1896年生まれ、1984年没。批評家、編集者。東京に生まれ、幼少年期をシアトルですごす。いくつかの私立大学、また鎌倉アカデミアで教鞭をとりつつ、戦前は岩波書店、戦後は中央公論社と平凡社の編集にかかわる。そのかたわらに多くの評論やエッセイを執筆。代表的な著作としては『共産主義的人間』がある。また平凡社の「世界大百科全集」の編集長でもあった。
正確に読み取れていたら、きちんと肚に収まっていたら、もっと賢くなれていたかもしれない。いや賢いか賢くないかには天分の限界もあろうが、せめて少しは役立つ男になれていたかもしれない。 ブルクハルトの名を知ったのは、学生時分の早い時期だったろう。なにせもっともご厄介をおかけし、酒場への鞄持ちを拝命していた恩師が、ラテンおよび初期フランス文学の一途な学者だったから、まだ教授が素面のあいだには、じつに数多くの歴史家や学者文人についての名と書物について、四方山の噺を拝聴できた。 酒が定量を一滴でも超えると、ほぼ日本語が通じなくなる師だった。そうなってからがむしろ師の本領で、行きつけいづこのママさんがたも、…
さいたま市立大宮図書館所蔵 www.lib.city.saitama.jp 2024/09/20 大宮図書館より借入 2024/09/28 読書開始 2024/10/01 読了、大宮図書館へ返却 (以下、敬称略) 凄い。読書猿が十年かけて読むといった意味がわかった。その知の内容はうかがい知れないが、二人とも、特に林達夫がすごく楽しそうである。久野が言うことに嬉しそうに応える。 久野 その演劇性の問題のほかに、もう一つ、日本の研究だと、ロゴスが新しいロゴスを生み、ロゴスの自己発展になるか、あるいはまた、パトスが新しいパトスを生み出すパトスの自己陶酔になるとなるということがある。しかし、何とも言え…
本日はめったにない夜の集まりでありました。その昔(32年前のこと)に 同じ係であった仲間で集まるのです。当時の最年少だった青年だけが、今も 現役でありまして、あとはみなリタイアして、次の生活に入ったいます。 この集まりは、最初は二月生まれとなるメンバーが何人かいることから、 二月にお誕生会として始まり、それがずっと続いていたのですが、メンバーが 加齢したことで、集まりやすい時期にとなりまして、七月に行うことになりま した。 一緒に年をとっていくメンバー8人でありますね。 本日は久し振りにすこしお酒をのみました。生ビールの小ジョッキー一つに サワーが一つです。それだけで十分でありまして、帰宅して…
普通郵便の配達が、平日に限られるようになりますと、お休みが続いた時 などは普通郵便が届かなくなります。本日は何日ぶりかで配達がありまして、 出版社のPR誌やDMがまとまって届いたりすることにです。 先日に注文はがきを送っていた編集工房ノアさんからも本が到着です。 以前でありましたら、はがきをだしましたら、早ければ5日後くらいには注文 した本が届いたものですが、今回の本は25日は大阪からの発送であります ので6日間かかっています。まあ、何日かかっても届くだけよろしいか。 当方が学生の頃には、仕送りというと現金封筒で送られてきておりまして、 いまだ金融機関のオンライン化は実現しておりませんでした。…
民主主義という語を、いつどこで覚えたのだったろうか。 小学五年六年時の担任教諭は、いかにも戦前の女子師範の節度謹厳を思わせる怖いオバチャン先生だった。私は自分の出来には余る教師運に恵まれた男と思っているが、まず最初がこの先生だ。あれこれの場面を今思い返しても、尊敬の念が湧く。四民平等も基本的人権も、この先生から伺ったのが最初だったにちがいない。なにしおう今では甲論乙駁半ばする「戦後民主主義教育」のまっただなかだった。 巡り合せでつい入学してしまった私立中学は、文部省(当時)学習指導要領なんぞは大胆に踏み破って平気な、独自カリキュラムの学校だった。社会科科目には「日本史」「世界史」「地理」のほか…
読んだ本 柄谷行人『近代日本の批評Ⅰ 昭和篇 上』講談社学芸文庫 (1997) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 定義というものは普通先にくるものであるが、文学史的には後からくるものなのかもしれない。 「いまふり返ればあれはああだった」 という具合に。 小説は芸術でもあるとされるが、今日の「大衆小説」と呼ばれるものに芸術性はあるのか。 純文学と呼ばれる小説は一般に芸術性を追求する小説と言われている。 しかし、本書によれば明治期の小説は「純文学」であった。 大衆小説と純文学、なにがどう違うのか。こういうのが現代人にとって混乱している、まさに今の自…
読んだ本 林達夫『林達夫評論集』岩波文庫(1982) つづきを読み進めた。 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー メモ なし ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 最近は横文字が多いという声をよく聞く。 結論から言えば、五十年前と変わらないように思うのである。 本書をよく読めばなんとなくそう思えてならない。 ・・・ 85項には新しい造語、アメリカニズムに対する林達夫の言及がみられる。 このことを除いても、本書は逆に現代に生きる自分でもわからないカタカナが…
引用元:版元ドットコム つづきを読み終えた。 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 感想 本の内容に関しては、特に重要だと感じた部分は過去の記事に書き残したので感想を書いて終わりにしたい。 関東大震災、東京大空襲、朝鮮戦争やマルクス主義の台頭など、実に多岐にわたって強烈な出来事に揉まれた生涯であったと感じる。 そのなかで最後まで出版に向き合い続けた信念というものは本人しかわからない。 個人的な解釈では、自由への闘いであるように感じた。 それは岩波書店や中央公論社に一時は在籍していながらも、社内政治に辟…
読んだ本 引用元:版元ドットコム つづきを読み進めた。 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー メモ なし ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 本書もいよいよ残り80ページほどとなった。 塵も積もれば山となる。 分厚い本であっても、少しずつ読めば最後までたどり着く。 ・・・ 第二次世界大戦の影響により、林達夫は自身の蔵書をも奪われる結果となった。 そして再度、書目リストの作成に当たった際、波多野精一が推奨したリストを着実に読み進めたと本書に書いてあった。…
読んだ本 引用元:版元ドットコム つづきを読み進めた。 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー メモ なし ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 マルクス主義をめぐるイザコザが語られた。 岩波茂雄は決してマルクス主義者ではなかったと書かれていたが、岩波書店からマルクスに関する本が発行されたとき、ことごとく発禁処分を受けたり、書き手や編集者との対立など、複雑な出来事が描写されていた。 私の記憶が正しければ、発禁というのは裏を返せば言葉の力がどれほどの影響力を持っ…