1902年(明治35年)〜1979年(昭和54年)。小説家・詩人。福井県出身で、金沢市の旧制第四高校(現在の金沢大学の前身)に在学中、室生犀星の薫陶を受ける。 もともとは抒情的な作風で知られていたが、プロレタリア文学に傾倒するにつれ、痛烈な諷刺作品が増える。日本共産党の党員だったが、諸事情があって除名処分となる。 amazon:中野重治
〈転向の定義〉鶴見俊輔 『村の家』成立の時代情勢① 『村の家』の内容 知識人と日本の民衆 社会主義運動からの獄中転向 父孫蔵との相克 知識人と日本の民衆 社会主義運動からの獄中転向 父孫蔵との相克 『村の家』成立の時代情勢② 「罠」とは何か 父子にとっての「筆」 同じく彼らにとっての「恥」 その「罠」とは何か 〈転向〉する知識人 私小説『村の家』 〈転向の定義〉鶴見俊輔 鶴見俊輔は〈転向〉を「権力によって強制されたためにおこる思想の変化」*1と定義している。これだけ見ると、「権力」と「強制」にアクセントがつきすぎていて、じっさいには自らすすんで、という自発性とうしろ暗さ、それから節を変えたとい…
詩を愛するいち読者として中野の詩集を買い求めた。 楽天から届いてみると、一括重版の帯が。 そうか、今まで品薄だったのか。 令和3年現在、中野はあまり読まれていない(ように思う)。彼の政治思想が新規読者獲得の妨げになっているのかもしれないし、そうではない理由で遠巻きにされているのかもしれない。 言葉の贅肉を削りとった文体を読むことは蒸留酒を生でやることに似ていて、わたしにとって中野は代わりのきかぬ文豪である。
これまで見てきたように、昭和円本時代はプロレタリア文学の時代でもあった。しかもそれには他ならぬ円本も寄り添っていたし、時代のトレンドだったというべきであろう。 それをまさに表象しているのは『近代出版史探索Ⅵ』1101の円本の嚆矢としての改造社『現代日本文学全集』62の『プロレタリア文学集』で、昭和六年二月に刊行されている。つまりこの巻は『現代日本文学全集』の大正十五年の第二回予約募集に際して、全三十七巻、別冊一巻が全五十巻へと増補されたが、その後さらに全六十二巻、別巻となり、昭和六年にこれも『近代出版史探索Ⅵ』1063の別巻の斎藤昌三『現代日本文学大年表』で完結となる。それゆえに『プロレタリア…
すがは、戦時下抵抗のルネッサンス論と見なされがちな『復興期の精神』(一九四六年)を、花田自身は「アンチ・ルネッサンス論」と主張していたことに注目する。そして、花田のいう「復興期=ルネッサンス」は、「文学史的には「昭和十年前後」(平野謙)とも呼ばれる「文芸復興期」を(も)指していると見なしうる」と述べるとき、それはすが自身の批評が「アンチ・ルネッサンス」であったことを想起させてやまない。例えば、次のような一節。 ヨーロッパ中世を「闇」とし、ルネッサンスを「光」と見なす歴史観や、日本の戦後を「第二の青春」と高唱する文学観は、今やあまり顧みられない。にもかかわらず、そうした観念は今日なお曖昧なまま生…
本探索1253で戦旗社の出版流通と販売に関して、『近代出版史探索Ⅲ』645で既述していることにふれたが、それは「総合ヂャーナリズム講座」における壺井繁治の証言をベースにしている。『日本近代文学大事典』の『戦旗』の解題においても、それらは言及されているけれど、おそらくその言及は昭和四十一年刊行の『激流の魚 壺井繁治自伝』(光和堂)によっていると考えられる。 壺井のことはかつて拙稿「南天堂と詩人たち」(『書店の近代』所収)で取り上げているけれど、ここで簡略にプロフィルと『戦旗』に至るまでをたどってみる。彼は明治三十年香川県小豆郡生まれ、早大英文科中退、大正十二年に萩原恭次郎、岡本潤、川崎長太郎と詩…
津野海太郎『歩くひとりもの』に出てくる短編小説集。装幀 粟津謙太郎 夜がらすの記 (編集工房ノア): 1984|書誌詳細|国立国会図書館サーチ 下は、表紙と中表紙。 川崎彰彦 - Wikipedia 1978年から1983年まで六年間、「新日本文学」に断続的に掲載された作品をまとめたもの。あとがきで、編集の石田郁夫さん、小沢信男さん、人文書院の樋口至宏さん、出版した編集工房ノアの涸沢純平さん(社主)への謝辞あり。 新日本文学 - Wikipedia 編集工房ノア - Wikipedia 津野海太郎さんの本では、夕暮れ時になると、そぞろ飲み屋に足が向く描写がとてもいいとのことでしたが、それ以前に…
続けて戦旗社の「日本プロレタリア作家叢書」の徳永直『太陽のない街』、小林多喜二『蟹工船』を取り上げてきたが、両者が連載された『戦旗』創刊号が手元にある。それは本連載1251の新潮社『トルストイ研究』と同じく、近代文学館編集の講談社「復刻 日本の雑誌」の一冊としてである。 (改訂普及版) (『トルストイ研究』) 『戦旗』に関しては『日本近代文学大事典』第五巻「新聞・雑誌」に三ページに及ぶ解題が収録されているので、詳細はそちらに譲るしかないが、それを簡略に示せば、昭和三年から六年にかけて全四十一冊が刊行されたプロレタリア文学運動機関誌に他ならない。昭和三年五月の『戦旗』創刊号はA5判本文一五五ペー…
前回の徳永直『太陽のない街』が戦旗社の「日本プロレタリア作家叢書」の一冊であることは既述しておいたが、それらの明細は示さなかったので、ここで挙げてみる。 1 藤森成吉 『光と闇』 2 小林多喜二 『蟹工船』/改訂版『蟹工船』 3 山田清三郎 『五月祭前後』 4 徳永直 『太陽のない街』 5 立野信之 『軍隊病』 6 江馬修 『阿片戦争』 7 橋本英吉 『市街戦』 8 窪川いね子 『キャラメル工場から』 9 中野重治 『鉄の話』 9 小林多喜二 『一九二八年三月十五日』 10 小林多喜二 『工場細胞』 11 片岡鉄兵 『綾里村快挙録』 2と9に関しては少しばかり説明が必要であろう。小林の初版『蟹…
04/04(月) 蔭部屋で。一晩中暖房。耳栓装着。 昨夜就寝後時刻は確認していないが912号室のキチガイ女がトイレ室 内でコツン・コツン攻撃。 04:52起床。 起床直後912号室のキチガイ女に報復1発(天井板を棒で突く)。 サッカー籤(MEGA BIGを1口・100円BIGを2口)買ってはずれ (^.^) 「栗どら」2分の1を食す + コーヒー、 中野むら=52分20頁(-p318)。 廣松新哲入=19分3頁(-p49)。 中野重治『むらぎも』(1972 新潮文庫)=1時間29分43頁 (読了。中断期間を含め32日かかった。舞台は1920年代後半、 主人公は帝大生で「新人会」に加入しプロ…
03/31(木) 昨夜は19:50頃就寝。 一晩中暖房。耳栓せず。 04:57起床。 「夢どら」2分の1を食す + コーヒー、 中野むら=42分12頁(-p134)。 サブス軟膏。 宮台こ答=37分16頁(-p203)。 中野むら=30分16頁(-p150。中野重治の小説の何が嫌かとい うと、貧乏臭さ・田舎臭さ・無教養・文章の分かりにくさ、 である。最後の点は、主人公が一人合点をし、その理由が書い ていないため、読んでいて引っかかるのである)。 鼻水少し→ ディレグラ配合錠を2分の1にcutして服用。 クッキー1枚。 内田経学史講=32分5頁(-p14)。 AIS.収群島1=33分14頁(…
荒川洋治 編『昭和の名短篇』(中公文庫)を読む。荒川洋治は現代詩人だが、本の読み巧者でもある。荒川の取り上げる書評は面白く私は絶大な信頼を寄せている。その荒川が取り上げた昭和の名短篇のアンソロジー。志賀直哉から色川武大までの14人の作家の14作品を取り上げている。読んだことのない作家も数人いたし、なかなか楽しい読書だった。 私にとって圧巻だったのは、小林勝「軍用露語教程」という作品。荒川が「解説」で簡単に紹介している。 ……予科士官学校で潔は、対ソ作戦のためにロシア語の学習をさせられる。ある日、教官から原書を借りた潔は、ロシア語への興味がふくらみ、心の支えに。だが特攻要員となる彼は、「もうロシ…
1980年2月、筑摩書房から刊行された米田利昭(1927~)による松倉米吉の評伝。 目次 Ⅰ 糸魚川へ 1墓を訪う 2米吉の学籍簿――糸魚川へ 3暗い釣りランプの水車小屋――再び糸魚川へ 4日毛安之助のこと 5兄の生涯 Ⅱ 投稿者の群れ 1投稿者の群れ 2富山行――前橋喜久男のこと 3安房吉尾村と緑町と――干樫のこと 4マルエム工場 5鎚の歌 6『新潮』と『潮音』 7肩に負う子とよごれ馬と――山口好のこと Ⅲ 伝統と反逆 1従来の米吉論(一)――中野重治 2従来の米吉論(二)――高田浪吉など 3師の一人、哀果と『生活と芸術』 4アララギの伝統と茂吉・哀果の論争 5青春、自分とたたかう 6茂吉と…
青山真治が亡くなる。青山真治の映画がとても好きだったかというと、決してそうではない。見ている間は、駄目なところばかりが気になってしまう映画だった。しかし、強いて思い出そうとするのでなければ、それらの幾つかの映画たちをふと思い出す折には、とても美しくて強いショットばかりが思い出される映画でもあった。いつか、青山真治の映画についての批評文を私が書く時があるだろうか。 総てを見ているわけではないが、見ないで済ますことのできる映画作家ではなかった。中野重治を読むようになったのは大江健三郎の影響だけではなく間違いなく青山真治の『すでに老いた彼女のすべてについては語らぬために』を見たせいである。ご冥福を。
松下裕(まつしたゆたか)著『[増訂]評伝中野重治』(平凡社ライブラリー/2011年)は読了後も折に触れ目を通す本です。中野重治は私にとって、鶴見俊輔とともに若い頃からもっと多くの作品を読むべきであったとの悔いを残させる著述家です。が、中野と鶴見を並べて考えることはありませんでした。中野と並べていたのは大西巨人です。中野は1902年、大西は1916年生まれで、世代は違いますが、ともに日本共産党と新日本文学会に所属していたことでそう考えたのでしょう。中野は日本共産党から1964年に除名され(二度目!)、大西は除名はされなかったのですが1961年から同党と「事実上の絶縁状態にな」(講談社文芸文庫版『…
石立鉄男主演のドラマ「水もれ甲介」が都電荒川線雑司ヶ谷界隈でロケされたと知る。それをまた、当時と現在、比較して画像をアップしている人がいる。感心するなあ。 リンクの断りがいるかどうか不明なので、以上のこと、検索してもらえればたどり着けるはずです。 昨日、サンデーで本えらび。「サンデー毎日」は4月から週3回発売に変わる。「ポスト」や「現代」がすでに、月一回合併号を作るというかたちでシフトしていた。いよいよ紙媒体の終末が近づいている。 「古書ワルツ」の外でグレン・グールドのバッハCD、なかで1980年刊『中野重治詩集』筑摩書房。箱入りクロス装のほれぼれする造本。本文活字は精興社。この本を傍らに置い…
2020年令和4年3月10日 梅の花と椿 ふき畑 句集 春暁 西山暁子 平成26年(2014年)4月8日刊行 私家版 亀鳴屋制作 母・暁子米寿、父・外卿23回忌記念 現在 「風港」同人 宮崎孝正全詩集 編者・勝井隆則氏があとがきに書いている。 ぜんぶコミで面白いのだし, 石があるから玉もかがやくと、 一切合切を放り込む方針に転びました。 その成果が、上のような写真15ページ・64枚。 年表中に40枚。本文中にも詩集表紙写真などが紹介されており、本文709ページ。 大変な労作である。 すぐそのような見方をしてしまうのだが、博士論文級の著書だと思う。 私は宗教民俗の五来重先生に学んだが、先生が最初…
03/08(火) 一晩中暖房。 已む無く寝る部屋を変えた(東向き・密閉性がないから寒い) 。 912号室のキチガイ女による安眠妨害攻撃はなかったように思う。 02時半頃小用に起きるのさえなかったら熟睡だった。 05:41起床。 「栗どら2分の1」を食す + コーヒー、 阿部現政理=38分2頁(-p14)。 912号室のキチガイ女によるトイレ室内でのコツン・コツン攻撃が極めて控 え目の音量だ。 城塚社思史=42分6頁(-p22)。 宮台ivs=48分12頁(-p224)。 09:49 912号室のキチガイ女が外出(音が控え目)。 廣松新哲入=25分4頁(-p34)。 IST.は恋=21分1…