大阪唯物論研究会会員 倉島伝治 美しい人 佐多稲子の昭和 佐久間文あや子 著 芸術新聞社 2024年11月20日 刊 351頁 ¥3,300円 「昭和100年」なるキャンペーンが喧しい。そんな中、昨年に「作家佐多稲子という人物を通して昭和という時代を掘り下げよう」とする本が上梓された。著者は、いわゆる「リベラル系」に属する文芸評論家佐久間文子氏である。佐久間氏の佐多を見つめる目線は、次の文章に端的に示されている。 「長い戦争が終わって新時代が始まった時、稲子は思いがけず仲間の作家たちから戦争責任を問われる立場に立たされた。・・・・・新しい時代を迎え、『歌声よおこれ』と高らかに呼びかける宮本百合…