社主の涸沢純平さんが奥様とお二人でやっているミニ出版社。 関西で活動を行っている作家、詩人にとって方舟のような存在。 活動を開始して35年を超えるが、いまだに家内制出版を守る。 その活動は、眼の肥えた読書人に支持されている。 ここから作品を刊行した作家、詩人には山田稔、足立巻一、 富士正晴、杉山平一、天野忠、川崎彰彦などがいる。 「塔和子全詩集」「富士正晴詩集」「木村庄助日誌」等の 刊行業績により2006年「梓会出版文化賞特別賞」を受賞する。
本日は昨晩からの雨が続いていて、予定していた庭仕事はすることができま せんでした。お天気が回復したら、明日にすることにです。 晴耕雨読ということであれば、室内で本を読むということになりますが、とこ ろがどっこいで、YouTubeなどを見物することになってしまいました。YouTubeは まっこと読書の敵であります。 午後からは久しぶりに床屋へと行くことになりです。いつ以来なのか髪の毛の 量は少ないのですが長くなって、くせ毛のために毛先がカールしたりするので、 いいじじいがそれはないだろうと、30分で終わる床屋へといって、いつものよう に耳にかからないようにと言ってカットしてもらうことにです。 こ…
昨日に引き続きで編集工房ノアから届いた荒井とみよさんの「物ぐさ道草」を 話題とすることにです。 この本は、多田道太郎さんにまつわる本なのですが、当方は「俳句の師は小沢 信男」という文章を、繰り返して読んでおります。 そもそも書名に使われている「道草」というのは、多田道太郎さんの俳号であり ますからして、小沢さんの存在感も大きいのでありますよ。 荒井さんの文章には、小沢さんの著作が紹介されていることから、小沢さんの 本を取り出してきて、多田さんへの言及を確認したりです。 「通り過ぎた人々」と「小沢信男さん、あなたはどうやって食ってきましたか」 はすぐに引用されている文章などをチェックすることがで…
関西に4日ほど滞在して、本屋の前を幾度か通ったはずでありますが、 一度も足を踏み入れることなしに、帰路につくこととなりました。理由は LCCの荷物制限にひるんだせいであります。(ちなみに北海道で降り立って、 家人が声をかけた女性たちは、大阪城ホールでのエレカシ35周年のTシャツ を着用していて、一見で同好のお仲間とわかるのでありますが、シャツを見せ びらかしたくてではなく、荷物制限をクリアするために、身に着けることが できものは、何枚も重ね着して、荷物を減らしているといっていました。 皆さん、ご苦労をなさっています。) 一乗寺恵文社の前を通った時には、そういえば編集工房ノアの新刊をチェッ クし…
富岡多恵子さんが亡くなったとの知らせに目にして、小野十三郎さんの本を 引っ張り出してくることになりです。 編集工房ノアから1983年に刊行となったものを、当方が購入したのは、 十年くらいも前でしょうか。ほとんど読むこともなしでありましたが、富岡さん の訃報のおかげで、富岡さんに関するところをつまみ読みから始めることになり です。 小野十三郎さんは1903年生まれで1996年に亡くなったのですが、この 世代の人が書いたものは、ほんとうによろしいことです。 若い頃から付き合いのあったアナキスト詩人などは、この「日は過ぎ去らず」で 目にしなくてはほとんど知ることもなかったでありましょう。 「植村諦は…
昨日はまるで意識をしておりませんでしたが、井上ひさしさんの祥月命日であ りました。そのせいなのかな、古い「父と暮らせば」を録画したビデオテープを デジタル変換しながら、この舞台を見ることになったのは。すまけいさんは、 井上ひさしさんがやってらした「こまつ座」のただ一人の俳優であった時期があ りましたです。一時期舞台を離れていた幻の役者であったすまけいさんが復活し たのは、井上ひさしさんのおかげでありましたものね。 毎日がどなたかの祥月命日でありまして、また日々新たにそこに加わって、あ ちら側の世界はにぎやかになるのでありました。 ここひと月ほどでも、大江健三郎さん、坂本龍一さん、畑正憲さんなど…
昨日に引き続き「海鳴り」35号から話題をいただくことになりです。 どうしても、山田稔さんの書いたものに話がいってしまいます。昨日にも 言及しましたが、今回のタイトル「本棚の前で」というのは、2019年の 31号にあるタイトルを踏襲しています。 山田さんの書棚にある本から話題をとったエッセーとなります。35号では、 耕治人さんと小田仁二郎さんの本が取り上げられています。 エッセーで最初に話題となるのは耕治人さんの「全集」でありますが、この 本を電車のなかで読んでいる人の書いた文章が、冒頭で引用されます。 秋葉直哉さんが「ぽかん」9号に発表した「孤独な星の光り」という文章の一節 となります。 秋葉…
当地に桜前線はまだまだ近づいてきませんが、一足はやく「海鳴り」は届き ました。編集工房ノアさん、いつもありがとうございます。 ここ何年かは4月の早々に「海鳴り」は届くようになりまして、この場では届き ましたら、すぐに話題としておりまして、ほんとにこの時期は、これが届くのが 楽しみなことになっています。 編集工房ノアのミニマガジンで、それに出版目録がついているのですが、これ を無料で配布してくれるなんて、なんとノアさんは太っ腹なことかでありますか。 もちろん、左団扇にはまるで縁のない小出版社でありますので、すこしでも応援を しなくてはです。 ということで、「海鳴り」35号の表紙は、以下のものです…
昨年の暮れに林哲夫さんのブログを拝見しておりましたら、5月に京都であり ました山田稔さんと黒川創さんのトークイベント記録「思いだす、書き残す」と いうのが恵文社一乗寺店から刊行されたとありました。 sumus2018.exblog.jp 編集工房ノアから「某月某日 シネマのある日常」の刊行にあわせてのイベント であったとのことです。コロナがいまだに収まらずでありましたので、入場制限 などの対策をとったうえでのイベントだったようです。 山田稔さんは92歳になっておられますし、黒川さんは37年ぶりに京都に居を移し たとありますので、そういういくつかのことが重なったなかでの企画であったよう です。 …
古本病に罹っている。 しかも激しく。 最近では「山田稔」菌を取り込んだ。山田先生を菌などというのは大変失礼であるが、山田先生の本、特に編集工房ノアさんで発行している本は欲しい。 影とささやき 1985年生の傾き 1990年太陽の門をくぐって 1996年天野忠さんのこと 2000年幸福へのパスポート 2001年リサ伯母さん 2002年再会/女ともだち 2003年スカトロジア 2004年八十二歳のガールフレンド 2005年富士さんとわたし 2008年特別な一日 2008年マビヨン通りの店 2010年コーマルタン界隈 2012年天野さんの傘 2015年こないだ 2018年山田稔自選集1 2019年山…
相当久しぶりに羽田空港経由福岡へ行った。福岡に飛行機で行くのはたぶん3回目、1回目は銅版画展示、2回目は後輩の結婚式だった。格安航空機を自然に利用する。機内ではネスカフェゴールドブレンドとピカチュウの印刷がある特製キットカットが出た。格安航空機ではどうせすべて有料で、買わない私はうらめしくカートを横目で見送る気でいたので、多分ネッスル(いまはネスレか)のプロモーションタイアップ(そうでなければわざわざインスタントコーヒーであることを強調するとは思えない)であろうが、まったく得をした気分である。私はどうやらカフェイン不感症のようで、寝る前にコーヒーを飲んでも全く関係がない。コーヒーを飲まなくても…
五月も後半過ぎ、早い台風が来るとか気圧の変化が体にこたえる。この頃 自分で歩いて出かけにくいので、新刊をネットつながりで買うことがある。 自分でもこれは無いかもと思うような本ばかり頭に浮かぶが今のとこ無事に 見つかり本が手元に届いている。ありがたいことです以前ならしなかったが 年と病気には負けるのだ。その本のひとつが、編集工房ノアの本。大阪で ひとりで出版社をしている本好きな人は、ノアの本と言う。ここの社長は 自分が作りたい本しか作らない人で頑固でやや変わり者と言われている。 神戸には海文堂があった時はノアの本棚があり、そこでよく買ったけど 閉店して十年になるし他でもなかなか見ないのもあり、買…
毎週日曜日は、この一週間に週刊誌などの書評に取り上げられた旬の本を紹介しています。書評内容については各誌・HPをご覧ください。 今週の書評本 表示凡例◆掲載された媒体: 発行号数 掲載冊数書籍タイトル 著者 出版社 税込価格 書評掲載回数(2回以上のもの) ◆週刊朝日「週刊図書館」: 5/26 号 6 冊愛媛県新居浜市上原一丁目三番地 鴻上尚史 講談社 2,090 ②文明交錯 ローラン・ビネ 東京創元社 3,300ユートピアとしての本屋 暗闇のなかの確かな場所 関口竜平 大月書店 1,870 ②K-POP現代史 韓国大衆音楽の誕生からBTSまで 山本浄邦 ちくま新書 946 ②反戦川柳人 鶴彬…
2002年10月、編集工房ノアから刊行された安水稔和(1931~2022)のエッセイ集。カバー絵は菅江真澄の旅日記「えみしのさえき」より。撮影は須藤功。 目次 Ⅰ 記憶めくり 真澄の最後 花の行方――『菅江真澄民俗図絵』 山市――『菅江真澄民俗図絵』 氷渉(わた)り――『菅江真澄民俗図絵』 雪の宿――『菅江真澄民俗図絵』 三河の低馬――小説のなかの菅江真澄 菅江真澄への接近――旅日記現代語訳をめぐって 記憶の細部 菅江真澄と北海道――「北海道立文学館特別展図録」 おもひつづきたり――アンケート「詩の言葉について考えるとき……」 いくつもの日本語 自分を読む――読書週間に寄せて いくつもの日本へ…
何日か留守にして、夜に戻ることになりました。5月は近いとはいっても、 室温は12℃ほどで、帰宅して最初にしたのはストーブを点火することでした。 それについで、たまっていた新聞と郵便物のチェックです。編集工房ノアに注文 してあった本が、留守の時に配達となっていたようで、不在連絡通知が入って いました。申し訳なしで、明日に再配達をお願いしましょう。 たまっている新聞は、統一地方選挙のことがずっとトップニュースでありまし た。一番身近な、このまちの市議選の結果が本日の新聞に掲載されているのです が、これは昨晩に宿舎でネットで結果を見ておりました。 今回の市議選は、たった一人しか落ちないというもので、…
こんな特別な一日が訪れるのかなぁ? 2015年4月19日 「1921年に二十の岡崎みち子さんはいま八十七歳。まだどこかで元気に暮らしていればいいと思う。私はその八十七歳の老女とともに「ヘンリ・ライクロフトの私記」を読み返す。彼女がうかべる微笑を想像すると、私の口もともほころびてくる。自分の人生は終わった、と感じることはすこしさびしく、そしてなんとうれしいことだろう。なにか元気のようなものまで湧いてくる。やっと自分というものが、わかりはじめるからだろうか。」特別な一日 読書漫録 山田稔 編集工房ノア ここに「今日の言葉から」を書き始めてから,本箱から気の向いた本を取り出して,線が引いててあるとこ…
近松秋江『黑髮 他二篇』(岩波文庫1952*1)は、「黑髮」「狂亂」「霜凍る宵」の三篇を収めている。秋江の作品に初めて触れたのはこの文庫によってであったが――正確にはそれ以前、コラム集『文壇無駄話』(河出文庫1955)を「つまみ読み」したことがある――、内容というよりも、まずはその表記の面白さに惹かれて読んだのであった。 表記の面白さというのは、たとえば「一寸遁れに逃れて居りたい」(「狂亂」p.50)、「捕まりさうで、さて容易に促まらない」(同p.67)、「慨いても歎いても足りないで」(「霜凍る宵」p.151)、「幾度もいくたびも」(同p.154)、「可愛かはい人どつせ」(同p.165)という…
1930年生まれの山田稔さんが1985年から1986年に掛けてVIKINGに掲載されたもので、私が買ったのは2007年の編集工房ノア版だが、その前に1986版、1999版があり、3回目の出版である。 とはいえ2007年から既に16年も経過している。当時55歳の山田さんが、戦時中、戦後すぐの英語学習やフランス語への憧れを書かれていると、なんと昔のことかと思う一方で、 生き生きとした描写と記載時の氏の年齢を考えると戦中戦後が今の時代と私の頭の中で繋がってくる感じもする。 55歳の山田さんは、夜半に目が覚めたとき再び眠れなくなるのを心配して目を閉じたままで考えを巡らせる。戦中戦後の母のこと、赤本、と…
2001年11月、編集工房ノアから刊行された正岡洋夫(1950~)の詩集。装幀は粟津謙太郎。著者は大阪市生まれ、刊行時の住所は大阪市阿倍野区。 目次 Ⅰ 熱帯 雨の犬 緋文字 スピノザ ドッグウッド 40 ウォーター・フロント 戦争 ベスナル・グリーン 巡礼 秘かな鳥 Ⅱ チャイナ・ファースト キャピトル・ヒルで ジャクソン・ストリート カワベハウス ハリケーン・リッジランナーズ 落葉の日 レニア・バレー カスケード 影の領域 星降る夜 夜、ベルビューで Ⅲ 噴水のまわりで――光の庭 バラと人形――光の庭2 灯台へ――光の庭3 懐かしい島――光の庭4 光の生成――光の庭5 地下回廊――光の庭6…
1985年5月、編集工房ノアから刊行された静文夫(1909~1991)の第4詩集。装画は津高和一。著者は神戸市生まれ、刊行時の住所は西宮市川添町。 目次 Ⅰ 踊り 吟遊詩人 骨董店にて 海 季節(一) 鰈 牧歌(一) 季節(二) 憂愁夫人 象形文字 海 向日葵 踊り子 島 小さな町で Ⅱ 旅行者(一) 小さい男 雨 旅行者(二) 旅行者(三) 旅行者(四) 六月に 俗な風景 Ⅲ 秋立つ イカロス 道 牧歌(二) 風によせる四行集 天の罠 鮭 挽歌 海の見える町で あじさい れくいえむ カリアティド NDLで検索Amazonで検索日本の古本屋で検索ヤフオクで検索