あるところの、「春と秋といづれまされる」ととはせたまひけるに、よみて奉れる はるあきに おもひみだれて わきかねつ ときにつけつつ うつるこころは 春秋に 思ひ乱れて わきかねつ 時につけつつ うつる心は あるところで、「春と秋のどちらが勝っているか」とのご下問があり、詠んで奉った歌 春と秋のどちらが勝っているか、思いが乱れて決めることができない。時に応じて、心が移り変わるので。 春秋の優劣を論じる戯れは平安時代にしばしば催されたようで、直接それをテーマとした「論春秋歌合」なるものが開催されたこともあるようです。本ブログのベースとさせていただいている『土佐日記 貫之集』(木村正中校注)には、凡…