つばめ…難しいお題である。

ということでしばし連想。
「つばめ」→「スワロウ」→「スワロウテイル」と繋がった。

岩井俊二監督「スワロウテイル」が上映されたのは1996年。
私が中3の時である。

実は、「スワロウテイル」自身は私は見ていない。
が、あの退廃的な雰囲気は好きだ。

そう、私は退廃―デカダンスをこよなく愛している。

働きたくねぇ。
いつまでも寝ていたい。
だらだらするのが好きだ。
ぐだぐだお酒を飲むのが好きだ。

彼女がいたときもそうだった。
かなり爛れた生活をしていたと思う。
酒飲むか、タバコ吸うか、セックスするかだった。

好きなものを並べていっても。
グラムロック寺山修司三島由紀夫谷崎潤一郎

ああ、もう終わってるな俺。
でも好きなものはしょうがない。
もう半分脳がとろけているんだぜ。

でも、退廃は他人に迷惑をかけない。
来るもの拒まず、去るもの追わず。
なるようになる。柳のように生きる。
毎日がだらだらと続いていく。それでいい。

デキル人になんてならねぇ。なりたくねぇ。
人に迷惑をかけないで生きられれば。それでいい。

早く仕事やめてぇ。楽になりてぇ。
大金持ちなエロい女の人に養ってもらいてぇ。

…ああ、たしかそういうダメ人間のことを。
「つばめ」と呼んだかと思う。

俺はつばめになりたい。

「父さんが渡れなかった海を、
 お前たちは渡っておゆき。
 そして伝えなさい。
 父さんの見事なターンを。」
 
毎日見守っているつばめの巣がある。
いつも夫婦仲良く子育てしているのだが、
ある日気付くと、片親しかいない。
しかもぐったりと疲れた様子がやけに淋しい。
いつまでたっても戻らない相方を待っているかのようで
せつない。
子供らは相変わらずぴゃーぴゃー言っている。
父ちゃんどうした?!
いなくなったのは父親だと勝手に決めた私の脳内には、
この時既に冒頭の台詞が浮かんでいた。

「忘れないで。
 父さんと母さんの命は、
 お前たちの翼とともにある。
 泣かないで。
 お前たちの翼が羽ばたく限り
 父さんと母さんもいる。
 そして父さんと母さんの父さん達と母さん達も。
 お前たちの命も
 お前たちの子供たちの翼が羽ばたく限り
 続くのだよ。
 さあ行きなさい。繋いで生きなさい。
 子供たちの、子供たちの、子供たちへ。
 そして、
 何処までも何処までも飛んでゆきなさい。」

タイムセールの文字の透けて見えている重いスーパーの袋を持って
やはりこういう状況は冬鳥のほうが絵になるのではと思い、
主役をマガンに変更。
ボーっと突っ立ったまま目を閉じ、越える海山をあれこれと推敲。
誰か私のメルヘンとロマンチックを止めてくれないか・・・
そう思って目を開けたらいつの間にか帰還した相方の飛燕が
今まさに威嚇せんとこちらへ飛来中だった。

そーいえばさいきんつばめをみませんね

むかしはあちこちにつばめがすをつくってさわがしかったんですけど、いまじゃすどころかつばめのすがたすらおめにかかれません

こどものころ、つばめがすをつくっていくかていがあたりまえのようにみれたけど、いまのこたちはそーゆーのみれないのでしょうか?

だとしたらちょっとかわいそうですね


ところでつばめのすっておいしいのですか?

たべたことないのでわかりません


え?
なんだこのいいかげんなげんこうは?ですか?


ピンチなんです
さっしてください

(いか、じごうにつづく)

俺はどうもパワーで押しまくる重量級よりも、スピードで翻弄する軽量級が好きなようだ。
なんにたいしても、だ。
これは、間違いなく俺自身の身体的コンプレックスから来ているものだろう。脂肪も筋肉もつかない、脆弱なカラダに生まれついてしまった。
しかし、内面は脆弱でも軽量級でもなく、非常に激しく過激な性格に生まれついてしまった。弱い犬ほどよく吠えるとは、よく言ったものだ。もし俺に、185cmの身長と90kgの体重があったら、間違いなく2-3人を殺害しているだろう。脆弱に生まれついてよかったよかった。
さらに二律背反な事に、前述した激しい性格から、コドモのころは、やたらと喧嘩っ早かった。それも必ず体格が上の相手に突っかかった。弱い犬ほどよく吠えるとは、よく言ったものだ。コドモの時は、奇襲攻撃にほぼ成功していたが、物心つくともう駄目だった。文字通りに吹っ飛ばされる事が多くなり、勝率は急降下した。中学生の時に始めた剣道で、はっきりと現実を思い知らされ、瀬戸際外交よりも対話路線を歩む事になる。どんなに鋭いワザでも、圧倒的なチカラには敵わないのだ。大は小に勝てない。ただ、喰われるのみ。柔よく剛を制すは、ガリチビの甘い浪漫。

それでも。それでも、山椒はピリリと辛い牛若丸を目指しているのだろう。だから。なんでも軽量級が好きだ。

1000ccのカウル付ツアラーバイクよりも、250ccのオフロードバイクが好きだ。
3000ccのターボ付4WD車よりも、自然吸気系の1600ccライトウェイトスポーツ車の方が好きだ。
大量の空対空ミサイルを搭載した大型戦闘機よりも、機関砲による格闘戦を得意とする軽戦闘機の方が好きだ。
腕力で獲物の首をへし折るライオンよりも、神速で獲物を追いつめるチータの方が好きだ。
脂と化調と分厚い焼豚で押してくる家系ラーメンよりも、天然だしと岩のりと岩塩で受け流す無化調塩ラーメンの方が好きだ。
体重以上のおもりを使うウェイト・トレーニングよりも、体幹の深層筋(インナーマッスル)をゆるやかに鍛えるピラティス・トレーニングの方が好きだ。

勝ちたい。とにかく大(だい)に勝ちたい。三十路をとうに過ぎた今でも。自分よりも強い相手に突っかかる悪癖は直っていない。暴力が、今は学問に変わっただけなのかも知れない。

この頃。俺は、政治的にも能力的にも圧倒的に俺より強い相手に悩まされている。金も立場もある。しかし、倫理的な何かが欠落しているらしいその男は。四十路をとうに過ぎても、職場での女漁りを止めず。実験室をラブホ代わりに使っている。許せない。やくざな俺が、まともになれるのは実験室の中だけなのだ。そこでの不埒。許せない。

ある日。いつもトレーニングとランニングに使っている公園で。俺は心労で疲れ果て、ベンチにへたり込んで、キリンフリーを飲んでいた。アルコール入りのビールを飲む気力がないぐらい。へたっていた。

目の前を見ると。うち捨てられたコンビニ弁当に、巨大なカラスがやってきた所だった。ごはんつぶが散乱している。当然、他の鳥たちも寄ってくる。スズメがやってきた。カラスは体の向きを変えるだけで追い払った。コガラがやってきた。勇敢な小鳥は、カラスの足先に飛び込んだ。その刹那、鋭く巨大な爪が一閃した。コガラは命からがら逃げ出す。ああ、駄目だな。大は小に勝てない。ただ、喰われるのみなんだよ。
ドバトがやってきた。ドバトは追い払われても、ふわりと飛び上がり、またごはんつぶを目指す。ついにカラスが怒りをあらわにして襲いかかった。飛び立ったドバトを執拗に追いかけ、蹴爪で打ち払い、嘴を突き刺した。ドバトは、無数の羽を散らされ、逃げて行った。カラスはランチに戻る。

しばらくして。ふわりと見慣れない鳥が現れた。この公園で見るのは3回目。ハヤブサだった。カラスよりも一回り小さいが、ハヤブサは猛禽だ。殺しのプロだ。カラスが巨漢のチンピラなら。ハヤブサは、ライト級のプロボクサーだろう。今度こそ、柔よく剛を制す・・・だ。

ハヤブサは、ちょんちょんと自然にコンビニ弁当に接近する。カラスは、慌てて飛び退く。勝てない事を知っているのだ。しかし。ハヤブサは、ある程度で接近をやめた。不自然に上空を警戒すると。飛び立った。ほんの数秒で。ハヤブサは大空の点になっていた。逃げだしたのだ。その直後、10匹以上のカラスが現れて、俺はライト級プロボクサーが試合を放棄した理由を悟った。

カラスたちの乱痴気パーティが開始された。しばらくして、カラスが怒りをあらわにした警告を発した。カーカーとは、質が異なるグワァーグワァーグワァーという独特の鳴声だ。鳴くだけではなかった。飛び上がり、蹴爪を振りかざしている。全力で何かを追いかけている個体もいる。俺はすぐにはカラスの怒りが理解できなかった。

カラスたちは、飛燕に怒りをぶつけていたのだ。飛燕。ツバメたちは。カラスたちを完全に無視していた。避けようともしない。圧倒的なスピードと運動能力で、うち捨てられたコンビニ弁当ではなく、空中の獲物を狩っていた。カラスを相手にする必要はないのだ。まったく別次元の世界で飛翔していた。カラスたちの蹴爪は虚しく空をきり、全力で追跡していた個体は、ツバメの鋭いUターンに徹底的に翻弄されていた。そもそも、ツバメたちは、「翻弄する」つもりなんかないのだろう。ただ、自分たちの仕事をしているだけだ。

体積で数十倍は大きいカラスたちが無様に突っかかっていく中。ツバメたちは、華麗に宙を舞い続け、雛への食料確保という大事な任務を淡々と続けた。

俺は。少しだけ何かが解りかけた気がした。まだ、これから先も顔を真っ赤にして強いものに挑む生き方は変えられないだろう。ただ。心労で疲れ果てる事は、少なくなるだろう。そんな気がした。

nippe。ワーキングプア。最近脱オタしたいと考えているが、気付けば休日は日本橋にいる。出会いってどうやったら生まれるんですか?食パンくわえてダッシュしたらいいんですか? 本拠地はこちら→絶望の日々

Chizu。温泉とラバダッキーをこよなく愛する、自称大和撫子。本拠地は、こちら→still unknwon.

巨匠。大作映画作成中。本拠地は、こちら→巨匠の戯言

baja。少しだけ。調子が戻ってきました。心の飛燕斬をマスターします。本拠地は、こちら→道が無くてもbajaがある〜season 2〜