源公忠の弁に日々に対面しけるに、いかなる日にかありけむ、対面せざりけるとき、よみて奉る たまぼこの とほみちもこそ ひとはゆけ などかいまのま みぬはこひしき 玉ぼこの 遠道もこそ 人は行け などかいまのま 見ぬは恋しき 右大弁源公忠殿に日々お目にかかっているが、いつのことであったか、お会いできなかったときに、詠んで奉った歌 今日あなたさまがお見えにならないのは、遠い旅路にでも行ってしまったのでしょうか。私はどうしてか、こうしている間も、お会いできずにいるとあなた様が恋しいのです。 源公忠(みなもと の きんただ)は第58代光孝天皇の孫で三十六歌仙の一人。貫之集では、698、738、739 に…