「カフェを扱った作品」の第二弾は、岸本葉子『カフェ、はじめます』(中央公論新社、2015年)。吉祥寺に住む40代の独身女性・和久井いさみが、「かわいい古民家」に一目ぼれ。「家を壊されたくない」という思いから、その家を借り受け「おむすびカフェ」を開業するまでのプロセスが描かれています。 [おもしろさ] カフェを開業するまでに立ちはだかる諸課題 本書の特色は、カフェの営業を描くというよりは、まったくの素人がそれを開設するまでのプロセスを、読者と一緒に楽しむという内容になっている点にあります。大家、不動産業者、行政書士などとの出会い・折衝・駆け引きを通して、リフォームや営業許可など、開業するための準…