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2017-06-07

寒い季節はさー、なんだか余計なこと考えずに体温保つだけで精一杯みたいなとこあってさー、楽なのよ。で、この暑い季節はさー、なんかね、うーん。

[]カンタヴィルの幽霊/スフィンクス 01:04 カンタヴィルの幽霊/スフィンクスを含むブックマーク

オスカー・ワイルドの軽妙な短編と詩、ワイルドの親友であったエイダ・レヴァーソンの作品とで構成。レヴァーソン『回想』における裁判前後のワイルドの様子が活き活きとしていて、繊細な神経と感性を持ちつつ、自らの矛盾した部分に悩むワイルドの等身大が知れたのが一番の収穫だった。それにしても、100年前の同性愛がここまで社会的に大スキャンダルだったとは。

[]Sharing('14 監督:篠崎誠) 01:57 Sharing('14 監督:篠崎誠)を含むブックマーク

東日本大震災で夫を失った大学講師、卒業研究として舞台で震災被害者を演じる女子大生、孤独を募らせる男子大学生。三者の精神がそれぞれの沸点を迎える時、自身と他者、現実と虚構それぞれが共鳴する中で裂け目が現れる。

出てくる役者は整いすぎた顔立ちではないのだが、日が翳りはじめた時刻のような照明効果のためか女優が美しく見えたのが印象に残る。鬱々とした心理描写が続く割りにふしぎと飽きがこないのは演出レベルの高さと思われるが、それだけにメッセージ面に一歩踏み込んだラストがどうにも咀嚼しにくい。

[]フランコフォニア ルーヴルの記憶('15 フランスドイツオランダ/監督:アレクサンドル・ソクーロフ) 02:12 フランコフォニア ルーヴルの記憶('15 フランス・ドイツ・オランダ/監督:アレクサンドル・ソクーロフ)を含むブックマーク

美術作品とかつての国家間の略奪行為との関連は避けにくく、そういった間隙を詩情をもって表現した作品。当時の空気感を再現したナチス占領時代のパートが(ブロマンス的にも)美しい。難破しそうになりながら美の精粋を運ぼうとする寓話めいたエピソード部分には、映画業界への視点も入っているように思えた。

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2017-05-31

2017年5月29日月曜日、ずっと身近に感じていた家の前の空き地の整地工事が始まった。あの緑たちに包まれていることで、ずっと護られているような気持ちになれていたのだと改めて知った。本当に、ありがとう。今までありがとう。

[]ヒトラーの描いた薔薇 00:44 ヒトラーの描いた薔薇を含むブックマーク

昨年出た日本オリジナル選出の短編集「死の鳥」の好評をうけて再び編まれた傑作集。エリスンの社会評論性がストレートに出た数編の存在が光る。文字の組み合わせにインパクトのある表題作は、ある面で拍子抜けなのだが、それが結果としてテーマを深めることになっているあたり、さすがの豪腕ぶり。

[]人生の短さについて 02:50 人生の短さについてを含むブックマーク

ローマ帝国歴代皇帝の補佐役を務めたストア派哲学の徒セネカが、家族や知人にアドバイスのために送った信書三編。訳の分かりやすさ、リズムのよさもあって隔世の感がまったくない。見得や体裁のために、または自我をもてあますばかりにやりたくもない仕事や付き合いで時間や体をすり減らすのは、真に「生きた」とは言えないと喝破するセネカの時代から数千年経った今でも私たちは『閑暇』を妨げるものを克服できていないわけで、最後は皇帝の命令で自死せざるを得なかった彼ほどには困難な世に身を置いてはいないというのに、自分はまったく今現在を楽しむ覚悟が足りてないじゃないかと素直に思えた。

[]サラエヴォの銃声('16 フランスボスニア・ヘルツェゴビナ/監督:ダニス・タノヴィッチ) 03:18 サラエヴォの銃声('16 フランス、ボスニア・ヘルツェゴビナ/監督:ダニス・タノヴィッチ)を含むブックマーク

表面上はリッチでにぎやかなサラエヴォ中心部のホテル。しかしその内側では、給料未払いに業を煮やした現場従業員たちによりストライキ計画されていた。一方、屋上ではテレビ局によるサラエヴォ事件100周年を記念したインタビュー番組が撮影されていた。ホテル各層で複雑に交差する人々の思惑。「ホテル・ヨーロッパ」にゼロ・アワーが迫りつつあった。

流れるようなカット繋ぎで、ホテルという舞台の狭さを感じさせない。サスペンスの在り処は均等な配分で終盤になって形を為して、それとともに100年前のような取り返しのつかない瞬間を再び目撃することとなる。大局を見ることができずに事態を収拾するのを早々に手放したホテル支配人が歩くガランとしたロビー。その"宴の後"を俯瞰するラストシーンには繰り返す歴史を認識したような虚しさが強烈に焼き付いていた。

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2017-05-24

工事、まだ始まってない。おかげで野原とのお別れがゆっくりできてる。なんだか、ありがとう。

[]牯嶺街少年殺人事件('91 台湾/監督:エドワード・ヤン) 01:38 牯嶺街少年殺人事件('91 台湾/監督:エドワード・ヤン)を含むブックマーク

4Kレストア・デジタルリマスターされての再上映。フィルム撮影の映画の特長に満ちており、暴力シーンが多いものの典雅なまでに優美。大戦後の台湾移住者たちというままならない人間の世を描きつつも、光と風と夢だけで構成されているような作品だった。少女をめぐって凄みあう少年たちを横から照らす朝日、取り返しのつかない衝動の瞬間をただ包み込むあたたかい夜市の空気。世界とそれを感知する15歳の心はただただ真っ直ぐ。そして社会の複雑さは、美しさをそのままにしておくことはない。美しさとはシンプルさの別名であるから。だから映画はここにあるのだと思う。風と光と心の証しのために。

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