よみびとしらず 風のおとの限りと秋やせめつらむ吹きくるごとに声のわびしき (かぜのおとの かぎりとあきや せめつらむ ふきくるごとに こえのわびしき) 後撰和歌集 巻第七 秋下 421 【語釈】 かぎり…時間的な限界。最後。臨終。 せむ…責める。せきたてる。強要する。 わびし…つらい、やりきれない。もの寂しい、心細い。 こゑ…響き。 【普通の意訳】 終わりの近づいている秋が、風の音を極限まで高めているのだろうか。吹いてくるたびに、心細さが増していくよ。 …… 「吹きくる」に笛を吹く意を、「ごとに」に琴の意を掛けているという説があるという。 また、「せむ」には、楽器などの音を高くする意味の「迫む…