最近はいただいたものの記録だけで精一杯,という感じですが,この間紹介しきれなかったものをまとめるかたちで。無理やり共通性を見出すのはあんまり良くないかもしれませんが,全て個人/小規模な範囲での自己決定について論じているように思います。小さいユニットに分かれて,それぞれが完結しているようなものが多い社会では,「統合」が難しくなるところがあるように思いますが*1,しかし方向性としては社会をなるべく小さなユニットに分けて自己決定を目指すという感じがあるように思えます。近頃は「民主主義の過剰/赤字」が論じられることは少なくないですが,実は「自由主義の過剰/赤字」もあるのかもしれません。この辺は『代議制民主主義』っぽい話のような気もします。
さて,都留文科大学の高橋洋先生からは,『エネルギー転換をどう進めるか』をいただいておりました。高橋さんは,11月の「行政事業レビュー」にも登場されるなど,電力自由化改革の分野で引き続きご活躍ですが,本書では,イギリス・ドイツ などでの発送電分離をはじめとした自由化への動きが分かりやすくまとめられています。実は僕も,最近大阪で,電力事業ではないのですが下水道事業の公営企業化などにかかわる仕事がいくつかありまして,同様の構造になっているところと違うところがあると感じつつ,興味深く読ませていただいたところです。上下分離や地域間のヤードスティック競争など色々ありますが,電力自由化は進んでいる分野なので,他の事業を考える時にも非常に参考になりそうです。
エネルギー転換をどう進めるか (シリーズ 環境政策の新地平 第3巻)
- 作者: 新澤秀則,森俊介
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2015/10/09
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- 作者: ケン・ビクター・レオナードヒジノ,Ken Victor Leonard Hijino,石見豊
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ローカル志向の時代 働き方、産業、経済を考えるヒント (光文社新書)
- 作者: 松永桂子
- 出版社/メーカー: 光文社
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自由主義者が心がけなければならないことは,その正論が一部の強者の「一人勝ち」をもたらすのではなく,「みんなが勝者となる」の論理とストーリーを説得的に語ることである。(p.35)
- 作者: 船橋洋一
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2015/11/20
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*1:手前味噌ですが,『大阪−大都市は国家を超えるか』ではそれを「納税者の論理」として論じました。