プログラムとチケット半券(1966) 木下順二作『オットーと呼ばれる日本人』宇野重吉演出、劇団民藝公演。一九六六年九月の再演だ。新劇史に残る名作名演との噂には接していた。が、初演は一九六二年。私は世代的に、間に合っていない。 いつか再演をとは、劇団の腹づもりにも入っていたそうだが、思いのほか早く再演の機会がやってきた。木下順二の書下ろし新作公演を前宣伝していたのだが、台本がどうしても間に合わない。急遽『オットー』再演に切替えられた。 日夜苦吟に苦吟を重ねても、作者がどうしても幕切れを書けない。なるほど、芝居の世界にはそういうこともあるのかと、高校二年生は初めて知った。作者の遅筆苦吟のおかげで、…