『クオリティ・リーディング』

一条真也です。

いま、読書法ブームだそうです。
『○○読書法』『△△読書術』『××リーディング』など、多くの関連書が刊行されていますが、特におススメが、『ビジネスマンのためのクオリティ・リーディング』(創元社)です。


                 読書の質が仕事と人生を変える


著者は、三輪裕範氏。伊藤忠商事の調査情報部長さんです。伊藤忠といえば、丹羽宇一郎会長が「顔」として有名ですが、三輪氏はその丹羽会長の懐刀です。
また、現役ビジネスマンとして活躍しながら、何冊もの本を書かれています。
週刊東洋経済』2008年6月21日号で、「最強の読書術」という特集が組まれました。そこで6人の人物が「読書の達人」として紹介されました。
その6人とは、池田信夫氏、齋藤孝氏、佐藤優氏、本田直之氏、勝間和代氏、そして三輪裕範氏でした。読書家としての三輪氏がいかに凄いか、よくわかる顔ぶれですね。
興味深いのは、「1カ月の読書量」についての質問に、三輪氏は「8〜10冊」と答えましたが、他の5人は「50冊〜100冊」と答えたことです。1桁違いますね。
そう、三輪氏の読書は、「量」より「質」なのです。
今はやりの「質より量」を求める、読書量重視の読み方を「クオンティティ・リーディング(quantity reading)」と三輪氏は呼びます。
そして、自らは読書自体の「質」をより重視し、むしろ読書における非効率をよしとする「クオリティ・リーディング(quality reading)」という読書スタイルを取るのです。

わたしは、『あらゆる本が面白く読める方法』(三五館)という本を出しましたが、そこでは速読と遅読、多読と精読の両方を使い分ける読書術を提示しています。
提示というか、わたし自身がそのように読んできたというだけなのですが。
わたしは、最近の「金儲け」に直結させるような「読書」論には大きな違和感を抱いています。やたらと読書に「効率」を求めるのも反対です。
三輪氏も同じお考えのようで、次のように述べています。
「もともと本というメディアや読書という行為は、『効率』とは相容れないものです。本を読んだからといって、すぐに新しい仕事が見つかったり、リストラの対象から外されたりするわけではありません。また、何冊か本を読んだからといって、それが即あなたの仕事のパフォーマンスを上げてくれるほど、ビジネスの世界は甘くありません。」



読んでいて、思わず膝を打ちました。気持ちいいぐらいに同感です。
これまで、読書する目的とされてきたのは、1.知識、情報を得るため、2.教養のため、3.娯楽のため、という3つの理由でした。
しかし三輪氏は、さらに重要な目的を示します。それは、読書をすることによって知的刺激を受け、その刺激をもとにして、「自分で考える」ことです。

あと、本選びにおいては新聞朝刊の第一面最下段の書籍広告を注意深く見ることとか、本を読むときに静寂な環境を確保することの大切さとか、「我が意を得たり」というか、非常に共感することばかりでした。
偶然にも、本書と拙著『あらゆる本が面白く読める方法』はアマゾンでよくカップリングされています。「この本を買った人は、この本も買っています」というアレです。
一般に、内容が似ている本同士がカップルとなることが多いようです。
ならば、三輪氏と小生の読書観は似ているのかもしれません。



ものすごく三輪氏に興味が湧いてきました。
じつは、いま、あるプロジェクトで伊藤忠商事とお付き合いしています。
ちょうど、今日(3月4日)は伊藤忠の本社を訪問します。
絶好の機会ですから、三輪氏を訪ねてみるつもりです。
なんだか、ドキドキします。


2010年3月4日 一条真也

読書の達人

一条真也です。

東京に来ています。
東京出張中の一日は忙しいです。
まず午前中は業界関係の打ち合わせをこなしましたが、東京があまりに寒いので震えあがりました。ブルブル。
昨日の朝、北九州の気温が20度もあり、とても暖かかったのです。
そのため、コートを持ってきませんでした。
でも、それでは耐えられない寒さです。風邪を引きそうです。ブルル。
急遽、ランチ・ミーティングで訪れた六本木ヒルズにあるセレクト・ショップ「エストネーション」で、マッキントッシュの茶色のスプリングコートを求めました。
ちょっと若者向けのデザインかとも思いましたが、まあいいでしょう。
午後からは飯田橋にある双葉社へと向かいました。
双葉社は『クレヨンしんちゃん』の版元としても知られる老舗の出版社で、昨年、わたしは『本当は面白い世界の神々』という監修書を出しました。
その双葉社が「双葉新書」という新書を創刊し、わたしも一冊書き下ろすことになったのです。タイトルは、ずばり、『葬式は必要!』。このブログをいつも読まれている方には、もう説明の必要はないでしょうが、わたしは「人間には絶対に葬式が必要である」と心の底から思っていますので、万難を排して、この書を書きます。3月15日までに脱稿し、4月中旬には店頭に並べるという緊急出版ですが、自分の使命と思って頑張ります。いまの日本には、『葬式は必要!』が必要だからです。



双葉社からの帰り、地下鉄に乗ったら、わたしがインタビューを受けた雑誌の車内吊りが大々的に出ていて、驚きました。「一条真也」の名もバッチリ出ています。
じつは、この雑誌を刊行している出版社は、某宗教団体の系列であり、その団体は最近、政党を結成したことで話題となっています。
何人かの人からこの団体との関係を訊ねられました。
神道、仏教、儒教のいずれをも「こころ」の支えとしていますが、わたし自身はどの宗教団体の会員でも信者でもありません。
ましてや関係する政党から出馬することなど、まったく考えておりません。
ただ単に「人間関係」を特集記事とするその雑誌の編集方針に共感し賛同したため、インタビューをお受けした次第です。
その後、外苑前の伊藤忠商事を訪れました。

昨日のブログで書いた『クオリティ・リーディング』の著者である三輪裕範さんにお会いするためです。三輪さんが部長を務められる調査情報部の応接室でお会いしました。

               伊藤忠商事の本社を訪れました


伊藤忠の調査情報部長などというと、なんだか「不毛地帯」的な参謀本部長のようなイメージもあったのですが、ご本人はとても温厚で優しい方でした。
いろいろと読書の話をさせていただき、大いに盛り上がりました。
読書や執筆の時間を創出する方法や知恵も交換させていただきました。
三輪さんは、いま、人生論の名著についての著書を書かれる計画があるとか。
わたしも決定したばかりの『葬式は必要!』についてお話しました。
三輪さんは昨年お父上を亡くされたばかりであり、「わたしも、葬式は必要だと思いますよ」とおっしゃってくれました。
そして、三輪さんが懐刀を務める丹羽宇一郎会長のお話を聞かせていただきました。
わたしは、丹羽会長を心からリスペクトしています。
丹羽会長は国連WFP協会の会長も務められています。
飢餓と貧困の撲滅を使命とする団体ですが、丹羽会長のメッセージに感銘を受け、わが社も加盟させていただきました。
正式名称は「特定非営利活動法人 国際連合世界食糧計画WFP協会」です。
わが社は評議員メンバーとして認めていただき、現在、世界の子どもたちの命を救うお手伝いをさせていただいています。



丹羽会長はまた大変な読書家としても知られ、三輪さんに「最近、こんな面白い本を読んだ」と言って、いろんな本を紹介してくれるそうです。
たとえば、モンテーニュの『エセー』(白水社)、アレキシス・カレルの『人間 この未知なるもの』(三笠書房)、張養浩の『為政三部書』(明徳出版社)、イザべラ・バードの『イザベラ・バード日本紀行』(講談社学術文庫)などで、じつにバラエティに富んでいます。
それにしても上司が薦めてくれた本を読める部下というのは幸せですね。
三輪さんは、また、拙著『あらゆる本が面白く読める方法』(三五館)に出てくるわたしの書斎に興味をお持ちでした。いつか、書斎についての本も書いてみたくなりました。
とにかく、ビジネス界を代表する読書の達人とたっぷり読書論を交わさせていただき、至福の時間を過ごしました。


                    三輪裕範さんと


その後、わたしは同じ伊藤忠本社内にある建設・不動産部門へと足を運びました。
ここで、極秘のビッグ・プロジェクトについて打ち合わせするためです。
その内容ですか?
それは、ちょっと企業ヒ・ミ・ツです。
また、お話できる時がきたら、報告しますね。


2010年3月4日 一条真也