「君は灰色だね」 あるバイトの面接に行ったとき,店長にこう言われた。 頭にきた。その人が言うには,ぼくは灰色らしい。陽気でも,陰気でもない。どちらでもない人。悪く言えば,何もない人。それがぼく。イラッときたけれど,こうも思った。 「確かに,人生振り返っても,なにもなかった。確かに,ぼくは灰色かもしれない」 ぼくは恵まれている側だ。 まず,この国に生まれているし,教育も父も母も存分に了承してくれた。心優しい友人もいる。学業もある程度,上手くいった。 でも,ぼく自身に焦点を当てた瞬間,なんにもない人が溢れ出る。凹レンズでも,凸レンズでもぼやけて,ぼくの人生にきれいにピントは合わない。なにかをなした…