アニメーター。 京都アニメーション所属(取締役)
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1960年生まれ。慶応大学文学部哲学科卒業。専門用語を使わず、哲学するとはどういうことかを日常の言葉で語る。 著書「14歳からの哲学」は27万部のベストセラーとなった。 2007年2月23日、腎臓癌のため死去。46歳。
当時連載していた「週刊新潮」に死後発表されるよう手配した最終稿に自らの墓碑銘として記載されたことばは、「さて死んだのは誰なのか」であった。
to be continued・・・
池田晶子『41歳からの哲学』のつづきと、 アザリーン・ヴァンデアフリートオルーミ『私はゼブラ』と、 その他複数の本をパラパラ読む。 nainaiteiyan.hatenablog.com nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 人は健康である限り健康であることに気づきにくい。 人は声がある限り声の価値について気がつきにくい。 当たり前。 当たり前のことほど難しいことはない。 どんなに難しい数学の問題でも、問題である限り答えはある。 しかし、「1+1=2」と誰しもが当たり前であることのように分かる理由を解明…
アザリーン・ヴァンデアフリートオルーミ『私はゼブラ』のつづきと、 池田晶子『無敵のソクラテス』のつづきを読む。 nainaiteiyan.hatenablog.com nainaiteiyan.hatenablog.com 昨日、『ナボコフ文学講義』を読んでいたところ、「読書というものは存在しない。あるものは再読だけだ」といったことが語られていた。これは『私はゼブラ』のなかでモラレスが言ったセリフである。 これは間違いない。彼女はナボコフの言葉を引用していたのだ。 個人的な話としては、いまのところプラトン『国家』を再読する予定である。 池田氏は数学的かつ論理的にに物事を考えていることが良く分か…
池田晶子『41歳からの哲学』のつづきを読む。 nainaiteiyan.hatenablog.com 思うに、この方の本は100年後も確実に残る。 この方の本は現代の古典である。 その証拠として、まずこのかたは90年代から2000年前半にかけて文筆家として活動をしていた方である。 すでに20年以上が経っている。 にもかからわらず、大型書店の哲学コーナーに行けばこの方の本が確実に置いてある。 そして、本書のなかで「古典と同じような動き方をしている」と書店員に言われたエピソードが語られている。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー プラトンの著書をだいたい読み終…
池田晶子『41歳からの哲学』新潮社 (2004年) を読む。 初めて池田晶子氏の本を読んだのはおそらく二十歳の頃だったように思う。 BOOK・OFFで『14歳からの哲学』を手に取った。 難しい単語が全くないにもかかわらず、内容は難しく感じた。 当時は集中力も足りず、読破できずに積んどくとなった。 それから約十年が経ち、なんとか食らいついてようやく最近になって部分的に理解できるようになってきたと自負する。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 今日は民主主義と言論の自由の章をじっくりと読んでみた。 池田氏によれば、言葉は「外」にあるもので、それを「自由」に使…
アザリーン・ヴァンデアフリートオルーミ『私はゼブラ』のつづきと、 池田晶子『オン!埴谷雄高との形而上学対話』のつづきを読む。 nainaiteiyan.hatenablog.com nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー この二つの本には何らかの共通点があるようにみえる。 『私はゼブラ』の「文学至上主義」という言葉はやや極端にみえるが、「自分の力で考え、世界を斬り込む」という点において、埴谷氏と池田氏の基本的な姿勢は変わらないのではないだろうか。 自分で考えるという表現では足りないかもしれない。 「難解…
今日は池田晶子『無敵のソクラテス』にて、哲学の最終到達点について語られていた。 結局のところ、それは「知らない」ということを「知る」こと。という、逆説めいた教訓を得る。 これについて思うところがある。 岡本太郎は「積み下げ」を推奨している。積み上げるなんてもってのほか、人生は常に無条件に運命に楯突くものだ。そのように語る。 池田晶子氏のそれとは別の意味かもしれない。 しかし、部分的に共通点はあるように感じた。 人は積み上げることによって物事をある程度知った気になる。 自分についても同様で、これはある意味落とし穴でもある。これは気をつけねばと思う。 哲学は人間は何について知らないかを突き詰めるプ…
池田晶子『無敵のソクラテス』のつづきを読む。 nainaiteiyan.hatenablog.com 今日はインターネットの話と脳科学の話を読む。 インターネットを介した情報を知ることは本当の「知る」ことではないと池田氏は語る。 自分では知り得なかった情報がインターネットで手に入る、素晴らしい。 しかし、それは必然的に他者から与えられるものでしかない。 自分の力で「想起」しない限り、知ることにはならないと池田氏は語る。 一方、池田氏はインターネットを全否定している訳ではないことも理解できた。 「まずはしっかりと自分で考えなさい、そこからです。」と言っているように感じた。 脳科学に関しては、エン…
フランツ・カフカ『城』のつづきと、 nainaiteiyan.hatenablog.com 小林秀雄『考えるヒント3』文春文庫新装版 (2013年) を読む。 カフカの小説をビデオで例えていうならば、早送りしてようやく普通のスピードとなるような、そのような感覚である。 起きている出来事自体だけを端的に書くのならば、『城』は分厚くはならないだろう。 数多くの上手い表現や言い回しが何故ここまで噴水のように出てくるのか。 ここが独創的であるように感じる。 250ページほど読んだところ、言葉の乱射攻撃によって話が掴めなくなってしまった。 小林秀雄の『考えるヒント』を初めて読んだのは高校生の頃であった。…
池田晶子『無敵のソクラテス』のつづきを読む。 nainaiteiyan.hatenablog.com 非常に面白い。 とてつもなく面白い。 プラトンとソクラテスが現代に舞い降りた。そう思わずにはいられない。 議論の内容は多岐にわたる。 けっして抽象的ではなく、現実に則したものとなっている。 夕方は正義と倫理の話をゆっくり読んだ。 結論からいうと、「倫理=正義」という構造が嫉妬を媒介して判明する。 例えば、不正に4630万円を手にした人間がいるとする。 「けしからん」 人々は怒る。仮に、本当に4630万円が人間の手にわたってしまったとする。 本書ではサラリーマンが語る。 「倫理観はどこにいってし…
池田晶子『無敵のソクラテス』新潮社 (2010年) を読む。 実業家とプラトンとソクラテスが富と幸福について語る。 経済倫理について、あっさりと結論まで辿り着いてしまい、私はぽかんとしてしまった。 内容は以下の通り。 他人から承認を得ることで幸福を得る人間は、自分で自分を幸福を思うことができない。 心が先か物が先か。 物がいくら豊かにあろうが、幸福を物自体が決めることはできない。 物を認識するのは心であり、結局のところ幸せを判断するのは心次第である。 従って、幸福を決めるのは物ではなく心である。 常に心が先行する。 実業家は公正なルールにもとづけばビジネスで人を幸せにできると考える。 公正なル…
ピエール・カバンヌ/マルセルデュシャン『デュシャンは語る』のつづきと、 nainaiteiyan.hatenablog.com アリストテレス『詩学』光文社古典新訳 (2019年) を読む。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 芸術に関しては最近になってようやく関心が出てきたため、デュシャンを取り巻く人物の予備知識が足りないため、本書の重要な部分を見逃している感が否めないので悔しい限りである。 話を読む限りは、偉大な芸術家とはいえ若い頃は借金をするような、ごくありふれた存在であったことがうかがえる。 芸術と文学、そして哲学は親和性が高く、個人的に読んでいて…
わたくしつまりNobody賞、受賞の2冊を読んだ記録。 『海をあげる』上間陽子/著(筑摩書房, 2020年) 『まとまらない言葉を生きる』荒井裕樹/著(柏書房, 2021年) 今を生きている私の尊厳を守る。 抗う。 無遠慮に踏み越えようとする力に対して、「ここに一線がある。踏むな」と全身を使って示す。 言葉で線を引く。 警告を発する。 それは相手を人間扱いしているからだ。 相手が私を人間扱いしないときでさえ。 詩人・茨木のり子の「自分の感受性くらい」を思い出す。 どうか今、本質に語りかける言葉を。 言い得ない。だから言葉を探す。 苦しみから作りだされる言葉もある。 弱々しくてもよい。 私だけは…
ニーチェ『この人を見よ』光文社古典新訳 (2016年) と、 セルバンテス『ドン・キホーテ』のつづきを読む。 nainaiteiyan.hatenablog.com 『この人を見よ』は、ニーチェが書いた最後の本とされている。 解説によれば本書において、ニーチェは『ツァラトゥストラ』が人々に理解されていないことに関して思うところをいろいろと語っており、そのため、ツァラトゥストラの入門書としても読めると書いてある。 冒頭では、ニーチェがそもそもツァラトゥストラは選ばれた者にしか耳に届かないと書いている。 つまりは、理解されようと思って書いていないのは自明である。 裏を返せば、説教染みたことを書くの…
・ ・ ・ 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。 ・ ・ {東山道・美濃国・百姓の次男・栗山正博}・ 2022年5月27日号 週刊朝日「帯津良一のナイス・エイジングのすすめ 魂の成熟 ポイント ①『老害』といういやな言葉が使われることがある ②老人が害になることって、本当にあるのだろうか ③老化により本来、成熟する魂が害になるはずがない 老害について 『老害』という言葉があります。いやな言葉ですね。老人が害になるという意味でしょうか。 …… 改めて、『老害』を広辞苑で調べてみると、 『(老人による害の意)硬直した考え方の高齢者が指導的立場を占め、組織の活力が失われること』 とありま…
荒井さんの著書については出るたびに紹介してきたし(自分は読んでないので荒井さんに叱られたこともある)、上記の著書が朝日新聞の書評欄に取り上げられたり・朝日新聞に荒井さんが毎週コラムを連載していることも紹介したネ。今回再度取り上げたのは、朝日(5月11日)に本書が「第15回わたくし、つまりNOBODY賞」というのを受賞という記事が載っていたからだ。初耳の賞だけど故・池田晶子さんを記念したものだそうだ。池田晶子という人の本は、話題になった時に本屋で立ち読みして読むに価しない「(中身が)薄い」書だと判断したのを覚えている。その後、中学生の教科書にその文章が採られていることを知ったけど、そのレベルのも…