「時間の長さ」という幻想 わたしたちの人生観は物理学的な時間・量的な時間・時計的/カレンダー的な時間に支配されている。「いま現在」を起点として開かれる時間感覚は、数直線上のある点を「現在」、その左側は過去、右側は未来になる。このような「時間の空間化」こそが物理学的時間の特徴である。 「わたしの人生」がハードディスクにすべて記録されているなら「人生の長さ」をそのまま数量化した時間として保存することができるだろう。だが、わたしたちの人生はそのようにはなっていない。想起できる思い出(記憶)の数はつねに限られており、それは「物語」という文脈でしか意味をなさない。もし、本当に毎日がハードディスクに記録さ…