また、返し くろかみと ゆきとのなかの うきみれば ともかがみをも つらしとぞおもふ 黒髪と 雪とのなかの 憂き見れば 友鏡をも つらしとぞ思ふ また、返し 黒髪が白く、雪のようになっていくのを憂いて見ていると、白髪と雪とが、互いを白く映し出す合わせ鏡のように思えるのも、つらいことですよ。 貫之と兼輔によるやり取りの三首目。この歌はちと難解ですね。第二句「なか」は「仲」で、黒髪が白髪化していくのを、黒髪と雪(=白髪)との「不仲」と捉えて、憂うる気持ちで見ているという意。「友鏡」は合わせ鏡のことで、白髪の雪への見立てをベースに、イメージの中で白髪から雪、雪から白髪へと交互に入れ替わるのを、お互い…