わが人生最高の10冊(「週刊現代7/27-8/3号」より)

山本兼一(作家)
 読み始めたら止まらない歴史小説の最高峰
山本兼一さんのベスト10冊
1位 『斜陽』

斜陽 (新潮文庫)

斜陽 (新潮文庫)

没落していく上流階級の人々を描く。「太宰によって文学の魅力を知った。太宰作品はどれも好きだが、一冊選ぶならこれ」
既読
2位 『変身』
変身 (新潮文庫)

変身 (新潮文庫)

ある朝起きると巨大な虫になっていた男と、その家族の関係を描く物語。「奇抜な設定なのに、無理なく読める点がすごい」
既読
3位 『中島敦全集1』
中島敦全集〈1〉 (ちくま文庫)

中島敦全集〈1〉 (ちくま文庫)

「一つ一つのセンテンスが短く歯切れがよく、短編作品でも人生の深みが滲み出る。本作に収められ『古譚』がおすすめ」
既読
4位 『定本 山之口獏詩集』
定本 山之口貘詩集

定本 山之口貘詩集

日々の食事にも困る中で、一生を詩作にささげた詩人。生活から出る平易な言葉が心を打つ
既読
5位 『石原吉郎詩集』「戦後派詩人の中でも言葉の鋭さでは極北と言える。ひりひりした言語感覚は奥が深く魅力的」
6位 『出発は遂に訪れず』
出発は遂に訪れず (新潮文庫)

出発は遂に訪れず (新潮文庫)

出撃命令を待ちながら終戦を迎えた特攻隊指揮官の物語。「戦後文学で熱中できた最後の作品」
既読
7位 『宮本武蔵』(全八冊)
宮本武蔵(一) (吉川英治歴史時代文庫)

宮本武蔵(一) (吉川英治歴史時代文庫)

少年が剣豪・宮本武蔵に成長するまでを描く。「真っ直ぐに突き進む男の美しさは何よりも爽快」
8位 『国盗り物語』(全四冊)
国盗り物語(一) (新潮文庫)

国盗り物語(一) (新潮文庫)

一介の油売りから国主になった斎藤道三らを描く。「文句なくスカッとするエンタメの最高傑作」
既読
9位 『西郷札
西郷札 傑作短編集3 (新潮文庫)

西郷札 傑作短編集3 (新潮文庫)

「トリックではなく、犯罪の陰にある動機の面白さがミステリーの醍醐味と教えてくれた作品」
既読
10位 『DSM-Ⅲ-R精神障害の分類と診断の手引』
DSM-III-R精神障害の分類と診断の手引

DSM-III-R精神障害の分類と診断の手引

精神疾患の症例集。「無人島に一冊持っていきたいほど飽きない。今は新版の『Ⅴ』が出ている」
最近読んだ1冊:『空海コレクション1』
空海コレクション 1 (ちくま学芸文庫)

空海コレクション 1 (ちくま学芸文庫)

空海の主著の略述と現代語訳を収めた入門書。「強くて、太くて、したたかでしなやか。他とはまったく違う空海流の仏教解釈が、最初のページから伝わってくる。簡単に近づける相手ではないが、少しずつ理解していつか空海を書いてみたい」


今週号は合併号なので、次週はお休みです!