『モデルグラフィックス』2016/3 376号

 このところ躍進著しいエアフィックスをメインに、イギリス機特集。ホーンビィ社に買収されて以降、新キットの開発にかなり投資が行なわれたんだろうな。
 作例は、エアフィックスの1/48スピットファイアに、シーファイアタミヤの1/32モスキート、ブラックバーン・ロック、バッカニア、TSR-2など。あとは、イギリス機関係のコラムに、エアフィックスの営業担当へのインタビューなど。タミヤって、確かにイギリス機けっこう好きだよな。まあ、イギリスの軍事博物館と関係が深いってのもありそうだけど。
 しかし、模型誌の作例も、大スケールばっかりだな。1/32モスキートなんか、組み立ての作業スペースも、置き場所にも困りそうなでかさ。


 ほかは、あきつ丸の作例も印象的。つーか、こういう船がインジェクションでキット化される時代が来るとはね。艦これ恐るべし。

『艦船模型スペシャル No.58』

艦船模型スペシャル 2015年 12 月号 [雑誌]

艦船模型スペシャル 2015年 12 月号 [雑誌]

 今号の特集は、駆逐艦島風マックスファクトリーから1/350キットが発売されたのに伴う特集のようだ。個人的には、特型以降の日本駆逐艦は、あんまり興味ない…
 エアフィックスの1/600モレタニア六変化とか、浅間丸・龍田丸の記事が面白そうだったので購入。最近、すっかり客船のほうが気になるように。モレタニア、ダズルペインティングがすげーカラフルでいいなあ。
 「ソリッドモデル入門」も興味深い。


 最近、エッチングパーツで手すりが完備した作例が多い。で、手すりがつけられていない駆逐艦竹の作例にほっこりしていたら、こいつも、かなり手が入っているのだな。おとなしい印象で、ほとんどくまなく手が入っているのがすごい。

『歴史群像』2016/2号

歴史群像 2016年 02 月号 [雑誌]

歴史群像 2016年 02 月号 [雑誌]

古峰文三日本陸軍超重戦車「オイ」車」
 日本陸軍が試作した、150トン超重戦車オイ車の解説。新資料が発掘されて、いろいろと分かるようになったと。
 この超重戦車は、第一次世界大戦直後の多砲塔戦車の系譜を引くのではなく、ノモンハン事件後に、ソ連軍の国境縦深陣地の対戦車砲陣地を撃破するためだけに計画された車両だったと。防護された対戦車砲陣地を撃破できる15センチ級主砲と、対戦車砲陣地からの射撃に耐えられる重装甲。しかし、結局、150トンに膨れ上がったのは、あまり褒められたものではないような。むしろ、ドイツの象さんやイギリスの亀さんのような車両が最適解だったのではなかろうか。正面装甲は75ミリと、重さの割りに軽いようだし。


古峰文三「海軍艦上攻撃機『流星』」
 艦爆と艦攻が兼用されるようになっていた理由とか、のっける空母が限界に陥っていた状況、そして、乗せる空母がなくなった後も、陸攻の代用として量産されたという話。


有坂純「マレンゴの戦い」
 ナポレオンの政治権力の基礎を固めた戦いが、実は優勢な敵に挑んだ無謀なもので、実際、かなり危険な状況にあったこと。後々に、戦史が改竄されて、神話化されていった過程。


大塚好古「戦艦『金剛』の生涯」
 文字通り、そういう話。艦船の生態系の中で、装甲巡洋艦から巡洋戦艦高速戦艦へと発展していく過程。その中での金剛。さらに、第二次世界大戦に入っての戦歴。ソロモンでの戦いに、レイテ沖海戦での活躍、そして、最期。
 こうして見ると、金剛って活躍しているんだな。
 ヘンダーソン飛行場の砲撃は、受けるほうにはかなりの衝撃だったと。それでも、落とせなかったんだよなあ。


樋口隆晴「真田信繁大坂の陣
 冬夏両方の大坂の陣での、真田信繁の活躍を描く。
 経歴から、軍事官僚的な役割を期待されたのではないか。あるいは、真田丸での火力戦。そして、夏の陣での道明寺の戦いと、最期の家康本陣への突撃。


荒川佳夫「フランシス・ドレイクの生涯」
 ドレイクって、奴隷の密貿易や私掠船の活動で、どの程度稼いだんだろうな。後に政治家になっているってことは、かなりの財産を積みあげたのだと思うが。
 個人的には、「無敵艦隊の派遣」を含むイングランド・スペインの戦争がどのようなものであったのかが気になる。


山崎雅弘「張鼓峰事件」
 ノモンハン事件と並ぶ、満ソ国境紛争事件の経過を描く。
 なんというか、この時期の前線の暴走具合がな。拡大解釈して、勝手に戦争始めるとか。あとは、ソ連側にとっても、紛争が必要だった状況。
 で、大量の血を流したあげく、日本側が、国境線を主張するまともな根拠を持っていなくて、ソ連相手に一方的にやり込められた状況とか。本当にアホちゃうかとしか…


中西豪「サルフの戦い」
 後に清に発展する「後金」の王ヌルハチが、内戦作戦で、明軍の破った戦いの話。
 見事に各個撃破されまくっているな。3万ほどの方面軍が、さらに2個梯団に分けたら、そりゃヌルハチの軍勢と兵力差なくなるわな。そうなると、精兵のほうが有利。
 つーか、騎馬部隊を相手にするんだから、長槍部隊が必要だろうと、西洋近世史になれている人間からすると感じるのだが…


齋藤義朗「洋上のスイーツ工場:給糧艦『間宮』」
 最初から、各種の加工食品工場が備えられていたわけではないそうな。
 もともとは、生鮮食品の輸送が主眼だったこと。そのために牛舎が備えられていたが、実際には生きた牛を運ぶより、冷凍の肉を詰め込んだほうが効率よかった。で、その牛舎スペースが後々、加工工場になっていく。歴代の主計長が、前代にないものを備えようと工夫した結果と。


大木毅「ゼークトvs.ラインハルト」
 第一次世界大戦後、ドイツ軍再建の路線をめぐって、政治的な暗闘があったと。
 結果として、機動戦主体の思想を持つゼークトが勝って、実際に歴史が展開していったと。しかしまあ、後知恵からすると、ラインハルトの思想の方が、総力戦を見通していたように思われるな。ラインハルトが勝っていた場合は、西方電撃戦の鮮やかな勝利も望めなかっただろうけど。