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安部首相のアメリカ議会での演説について 雑感

2015年4月29日、現地時間、安部総理が米国議会で演説をした。

 外務省訳:米国連邦議会上下両院合同会議における安倍総理大臣演説
 「希望の同盟へ」(2015年4月29日(米国東部時間)
 http://www.mofa.go.jp/mofaj/na/na1/us/page4_001149.html

自分の感覚だと、アメリカ議会で演説すると聞いても「だから、なに?」としか思えなかった。何か意味のある合意とか、利益になる事をやっていれば意味があると思うのだけど、この演説には、それがないので、あまり意味が無いなと自分では思っている。ただ、アメリカ議会に対し、議会で審議もしていない段階の法案を通すと約束をしてしまったという点で注目しなければいけない部分があった。そこを中心に書いてみたい。

冒頭は、アメリカへの戦後対応の感謝の念を叙情的に語ったり、首相自身の若いころのエピソードを織り交ぜて主張するなどしていた。この部分がちょっと長いなと感じたのは、要するにこの部分は、アメリカへのご機嫌取りにすぎないのであって、実質的にはあまり意味が無い。ただ、場を和やかにする点では若干意味があったかもしれない。

そして、戦死者への弔いについて、怖いなと思った一面は、アメリカの戦争が自由のために死んだという文言、実際のアメリカの戦争は自由のためではなかった。戦争が恣意的に(恐らく軍産複合体によって)起こされた事が史実であるので、この点をミスリードしている点、それと普通の指導者が戦没者を悼むのならば、当たり前だなという感じで捉えることができるが、安部総理の場合は、選挙中にTPP断固反対といったあと即、TPP交渉参加と言ったことと反対のことをする人なので、彼が戦死者を悼むと言えば、恐らく戦死者を増やすような事をするに違いないと捉えることが出来るわけです。それが最初に怖いなと思った部分に繋がってくるわけです。「自由のために死ね!」と戦地に送られかねないわけですね。だから、怖いわけです。基本的に死を賛美する政治家はろくなものではありません。戦争をしたいがためのリップサービスとして死者を弔うという言葉を言っているにすぎないことが多いのです。むしろ、自分のそう言う凶悪性を隠すために、殊更に死者を悼むと強調しだしたら、ヤバイ政治家です。それはあなたにとって死神になるかもしれない政治家ってことです。

軍事のことの他に経済においては、TPPについて気になった所は以下の文言です。

  • 「TPPには、単なる経済的利益を超えた、長期的な、安全保障上の大きな意義」

TPPは、日本の安全保障というよりも、アメリカが日本を支配し、アメリカのコマとして使うための条約なので、安全保障以前に主権放棄と言っていいもので、この条約によって、日本の食料安全保障が脅かされるのみならず、アメリカ型医療の導入で医療費が数倍から数十倍に跳ね上がることで国民の生命、財産が脅かされるので、安全保障というよりも植民地条約です。ですので、この点は極端にミスリードしていると言わざるおえません。TPPはアメリカと日本の経済の一体性をISDS条約などで強権的に確保し、アメリカと日本が離れられないようにして、中国との覇権争いにおいて日本を確実に手駒として使うというアメリカの目算がありありと見える条約なので、安全保障ではなく、植民地支配条約という傾向が強いと感じます。経済が一体性を持ってしまうと、軍事的にも分離できなくなりますから、外交のフリーハンドがなくなってしまう。特にTPP後の食料自給率が13%と予測される状況では、事実上、国民の命を握られていますので、その傾向は強くなります。外国に国民の命が握られてしまう段階で安全保障と言っているのがおかしいわけで「何言ってるんだこの人は」と思ってしまった。

あと、農業、医療、エネルギーの関して安部総理は以下のように述べています。

  • 「私たちは、長年続いた農業政策の大改革に立ち向かっています。60年も変わらずにきた農業協同組合の仕組みを、抜本的に改めます。世界標準に則って、コーポレート・ガバナンスを強めました。医療・エネルギーなどの分野で、岩盤のように固い規制を、私自身が槍の穂先となりこじあけてきました」

日本の農協を解体して、アメリカに何の意味があるかと思うところですが、農林中央金庫は、資産規模82兆円もある巨大銀行です。恐らく、この巨額の資金外資が目をつけていると考えられます。ウォールストリート的に見ると、規制緩和をして外資の役員を放り込んで、自由に運用できるようにして、損をさせて、その周囲が儲けるという算段のように思えてしまいます。いわゆるカモとして食い散らかすための規制緩和ではないかと思いました。そして、医療、エネルギーの規制緩和は、恐らくの所、医療規制によって低価格に抑えられてきた薬価が規制緩和によって高額になり、エネルギーは外資の参入を規制緩和によって認めてしまうという感じではないでしょうか?安部総理の国民無視、アメリカよりの政策から見ると、大体の予測がつきます。要はアメリカの都合を考えて、放射状に考えると、そう言う結論になるわけです。で、この方向では、安部総理は極めて着実に行動しているわけです。そして、国民の権利は消失していく、そう考えると、この演説の内容もなかなか怖いものがあります。医療規制緩和などは、命に関わってきますから、非常に深刻な内容がさらりと述べられていますね。

あと、アジア諸国への関わりについて気になった文言は以下のもの

  • 「太平洋から、インド洋にかけての広い海を、自由で、法の支配が貫徹する平和の海にしなければなりません。そのためにこそ、日米同盟を強くしなくてはなりません。私達には、その責任があります」

太平洋からインド洋という外国の海、または公海上の事について法の支配が貫徹する「平和の海」というのは、安部総理が言った場合、この反対に見る必要があります。つまり「戦争の海」という事です。恐らく、この地域に自衛隊を米軍と一緒になって派遣して、平和活動と称した軍事行動をするつもりなのでしょう。それも外国の海でそう言う事をするわけです。アメリカの手先となって…、いかにもイスラム過激派の怒りを買いそうな過激な行いです。日本でテロが起きなければいいのですが心配です。太平洋からインド洋の間にはイスラム教国がいくつもありますからね。自分の国の目と鼻の先で、アメリカの手先となって軍事活動をする自衛隊を見たら、テロリストをかなり刺激しそうです。インドネシアなどイスラム教国の邦人がかなり危険になる可能性があるといえる内容といえるでしょう。

あと気になったのは、以下の部分

  • 1990年代初め、日本の自衛隊は、ペルシャ湾で機雷の掃海に当たりました。後、インド洋では、テロリストや武器の流れを断つ洋上作戦を、10年にわたって支援しました。その間、5万人にのぼる自衛隊員が、人道支援や平和維持活動に従事しました。カンボジアゴラン高原イラク、ハイチや南スーダンといった国や、地域においてです。これら実績をもとに、日本は、世界の平和と安定のため、これまで以上に責任を果たしていく。そう決意しています。そのために必要な法案の成立を、この夏までに、必ず実現します。

アメリカ軍の軍事的な後方支援を「責任」という言葉を使って、半ば自分の国の義務として定義している所に注目しました。そして、そういった行為を限定的ではあるものの世界各地で展開してきた過去の自衛隊の活動を賞賛し、その上で、その制限を外すような法案を提出し可決すると言っているように聞こえます。これは事実上の海外軍事派遣をアメリカ議会に対して確約したと見るべきでしょう。それの意味する所は、アメリカ軍と一緒に軍事活動をすることによるテロ攻撃の誘発と、それによる軍事費の拡大、社会保障費の削減と見ることも出来ます。特にインドネシアイスラム教国で過激派も結構いて、同時に2億4000万人も人口がいるので、日本のビジネスマンも沢山派遣されています。こういう国にいる邦人にとって、この発言は、テロの対象となる脅威と言えるでしょう。

さらりと聞くと、見かけ上は良さそうに見えても、過去の安部総理の発言内容と行動と思考形態を勘案し、何をするかと考えると、それらは逆に捉える必要があります。彼が平和と言ったら、軍事的に平和を実現するということであり、それは戦争であり、平和でもなんでもないわけです。しかも、それは恐らくテロを誘発し、外国の邦人、または、日本人をテロの脅威にさらすことになります。つまり、平和とは名ばかりで、実は、アメリカ議会に向かって日本は戦争をすると宣言するという内容であり、軍産複合体にはとっては、とても良い演説ですが、日本人にとっては、あまりいい内容とはいえないだろうと私は思いました。

総じて、私が見る所、なかなか怖い演説でした。普通に聞いていると良い演説に聞こえますが、彼の言っていることと実際の行動の乖離からすると、それらは、非常に危険な演説と捉える必要があると私は思いました。