貨幣経済を題材に資本主義の最高の段階としての帝国主義を扱う作品『ハイパーインフレーション』。 第30話では主人公が掲げる奴隷解放という公約が主人公の姉を助ける為の口実ではないかと糾弾される。 ここで扱われる問題が個人的な目的と社会全体の夢の相克に対してどのように正当化を図るかという問い。 作中では「家族」や「会社」が引き合いに出され自己の欲望が他者の為になることが説かれて行く。 最初は個人の欲望を叶える手段として大勢を巻き込んだが、その大勢の一人一人にも夢がったのだ。 「俺一人の夢が……俺だけのものじゃなくなった」と演説するシーンが今回のハイライト。 この個人的な目的と社会集団全体の夢の相克は…
今回のアワード大賞騒動は後世のノベルゲーム史の教科書に載るので、時代の生き証人としてメモ。 コンテンツ産業史、メディア文藝史、コンテンツツーリズムの研究分野でも参照されることになるでしょう。 ↓ 下図は現金プレゼント企画により投票を呼びかけるツイートの参考資料(一例) ノベルゲーの市場構造 ノベルゲーは実に玉石混交であり水商売です。プレイヤー側も地雷を踏むことが少なくありません。それ故、メーカーは製作費を回収するため店舗別特典・予約特典・初回特典などのプレミアをつけて初版を販売します。新作を定価で買うのは信者と転売屋が中心であり、発売日には特典が抜き取られた未開封中古が市場にだぶつくことになり…
斜陽産業となって久しいノベルゲーム業界ですが、今年はどのようなクソゲー・ネタゲー・地雷ゲーが登場したのでしょうか。ノベルゲー史の証言として個人的な雑感を書き残しておきたいと思います。私は基本的にはあまりkuso-gameだと感じることは少ないのですが、それでも思わずkusoと思ってしまった作品をご紹介いたします。体験版をやった時点でこりゃヤヴェーなと思ったゲームも含めて紹介していますので、もしかしたら製品版では大逆転してとても面白くなっているケースがあるかもしれません。また私の感性が異常なだけで一般的には良作という場合もあるかもしれません。その時はぜひ、このゲームはKusoではなく良ゲーだよと…
現在ユーザーの評価を巡って炎上している『まいてつ Last Run!!』(11.22事件)。 評価規準は色々と分かれるかと思いますが「シナリオ」は低評価だったのでしょうか。 ここではまいてつLRのシナリオが低評価である理由を詳しく解説していきたいと思います。 実際にシナリオをプレイした上で分析すると決定的な低評価の原因として以下のものが挙げられます。 1.ハチロク問題 ハチロクアフターなのに実質はオリヴィ√であり、ハチロクルートの主題は中華ルートで雑に回収された。 2.オリヴィ問題 ハチロクアフターではオリヴィを主役に据え死生観を描いたのに、自らその主題を踏みにじった(アッサリ複製体と転生体が…
中国(大陸)からの誘致で視察に行き、鉄道復権のための観光国策を提言する話。 しかし中国における鉄道制度やその位置づけに関する説明は一切なし。 中国経済を扱うのに社会主義市場経済と共産党一党独裁も完全にスルー。 「ぼくの かんがえた さいきょうの てつどう かんこう しんこう」という側面が強い。 ライターの思いつきが賞賛されながら採用されていく様子を読まされることになる。 中国の若者に対し鉄道に興味を持たせる方法として「スタンプラリー」をドヤ顔で提言。 ライターの経済発展観=「屋台におけるスマホ決済」を例とした支払い取引システム。 観光国策の提言などと大風呂敷を広げず、普通に観光するだけじゃダメ…
全九州周遊鉄道構想を実現することで主人公が事故のトラウマから解放される話。 ヒロインたちと向き合うことで観光鉄道に関する諸問題の解決策が浮かぶという形式。 解決方法は極めて杜撰なご都合主義で、詳述されずに成功するので、割り切りが必要。 「鉄道産業の復興」と「ヒロインとのフラグ構築」を「トラウマ解放装置」とした所に限界があった。 このライターは家族や地域などの狭い関係性を描くのは上手いが政治行政経済ネタは微妙になりがち。 グランドルートなので全てが上手く行った奇跡的な世界線の話と仮定して頑張って読み進めましょう。 ラストは鉄道復権のために「交通の足」を生み出すため新幹線を作るよエンドとなります。…
選ばれなかったヒロインの心情描写を展開した挙句、両方選ぶエンドもある。 ノベルゲーで「選ばれなかったヒロイン問題」は割とテーマとして扱われる。 本作は凪orふかみを選ぶことで切られてしまったヒロインの心情を読まされる。 (それでなくとも非ハチロク√でハチロクが心を痛める描写が必ず挿入される) 両方選ぶエンドが片方選択√の情緒を破壊するだけなく解決方法もぶっ飛んでいる。 世論誘導して国会で議員立法してもらい認定家族制度とかいう展開。 概要 凪とふかみの成長 アフターの前半は凪とふかみの成長が描かれます。まず始めに凪の剣道大会から。凪は剣術では一流の腕前を持ち同世代では敵無しであるものの、戦い方が…