パチンコで換金、警察庁「存ぜぬ」 課税狙う議員は反発

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140825-00000036-asahi-soci

「パチンコで換金が行われているなど、まったく存じあげないことでございまして」と警察庁の担当官。「建前論はやめましょう」。うんざり顔の議員ら。

記事に添付されているイラストにもあるように、パチンコは、客が交換した景品を、パチンコ店とは「別の」景品交換所が買い取る、という建前をとることで、換金には当たらないという建前に結びつけていますが、その景品が結局はパチンコ店に還流するわけですから、実質的には換金が行われている博打そのものでしょう。警察の管理下に置くことと引き替えに、「お上」公認の博打が公認されているのと変わりはありません。
過去の日本の法制度で、賭博が公然と公認されたことは、おそらくないはずで(公営ギャンブルもあくまで例外です)、賭博は、いけないもの、御法度、という建前の下で、例えば江戸時代であれば寺社奉行支配下にある寺社内で人目を忍んで行われるなど、「秘め事」として行われてきた歴史があります。欧米のように、皆で大っぴらにギャンブルを楽しんだりするカルチャーではなく、人の本能に根ざしつつも、いけないこと、良くないこととして捉えられてきた歴史があって、パチンコも、そういった歴史の延長線上に位置づけられていると言ってよいと思います。
カジノを公認することも、今後の検討課題ですが、日本にはそういった歴史や文化があり、賭博に対する人々の抵抗感にも根強いものがありますから、楽しくて儲かるから博打を公認しましょう、と明るく簡単に進められる問題ではなく、人々の抵抗感に配慮しつつ、実現するとしても、ある程度時間をかけて議論し、弊害をできるだけ防止した上での実現を目指す必要があると思います。

2014年08月25日のツイート

「美濃加茂市を焼け野原にするぞ」と警察に言われた――保釈された藤井浩人市長が会見

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140825-00001958-bengocom-soci

警察の取調べでは、「はな垂れ小僧に投票した市民は何を考えていたんだ」「早くしゃべらないと美濃加茂市を焼け野原にするぞ」と言われたという。

私も、今はしがない弁護士ですが、かつては取調官として取調べに励んでいたことがあり、その当時、否認している被疑者がいると、なんて憎たらしい奴なんだと、罵倒したり愚弄したりしたい衝動に駆られたこともありました。
そういった際に、よく思い出していたのが、確か

特捜検事ノート (中公文庫 か 33-2)

特捜検事ノート (中公文庫 か 33-2)

で紹介されていたエピソードで、「信逸」という名前の被疑者に、ある検事が、信を逸するなんて親もよくこんな名前をつけたものだと愚弄するようなことを言ったところ、被疑者の感情を著しく害し自白を得るどころではなくなってしまった、そういうことを言っては絶対にいけない、という、割り屋として知られた河井氏の戒め、教訓でした。同書では、河井氏が造船疑獄事件の、否認する重要被疑者を取り調べた際のエピソードも紹介されていて、これだけ世の疑惑を招き、このままではあなたは社会で渡って行くことは難しいのではないか、きちんと話すべきことは話すべきではないかと懇々と説いて自白を得た、ということも、印象に残るものがあり、難しい取調べの際にはよく思い出したものでした(記憶で書いているので、実際に書かれていたエピソードと多少違っているかもしれません)。
取調べにおける信頼関係というものが、最近は、可視化に反対する論拠として捜査関係者らから安易に語られがちですが、現行の取調べが、信頼関係を破壊するような、野蛮なものに堕しがちであることには憂慮すべきものがありますし、被疑者自身にしかわからない、黙っていればわからないような、深く秘められた真実を引き出す上での、真の意味での「真実が語られる」取調べというものを、取調官は、常に自らを真摯に見つめつつ徹底的に追求しなければならないのだろう、そこに終わりはない、と思います。
上記の記事にあるような言動を取調官が実際にしたのかどうかは、よくわかりませんが、少なくともそのような印象を持たれる取調べではあった、取調べとしては失敗の部類に入るものであった、ということは言えるでしょう。こういう取調べであってはならないという、悪い方の見本、教訓となる取調べとして、今後、語られることになりそうです。

国税と警察、連携強化 暴力団資金源?あぶり出す

http://www.chunichi.co.jp/s/article/2014082590094630.html

名古屋国税局は今回、暴力団などに資金が流れている可能性を念頭に個人や法人を調査。連携を密にした警察当局から課税通報制度などで情報提供を受けたり、調査の際の安全確保のため必要な協力を要請したりしたもようだ。警察、税務当局は、所得隠しをあぶり出すとともに、反社会的勢力の資金源を断つことで、打撃を与える狙いがあるとみられる。

国税当局は、常に金の流れを大規模、網羅的に追っていますから、そこに集まるその種の情報には膨大かつ恐るべきものがあります。ただ、伝統的に、国税当局はそういった情報を「課税」目的に狭く限定しようとする傾向が強く、課税以外の分野には生かされず死蔵されがちであったのではないかと私は感じています。そこが大きく変わりつつあるということでしょう。
世の中、たかが金、されど金、金の動き、流れをつかむことで人の動きがわかり犯罪もあぶり出されてきます。有名なアル・カポネを服役に至らせたのも、殺人等のいかにもマフィアらしい犯罪容疑ではなく脱税であり、今後、国税当局と捜査当局がより緊密に連携することで、双方の目的をより大きく達成しようとする傾向は強まることがあっても弱くなることはないでしょう。