かないという状況が続くと悩みは解決しません。
それなら思い切って仕事を辞めてみるということもあるでしょうが、本フレームワークを使うことで、実際に物事をワーストにせずとも事態をベターにする準備を整えることができます


1と2のステップに関しては、最悪の状況想定というのは自分に正直になれば誰でもできます。ステップ3は「努力する」とかなり抽象的なものになっていますので、もう少し詳しく紹介します。


悩みを書き出せたら半分解決
以下のフレームワークは上記のステップ3をより詳しく示したものです。

1.悩んでいる事柄をくわしく書き記す
2.それについて自分にできることを書き記す
3.どの解決策が望ましいか決断
4.その決断をすぐ実行

頭の中でぐるぐる考えていたのでは何も解決しませんし、時間と精神的な疲労だけが積み重なっていきます。悩んで切る事柄を書き出して、その事実を客観的に見る必要があります。事実は書き記してから分析する方がずっと簡単です。
『問題を手ぎわよく表現したときには、半分は解決されている』ということです。こうした実際に体を動かすプロセスを経ることで、”ワースト”を受け入れることができ、ネガティブなエネルギーを解放することができます。


実行してみたこと

実際に私が仕事であるプランを思いついて、それを実行に移すかあれこれ悩んでいる際に本書を読み、このフレームワークを用いてみました。

自分で考えたプランが失敗した場合の最悪の状況を自分で整理すると、最悪の状況でも現場の仕事で手間が一つ増えるだけでした。もちろん一つの手間と言っても多くの人を巻き込んでしまうため、リスクも大きいものです。しかし、うやむやになっていた最悪の場合のリスクと、得られるかも知れないリターンを定量的に比べることができるようになりました。


こうしたステップを踏むことによって定量的に物事を表せるようになるため、自分の中の悩みがすっきりと解決されたのみならず、人を説得力を持って説得できると解りました。「ワーストとベターを比べて実行する」という本書のフレームワークは非常に有用です。みなさんも良ければどうぞ。


【関連記事】
問題解決プロフェッショナル - ゲッティング・ベター
パフォーマンス・マネジメント−問題解決のための行動分析学 - ゲッティング・ベター
全体最適の問題解決入門 - ゲッティング・ベター
人を動かす - ゲッティング・ベター

自己啓発書はなぜ人生を変えないのか?―『仕事の哲学』P.F.ドラッカ

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前回、前々回で紹介したドラッカー本の続きです。今回で本書の紹介は最後です。


ドラッカーが教える最も効果的な成長法 ー 『仕事の哲学』P.F.ドラッカー - ゲッティング・ベター
意味のないインプットを止めるー 『仕事の哲学』P.F.ドラッカー - ゲッティング・ベター


自己啓発書で人生変わった人っているの?
自己啓発書は私も読みます。筆者はなぜかテンションが高いことが多く、元気がないときに読むと圧倒されて、しかも文章のうまい本だと、なんだか自分がなんでもできる才能のカタマリのような気がしてきます。


しかし、一週間も経つと本の内容も忘れ、心に大きく膨らんだはずの野心もしぼんでしまうことがほとんどです。一瞬だけ元気になるビタミン剤のようなものです。今回紹介している『仕事の哲学』もいわば自己啓発書です。本書も一週間経てば忘却される予定でしたが、本書の中に『なぜ自己啓発書は人生を変えないのか?』に対するヒントがあったので紹介します。


事実からスタートしてはならない
人が何かをしようと決定する際、よく言われるアドバイスとしては「事実を分析してスタートしなさい」というものがあります。勝間和代さんの著作『起きていることは全て正しい』など、事実にこだわる人は多いです。しかし、ドラッカーは正反対のことを説いています。

最初から事実を探すことは好ましくない。すでに決めつけている結論を裏付ける事実を探すだけになる。見つけたい事実を探せないものは居ない。


つまり、自分の決定を擁護してくれる事実からスタートしてはならない、ということです。インターネットで探せば大抵の知りたい事実が見つかる現代にはまさに当てはまる言葉です。

例えば大企業を辞めて起業を目指そうと言う人を擁護してくれる記事もあれば、大企業で働く方が良いと言う人を擁護してくれる記事もあります。以下の二つの記事はどちらも説得力があります。


2010-03-09
失敗ができる国、日本 : けんすう日記


自己啓発書においても同様のことが言えます。自分の希望を擁護する本を読んでしまうから自己啓発書は人生を変えません。小さなことに悩んでしまう人は「悩む力」という本を見つけたら、「そうか!悩んでも良いんだ!」と思いその本を手に取ってしまいます。小さなことで悩むことは悪だ、という可能性を無視するようになってしまいます。

悩む力 (集英社新書 444C)

悩む力 (集英社新書 444C)


それでは事実からスタートできないとしたら、何を判断基準にして意思決定すれば良いのでしょうか?自分を擁護してくれる事実以外も公正に評価する必要があります。これにもヒントがあります。


意図的に意見の不一致を作り上げる

成果をあげる者は、意図的に意見の不一致をつくりあげる。そうすることによって、もっともらしいが間違っている意見や、不完全な意見によってだまされることを防ぐ。


会議や単なる会話では話の流れがあって、「大方みんなこの意見に賛成」という雰囲気になると、反対意見が言いにくくなります。特にめんどくさい会議など早く終わらせたい場合は、もうそっちで良いよ!となりがちです。反対意見を言う人は空気の読めない人になってしまいます。しかし、本当に公正な事実を掴むには、一度反対意見を募う流れを作り出さなくてはなりません。


これは会議でなくとも、個人でも同じことが言えます。自分一人で物事を決めようとすると、悩んで人に相談するとしても大体相談する前から自分の中で結論を出してしまうものです。みなさんも同じ経験があると思いますが、これは反対意見を本で読む努力をしても、ネットで反証記事を探す努力をしても自分の意見は変わりません


私が自分の意見を変えるのに最も効果的だと思うのは、自分と反対意見を持つ人に説得してもらうことです。しかもちょっと苦手だけど尊敬できる人に説得してもらうことです。苦手な人は人間の根本が違うので大体自分と違う意見を持っています。しかし尊敬できる人なら、その人の意見を頭から否定することなく真摯に聞くことができます。私にとってちょっと苦手だけど尊敬できる人は友人に2人と学生時代の先生に一人います。私なら彼らに相談します。


嫌な人に会うと勉強になる。 - 原左都子エッセイ集
http://blog.livedoor.jp/kensuu/archives/50784445.html


最後に
あえて嫌いな人にあう、嫌いなことをする、嫌いな本を読むというのはとてもエネルギーが要ります。しかし、それが自分の好きなことをするのに役立ってくれると考えれば、エイやっ!と行動するのは難しくない気がします。心地いいなぁと思う瞬間があったら要注意ですね。物事をカンペキに公正に見ることは不可能ですが、思い切り反対にハンドルを切って自分を見直してみることにします。

意味のないインプットを止めるー 『仕事の哲学』P.F.ドラッカー

この記事を読むのにかかる時間:約3分

前回からポストの続きです。

ドラッカーが教える最も効果的な成長法 ー 『仕事の哲学』P.F.ドラッカー - ゲッティング・ベター


今回はドラッカー流「成果を上げる方法」についてです。


ドラッカーも薦める遅延評価勉強法

技能や知識などインプットからスタートしてはならない。技能、情報、知識は道具にすぎない。


ドラッカーは成果をあげる実践法として、自分の時間が何に取られているかを把握し、成果に繋がっている重要なことに注力すべきだと言っています。

このような目的志向型のインプットの仕方は「遅延評価勉強法」という呼び方で呼ばれているそうで、注目を集めています。


遅延評価的勉強法 - IT戦記
勉強が苦手な人向けの「遅延評価勉強法」 : けんすう日記


これは簡単に言うと、『必要になったら、必要なところだけ勉強する』ということだそうです。


私はどちらかというと勉強が好きな質で、アウトプットなどを気にせずにインプットのみを続けてしまう癖が抜け切りません。しかしもう学生ではありませんから、知識の有無そのものが成果として問われることはもうあり得ません
そのようなインプット指向型から抜け出す方法としてドラッカーは以下の様な方法を提案しています。


インプット指向型から抜け出すには

何かをすることに決めたら、何を期待するかを書きとめる。九ヶ月後、一年後に結果と照合する。私自身これを五〇年間続けている。そのたびに驚かされる。


これは目標管理マネージメントと言われるマネージメント方法で、実際に私の働いている会社でも導入されています。自分の決めた目標に向かって働くことが最もモチベーションが沸きます。目標の達成期間としてふさわしいのは、プランを明確にするためには長くても1年半だそうです。ただ、1年半もの間の目標管理を個人でやろうとすると怠けてしまいがちです。そんな方にはこんなのはどうでしょうか?


フェンリル - デザインと技術でユーザーにハピネスを

私のようなスマートフォン中毒者も多いと思います。せっかくのスマートフォンを有効活用してみましょう。


日々の実践として

時間の記録をとり、その結果を毎月見ていかなければならない。最低でも年二回ほど三、四週間継続して記録をとる必要がある。


目標を決まっても、最後の実践の段階で躓いてしまうことも多いです。目標セットも辛いのに目標達成も辛い。。。成果への道のりは厳しいですね。その対処法としてドラッカーは時間を体系的に管理する上の方法を薦めています。

3〜4週間も時間を記録するなんて、なかなか常人にはできないことだと思いますが、これにもスマートフォンを利用して楽しくやりましょう。


podcast-j.net


<5月15日追記>色々タイムログアプリを試したところ、こっちのアプリが使い易かったです。

http://zonostyle.com/2010/11/atimelogger01.html


うまくドラッカーの教えを習慣化できると良いですね。
行動を習慣づけたい人 読書1万時間


最後に

「目標設定⇒時間管理」が重要だと認識できれば、スマートフォンや便利手帳など現代では様々な便利グッズがあります。しかし、そもそも目標を何に設定するかは、結局自分の価値観の問題です。「これを目指せ」とはドラッカーは教えてくれません。


目標は大きく、と良く言われますが、私は大きな目標を立てるのさえ億劫で目標設定の前段階で躓くこともあります。そういう時はドラッカーの薦める目標設定期間である1年半の間に、結構頑張れば達成できそうなことは何か、と自問すれば良いのだと気づきました。長くても1年半に一度は自分を棚卸しする時間を作ることにしました。

ドラッカーが教える最も効果的な成長法 ー 『仕事の哲学』P.F.ドラッカー

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さて、今話題(ちょっと遅い?)の『もしドラ』、読みましたか?非常にキャッチーなタイトルで去年末から今でもベストセラーですね。と、持ち上げておいて私は読んでいません。

おそらく『もしドラ』は「ドラッカーは興味あるけどなんだか難しそう」という層にバカウケなんだと思いますが、ドラッカーの著作はどれも難しくありません。原本を読んだ方が間違いもありませんし効率的ですね。

本ブログでも紹介した『プロフェッショナルの条件』なども非常に読み易い本です。

プロフェッショナルの条件 - ゲッティング・ベター


それでもやっぱり、ドラッカーをお手軽に読みたい!」かつ「原本で読みたい!」という二つの願いを叶えてくれるのがこの本です。

仕事の哲学 (ドラッカー名言集)

仕事の哲学 (ドラッカー名言集)


本書はドラッカーの数々の名著の中から中核になる言葉を抜き出したもので、文字も大きく読みやすいし、おそらく2〜3時間あれば読めてしまうほどの、ドラッカー公式まとめ本です。

お手軽ですが、中に出てくる言葉は、ドラッカーの本に何回も出てくるようなドラッカーの思考の中核を成すものばかりで、学びも非常に多いです。


今回から数回に分けて本書の中身を紹介して行きたいと思います。


ドラッカーが教える最も効果的な成長法とは

ドラッカーが本書で最初にまとめているのは、「成長」についてです。その中で、最も効果的な成長法についてこう述べています。

自らの成長につながる最も効果的な方法は、自らの予期せぬ成功を見つけ、その予期せぬ成功を追求することである。


ドラッカーは様々な著作の中で「強みを活かす」ことの重要性を述べています。成果を残し、自らの人生を実りあるものにするには、自分の強み、上司の強み、部下の強み、身の回りの人々の強みを活かすことが欠かせない、ということです。

「弱み」を補うよりも、「強み」を活かすことの方が、何倍も大きな成果を残せるのです。


稼ぐためには"強みを活かす"べし
強みを生かす : ワイズギャラクシー航海日誌 GALAXY NOTE


ところが、多くの人は「自分の強みって何だろう?」と思うのではないでしょうか?人と比べてこれだけは自信がある、というものがある人の方が少ないと思います。かくいう私も自分の強みをはっきりと認識することはできませんでした。


そこで今回紹介したドラッカーの名言が活きてきます。思わぬ成功を見逃さないようにするのです。自分で思っていたより少しでも大きな成功を収めた仕事があれば、それはあなたの強みを暗示しています。

例えばこんなことはありませんか?


パッと作った分析資料があらゆる会議や営業プレゼンの資料として何回も引用された。
あなたには優れた分析能力、文章能力があるかも知れません。


仕事を分担する際、同じ負担量にしているはずなのに、いつも同僚よりも早く仕事が終わる。
あなたには思考の瞬発力があるかも知れません。


文章を作成した後に上司にチェックしてもらうが、同僚に比べ上司の手直しが入る回数が少なかった。
あなたはとても注意深い人間で繊細な仕事ができるかも知れません。



大事なことは、思わぬ成功を例外と見なさないこと、その為に問題を多く抱えすぎないことです。


後半の問題を多く抱えすぎないこととは、身の回りに問題がありすぎると、問題ばかりに気を取られ小さな思わぬ成功に気づけなくなってしまうから、だそうです(ドラッカー談)。


精神的にゆとりを持って、思わぬ成功を見逃さないようにしましょう。


最後に

この成長法、ないし自分の(もしくは他人の)強みを見つける方法は、どの年代の人にとっても大事です。出世のため?社長なら自分の会社の成長のため?就職活動中の学生なら自己アピールのため?自らの強みは自らの経験によってのみ明らかになります。くれぐれも想像上の「こうありたい自分」からウソの強みを導き出さないようにしたいですね。

個性にこだわる起業は失敗する

世の中には様々な職業、性格、年齢、学歴を持った人達がいます。「みんな違ってみんな良い」という名言があるように、それぞれが異なる個性を持った個人です。しかし、事業を起こすとなると、その個性にこだわっていては失敗するようです。

成功者の告白 5年間の起業ノウハウを3時間で学べる物語

成功者の告白 5年間の起業ノウハウを3時間で学べる物語


本書では『あなたの会社が90日で儲る!』や『非常識な成功法則』など多数の著書を持つ著者が、数々の起業をコンサルタントしてきた経験から、企業の展開パターンには決まった型がある、と説明しています。それら決まったパターンを分かり易く、物語にそって説明してくれる、非常に取っ付き易い、読み易い本でした。

多くの起業家が、自分の事業で起こる成功、失敗、問題は自社に特有の問題だと考えるようですが、本書では事業の立ち上げの成功や失敗、会社成熟期の人間関係、さらには離婚や子供の病気までもがパターンに当てはまると説いています。

「あなたはパターン通り失敗している」と言われるとイラっとしてしまいますが、パターンを知っていれば少なくともパターン通り失敗することは避けられます。5年で80%が消えると言われるベンチャー企業において、しなくてもいい型通りの失敗は避けたいものです。

知識がなければ、我々は感情の奴隷になり、パターンにはまり込む


1.起業時の成功と失敗

成功するパターン:既存市場のニッチを狙って企業。
失敗するパターン:ダイヤモンドの原石を探す努力をせずに、目の前の石ころを磨く。

既存市場のニッチとは、市場が成長期の前半であり、ライバルに優位性があり、十分な粗利があることが必須だそうです。何においてもタイミングを重視することが大事。

2.顧客を増やす際の成功と失敗

成功するパターン:リピーターを増やす努力と、スピードを重視する。
失敗するパターン:上手く行っている現状を判断できずコースから降りる。

顧客はすぐにはモノを買いません。資料請求などのファースト・コンタクトから購入までにはタイムラグがあることを理解できるかどうかがポイントのようです。資料請求した顧客には成功事例のレポートを送り続けたり、見積もり依頼に迅速に対応することが大事です。


3.成長期入り口の家庭の成功と失敗

成功するパターン:夫婦が同じスピードで成長。
失敗するパターン:行き過ぎたプラス思考で家庭にマイナス思考を生む。

企業がうまくいき始める成長期に最も離婚が増えるそうです。多くのビジネスマンの家庭が上手く行っていないのは、それぞれに全く異なる理由があるのではなく、パターンだといことです。一時的な家庭不和ならまだしも、マイナス思考が漂う家庭の歪みは、家庭の最も弱い部分である子供に悪影響を与えます。

これは起業家のみならず、全てのビジネスマンに当てはまることだと思います。私の父はサラリーマン、母は子供相手に英語を教えていました。共働き夫婦の子としては寂しいこともありましたが、却って家庭バランスが保たれていたのかもしれません。今でも家庭が最も心安らぐ場所なのは母親、父親が成長しあえる存在だったからなのでしょう。


4.家業から組織へ生まれ変わる時の成功と失敗

成功するパターン:会社をソフト面でシステム化する。
失敗するパターン:オーナー主導型から抜け出せず年商10億円弱を行き来する。

心理学を組織に適用すると様々なことが見えてきます。クレーム対応などストレスフルな仕事をしている人がいると、場自体が病的になる。その結果として構成員を通して病が頻発するのがパターンだそうです。成功するパターンには、

怒りの発散⇒母親的な愛情⇒父親的なしつけ⇒経営のシステム化

という順番を踏むことが必要です。


5.成熟期の成功と失敗

成功するパターン:成長カーブの位置によって異なる資質が活躍する。
失敗するパターン:起業家もしくは実務家のエネルギーが強すぎる。

成長カーブの場所によって①起業家、②実務家、③管理者が活躍すべき時期が決まっています。そして反発するそれぞれをひとつにする④まとめ役も大事だそうです。

いわゆる「できる人」というのはどういう人物のことを言うのか、常に疑問に思っていました。誰が見ても圧倒的にできる!という人にはなかなか出会えないため、経験からは分からなかったからです。しかし、それぞれの場面において必要な資質は異なる、「できる人」に必要な資質は時と場合によって異なるということだと思います。自分の強みを活かせるのはどういう場面なのか、私はまだこれから見極めていかなければなりません。


最後に

どれだけ複雑であっても、単純なパターン化を通して理解するという行程は科学においても非常に重要です。物質の運動を単純な数式で表し難しい事象を予見します。例外を例外として見過ごすのではなく、パターンがあることを理解することは先読み力をも与えてくれるのだと思います。


メモ
-MBAで学ぶのは経営管理であって、創造のための知識ではない。
-顧客数が少なければ下請け仕事と変わらない。
-収入はシンプルな法則で決まる。どれだけ多くの顧客に役立てるか。
-お客様の声はビジネスの根本。シンプルながらもっとも効果的な広告になる。

人付き合いを負担の無いものにする3つの方法

社会人になってはや1年が経ちました。会社で仕事をする上で最も大変なのは、仕事そのものでなく、人付き合いであるということは多くの勤め人が感じているところではないでしょうか。重要であるとは思いながらも、できるだけ人間関係の負担を減らしたい。そんな人にぴったりの本です。

人間交際術 (智恵の贈り物)

人間交際術 (智恵の贈り物)

これはちきりんブログで書評が載っていたため、前から読みたいと思っていた本です。

2010-06-25

本書は人付き合いを負担の無い楽しい愉快なものにするための本です。200年以上前にドイツ人作家アドルフ・クニッゲによって書かれた本で、大ベストセラーになったそうです。現代にも通じるその人間交際術は、古くささはありません。

本書では数々の人間交際Tipsが紹介されていますが、その中で特に響いたものを紹介します。


1.ときには頭を下げる


http://farm1.static.flickr.com/121/286973529_ccaacae6dd.jpg

頼まなくても骨を折ってくれるだろうと期待してはいけません。
多くの有能な人が、自分から懇願したり頭をさげたりできなかっただけで、同胞の役に立つ機会を得ることなく、埋もれたまま一生を終えてしまうのです。

本当に信用できる友達、仲間だとしても、その人の考えていることをその人以上に知ることはできないですよね。言わなくても分かってくれるよな、という期待は禁物だそうです。

同時に、期待は禁物だけどきちんと頼るべし、ということでもあると思います。学生時代、研究が行き詰まっている時、『何故先生は助けてくれないんだ』と思うことがありました。しかし、少し勇気を出して相談すると親身になって助けてくれたことを思い出しました。


2.事実は愚者に聞くべし

知っておくべき事実なら、愚者から聞くのが一番です。愚者なら話を面白くしようと誇張したり尾ひれをつけたりしませんし、よけいな感情を込めたり、巧妙な作り話もしないからです。


頭のいい人は話が上手いし、話を聞いていて面白いです。説得力があるから影響力が多いし敵になると大変です。なのでそういう話はまさしく話半分に聞いておきましょう、ということ。

しかし、一方でそういうの力はあらゆる場面で必要になります。一人の有能な人物が多くを決めて物事を進めていく場面にこの一年で数多く出会いました。そこで愚者の話です。

愚者とは言い過ぎですが、どんな場所にも大概いるのが、悪い言い方をすれば感受性が弱く空気を読まない人、良い言い方をすればいつでも落ち着いて冷静な人です。

私自身はどちらかというと、人の話を聞くと影響され、不安になってオロオロしがちな人間でした。学生時代からいつでも信頼できる友人は、落ち着いていて感情に流されない、作り話をしない人間です。自分とは正反対の大人な友人に恵まれていることをこの文章を読んで、改めて感謝しました。


3.人づきあいに”差”をつける

そんなに惜しげもなくばらまいたら、誰もあなたの愛情表現を信用しなくなってしまいます。


非常に難しい問題に、飲み会に・遊びに誰を誘うか、という問題があります。私としては単純に誘いたい人を誘えばいいと思いますし、愛想を振りまくために誘うなんて偽善だと感じます。しかし、一方で誘われなかったら文句を言わないまでも、不満に感じる人間が必ず居ます。そこで、常に全員を誘うのではなく、全員を誘う回と親しい人のみを誘う回をどちらも設ける、というイヤらしい方法しか無いように思います。

常に惜しげも無く愛情を振りまくのではなく、差別する。人間誰しも特別扱いされたい、ということでしょう。


人は誰でも特別扱いされたい? - イブウブ子@バリ島奮闘記 | バリ島ウブドから発信!


最後に


本書を読んでいる時に強く感じたことですが、これらの人間交際Tipsはあくまで自分に当てはめるためのものです。これらができていない人物を見つけても批判してはいけません。必ず卑屈な人間になってしまうでしょう。正しく読めば、改めて自分の行動を見直すきっかけになると思います。

図書館を使いやすくするブックマークレット

カーリルというサイトをご存知ですか?

簡単に言うと、読みたい本を検索すると、その本が借りられる図書館を表示してくれるサイトです。


カーリル | 日本最大の図書館蔵書検索サイト


良く使う図書館を登録しておけば、数ステップで図書館で本を予約できるため非常に便利です。
「読みたい」リストが作成できたり、図書館ごとの貸出状況を表示してくれるなど、
「本は買わずに借りる」派の私には欠かせないサイトです。


一方、読みたい本を探すには若干使いにくさがあります。
読みたい本を探すステップにはAmazonのレビューなどを参考にすることが多いです。
そのため「Amazonで本を探す」→「カーリルで検索し直す」というステップが必要でした。


そこで、Amazonで表示中の本をカーリルで表示するというブックマークレットを作りました。

javascript: var originalAddress; originalAddress = location.href.split("/"); window.open("http://calil.jp/book/" + originalAddress[5]); void(0);

使い方は

  1. 適当なページをブックマーク
  2. そのブックマークのアドレスに上記の「javascript:」から「void(0);」までをコピペ
  3. Amazonで見たい本を表示中にこのブックマークをクリック

Firefoxで動作確認していますが、InternetExplorerなどでは動かないかも知れません。

非常に簡単なブックマークレットですが、お役に立つと嬉しいです。