これからの法曹養成

このカテゴリーで何かを書く、というのは、久しぶりですね。
司法修習生に対する給費制が、遂に廃止の方向で固まりつつあるようですが、今後の法曹養成制度について、考えていることを、ちょっと述べておきたいと思います。
結論から言うと、

1 現在の法科大学院に、司法研修所の機能を大幅に取り入れ、2年制とする
2 法科大学院入学にあたっては、旧司法試験当時の択一試験と同レベルの、基本六法に関する択一試験合格を条件とする
3 法科大学院卒業後、現在の司法研修所2回試験と同レベルの試験を行い、合格者に法曹資格を付与する

ということにしてはどうかと考えています。
日本の場合、長い伝統のある、法学部というものがあり、また、いろいろな司法試験予備校もありますから、初学者レベルから上記の択一試験合格レベルまでは、そういったものをうまく利用し、到達してもらうほうがよいでしょう。その過程で、向いていない人をふるいにかけるということもできます。この道に入るにあたってはいろいろな入り方があり、また、人によっては仕事を持ちながらなど、時間をかけて勉強したい人もいますから、それぞれのペース、都合に合わせて、到達すべきところまで到達してもらう、そうしておくことで、お金をかけずに勉強する道も開けてくるでしょう。
法科大学院は、必要な統廃合も行った上、択一合格レベルまで達した学生を対象に、司法研修所による指導の下、現在の司法研修所でのカリキュラムを大幅に導入し、2年間の間に、実務研修も行い、2回試験合格レベルまで引き上げることを目標として教育を行います。必然的に、今よりも実務家が教育に携わる程度が増えてくるでしょう。研究者を排除するという趣旨ではなく、より、実務に目を向けた、実践的な教育をする、ということになると思います。実務に直結しない科目は、法学部で学んでもらうことにして、学生が、実務的ではないことで余計な時間を取られないようにすべきでしょう。
法科大学院を卒業し、新2回試験に合格した後も、現在、弁護士会が行っているような研修をはるかに充実させた研修を、法科大学院が、司法研修所の指導を受けつつ、実施し、所属組織内で研修を受ける裁判官、検察官以外は、例えば5年目、10年目といった節目に、研修を義務づける、ということにすべきでしょう。
法科大学院(という名称も変更すべきかもしれませんが)の相当数は、夜間開講にして、働きながら学べる、ということにしておけば、学ぶほうにとってメリットは大きくなります。実務家教員も、夜間開講のほうが出講しやすいので、双方にとってメリットがありそうです。
法科大学院には学費を払って通ってもらいますが、奨学金制度を充実させ、かつ、法曹になった後、公益に資する活動に従事した場合は、返済の全部または一部を(基準を決めて)免除することにしておけば、負担軽減や公益活動へのモチベーションへとつながるでしょう。
法科大学院の収容人員、司法試験合格者数は、よく検討した上で、適正な数を決めるべきですが、法科大学院入学時点で、適性はかなり見ているわけですから、法科大学院で学び卒業した人の8割から9割程度は新2回試験に合格するように、うまく、数を決めておくべきではないかと思います。
この考え方は、法科大学院を温存しようというものではなく、ただ、既にできあがっているものは、できるだけ生かして活用したほうが望ましいため、大幅な改編を施した上で、法曹養成制度の中核に据え、学ぶ者の負担軽減と、実のある学習を両立させようとするものです。法科大学院にとっては、任に耐えない教員は放逐されるなど、かなりの痛みを伴う改革にならざるを得ないでしょう。しかし、現状を考えると、やむを得ないと思います。

2011年08月16日のツイート

GoogleのMotorola買収 その“勝ち組”と“負け組”

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1108/16/news049.html

AndroidソフトウェアでGoogleと提携関係にある携帯端末メーカー大手各社は、今回の買収を歓迎するとのコメントを正式に発表している。ただし一部のアナリストは、その本音については疑問視している。なぜなら今後、Androidを推進しようという各社の取り組みは直接の競争相手を利することになりかねないからだ。
Googleは基本的にはMotorola最恵国待遇を与えることになる」とJ. Gold Associatesのアナリスト兼コンサルタントのジャック・ゴールド氏は指摘する。

この買収が、各方面にどのような影響を与えるかについて、1つの見方を示した記事で、今後を考える上で参考になりますね。
Androidは、AppleiOSとは異なり、開かれた性格を持つものですから、Googleが特定の企業と緊密な関係を持つことは、そういったオープンな性格を阻害することにもなりかねません。今後、おそらく、Googleは、そういった点を考慮し、既に報道されているように、MotorolaGoogleと一体化させることはせず、独立性を維持して運営しようとすると思われますが、競合する他社としては、Motorolaの優位性を常に感じることになるのは確実で、次第にぎくしゃくとしてきて、Androidの隆盛に水を差すということになる危険性は大いにありそうです。
Googleとしては、そういったリスクを冒しても、Motorolaを傘下に収めることで、持てる豊富な特許、技術力を思う存分使える立場に立ったことになり、そのメリットは、デメリットや巨額の投資を差し引いても、十分なものであると考えたのでしょう。今後、Android陣営に対するAppleによる攻勢はますます強まることが予想されますが、MotorolaGoogle直轄とすることで、Appleに対抗するコアな存在とする、ということも、視野に入っているのではないかと思います。
私自身は、現在、Motorola Xoomを使っていて、かなり満足していますが、今後のMotorolaを、大きな期待を持ちつつ見守りたいと考えています。

まんべくんTwitterアカウント停止へ 発言を長万部町が問題視

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1108/16/news058.html

まんべくんTwitterアカウントは約9万のフォロワーがいる人気アカウントだが、14日に「明日は終戦記念日だからまんべくん戦争の勉強するねッ!」と書き込み、その後、「戦争のドキュメンタリー番組を見たッ!当時の日本は北朝鮮状態な件」「どう見ても日本の侵略戦争が全てのはじまりです」「日本の犠牲者三百十万人。日本がアジア諸国民に与えた被害者数二千万人」などとツイートした。
これに対し同町に「町の公式見解なのか」といった苦情が相次いでいたという。

この問題を考える上では、

1 この種の公式アカウントの運用の在り方
2 1を前提としつつ、賛否両論ある問題についての、コメントの仕方
3 騒ぎが起きた場合の事後対応

といった点が、今後の教訓になるのではないかと思います。
まずは、長万部町の公式アカウント、という位置づけの「まんべくん」が、上記のような、国民の間でも様々な意見がある問題を、ツイートで取り上げるのが適当なのか、ということが問題になります。あくまで、地方自治体の公式アカウントである以上、この種の問題についての発言は、抑制的であるべき、というのが大多数の感覚でしょう。公式アカウントの性格を考えた上で、その性格に見合ったツイートにする、ということを考える必要があります。
公式アカウントとして、賛否両論あるような問題についてツイートする、という場合には、公式アカウントとしての性格を考慮しつつ、ツイッターがそもそも1ツイート140字でしか表現できないツールであることも考慮して、きちんと意が伝わるようなツイートにすべきではないかと思います。当時の日本は北朝鮮状態、といっても、何を持って「北朝鮮状態」と言うのか、侵略戦争といっても、侵略戦争とは何で、どこを捉えて侵略戦争と言うのか、犠牲者の数を比較することで何を見出そうとするのか、等々、問題が重く深ければ、それだけ様々な疑問がわき上がってくるもので、安易な断定、と捉えられるようなツイートは、それが地方自治体の公式アカウントであるだけに、疑問が凭れてもやむを得ないという印象を受けます。
一連のツイートで騒ぎが大きくなった後、地方自治体の公式アカウントである以上、問題があったと考えればすぐに謝罪するとか、説明が不十分であると考えれば何らかの方法で補足説明をするなど、適切な方法があったと思われますが、まんべくんのツイートでは、そういったことをしないまま、一種の開き直りと取られてしまうツイートが重ねられ、余計に騒ぎを大きくしてしまった側面があるように思います。
今回の騒動は、特に、公式アカウントで、多数のフォロワーがついているような場合の、ツイートや事後対応、という点で、参考になるケースと言えるでしょう。