訓読 >>> 降る雪の白髪(しろかみ)までに大君(おほきみ)に仕へまつれば貴(たふと)くもあるか 要旨 >>> 降り積もる雪のように、真っ白な白髪になるまで大君にお仕えさせていただいたことは、恐れ多く尊いことでございます。 鑑賞 >>> 聖武天皇の天平18年(746年)正月、左大臣の橘諸兄(たちばなのもろえ)をはじめ諸臣が元正太上天皇の御在所に参り、雪かきの奉仕をしました。諸兄と元正太上天皇とは年齢も近く、親しい関係にあり、藤原氏の急成長に不安を抱いていた点では、同じ政治的立場にあったとされます。雪かきが終わると、ねぎらいのための宴が行なわれ、雪を題に歌を詠めとの仰せがあり、それに応えた歌です…