標高1,800m。雲より高い場所に、硫黄の含有量日本一の万座(まんざ)温泉がある。群馬と長野の県境、嬬恋(つまごい)村。草津白根山の火山帯に抱かれ、いくつもの源泉が湧き出す。結論から言うと、「国宝」と呼びたくなる日本が誇るべき温泉地である。 万座温泉は、車でたどり着ける日本最高所の温泉地。「天空の温泉」「星に近い温泉」と称される。地名の「万座」は、「万(よろず)の人が座れるほど広い」に由来。古くから山岳信仰の修験者が踏み入り、猟師たちが湯で傷を癒した。正確な開湯の記録は残っていない。誰が、いつこの湯を見つけたのか。その起源は、万座の濃霧の彼方に消えている。 万座温泉の湯 湧き出す湯は、強烈な硫…