アレクサンダー・ペイン監督

作品舞台は1970年の冬、アメリカ・ボストン近郊にある全寮制の名門男子校。 他の先生・生徒たちがクリスマス休暇を家族と過ごす中、嫌われ者の古代史教師ポール・ハナム（ポール・ジアマッティ）は、家庭の事情で家に帰れない問題児の生徒アンガス・タリー（ドミニク・セッサ）と、一人息子をベトナム戦争で亡くしたばかりの料理長メアリー・ラム（ダヴァイン・ジョイ・ランドルフ）とともに、たった3人で、学校でクリスマス休暇を過ごすことになる。 孤独を抱える3人が、徐々に心を通わせていき…というストーリー展開。 感想が遅くなってしまったけれど、先月末に観てきた作品。 バンドのスタジオリハが早い時間に終わったので、観て…

『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』 原題：The Holdovers 2023年製作／アメリカ映画／上映時間：133分／PG12／2024年6月21日日本公開 監督：アレクサンダー・ペイン 出演：ポール・ジアマッティ ダヴァイン・ジョイ・ランドルフ ドミニク・セッサ ほか 『ファミリー・ツリー』、『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』のアレクサンダー・ペイン監督が、『サイドウェイ』でもタッグを組んだポール・ジアマッティを主演に迎えて描いた人間ドラマです。 2024年・第96回アカデミー賞において、作品賞、主演男優賞（ジアマッティ）、脚本賞など計5部門にノミネートされ、ダヴァイン・ジョ…

4.5 目的が功名心にまみれている──と思うことがある。何をするにも、自分の内心に承認欲を感知してしまう。ほめられたい、好かれたい、栄誉をさずかりたい、バイトくんから尊敬されたい、さりげなく自慢したい、多数のいいねやフォロワーがほしい──そういうことを、日常の端々で、連続的に思っている自分に気づくことがある。 しかし、それを言うなら世の全体がそうである。大谷翔平のような天才ではないわたしたちは誰もが浮かばれるチャンスをねらっている承認欲のごまめである。SNSは謂わばその歯ぎしりである。わたしたちは毎日スマホを眺めてそういう人々の歯ぎしりを聞いている。と思っていたら、聞こえていたのはじぶんの歯ぎ…

アレクサンダー・ペイン監督のハートフルな人間ドラマ『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』の映画評です。日本公開は夏。クリスマスが舞台なので、夏に観るのはちょっと違和感がありつつ。 舞台は全寮制の名門高校、バートン高。クリスマスシーズンを迎え、多くの生徒たちは家に帰る中、数人は家庭の事情で学校に残って共同生活をすることに。生徒たちを任されるのは歴史教師のハナム（ ポール・ジアマッティ）ですが、厳格な指導で生徒たちから嫌われている。果たして無事に年を越せるのか……という話です。 テーマは「人生いろいろ」だと受け取りました。メインのキャラクターは生徒のアンガス・タリー（ドミニク・セッサ）と教…

The Holdovers - Official Site - Miramax 『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』公式サイト どうしても「サイドウェイ」の、と枕詞が付いてしまうアレクサンダー・ペイン監督がその「サイドウェイ」(2004)でモテないおっさんを演じたポール・ジアマッティと「再度」タッグを組んだのが本作。 冒頭、ユニバーサルのロゴ、昔風のR +17の表示、平板なこれもあの頃風のミラマックスのロゴにフィルムの音声トラックに入ってしまうプツッという雑音。 さてどの時代のフィルムなのだろうと郷愁を掻き立てるオープニング。 そして私は本当に長い間たくさん映画を、とりわけアメリカ映…

この時期に最高のクリスマス映画に出会えた奇跡。 『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』 www.youtube.com 「ファミリー・ツリー」「ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅」の名匠アレクサンダー・ペイン監督が、「サイドウェイ」でもタッグを組んだポール・ジアマッティを主演に迎えて描いたドラマ。 物語の舞台は、1970年代のマサチューセッツ州にある全寮制の寄宿学校。生真面目で皮肉屋で学生や同僚からも嫌われている教師ポールは、クリスマス休暇に家に帰れない学生たちの監督役を務めることに。そんなポールと、母親が再婚したために休暇の間も寄宿舎に居残ることになった学生アンガス、寄宿舎の食堂の料理…

映画「ハイスクール白書 優等生ギャルに気をつけろ!」（原題：Election、1999、日本では劇場未公開）を見る。原題である「Election（選挙）」そのままに、高校での生徒会長選挙を題材にしたブラック・コメディ。 監督はのちに「サイドウェイ」でアカデミー脚色賞に輝いたアレクサンダー・ペイン監督の長編デビュー作。主演は「ニール・サイモンのキャッシュ・マン」でスクリーンデビューしたマシュー・ブロデリック。 リース・ウィザースプーンは毒気のある優等生像を見事に演じ切り、本作が出世作となった。登場人物がみな一癖あるところは面白い。 ・・・アメリカ・ネブラスカ州オマハのある高校が舞台。人気教師のジ…

『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』レビュー 70年代テイストの心温まるストーリー アレクサンダー・ペイン監督による『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』は、1970年代のアメリカを舞台にした心温まる物語です。全寮制の寄宿学校で、冬休みに帰省できない生徒たちを監督することになった考古学教師ハナム（ポール・ジアマッティ）の姿は、まるで昔の映画を見ているような懐かしい感触を与えてくれます。この映画は、単なるコメディーではなく、キャラクターたちが抱える孤独や傷をしっかりと描き出しているところがとても魅力的です。 登場人物たちの心の葛藤 ハナムは真面目すぎて皮肉屋というキャラクターで…

『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』の魅力を探る 懐かしの70年代テイストと現代へのメッセージ アレクサンダー・ペイン監督が手掛けた『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』は、1970年代アメリカの全寮制寄宿学校を舞台に展開される感動的な物語です。映画が始まると、苦悩を抱える教師ハナムを演じるポール・ジアマッティの姿が印象的に描かれます。彼は学生と同僚から疎外されている真面目な教員であり、クリスマス休暇中に帰省できない学生たちの監督役となるのです。この設定が、物語の中心となる人間模様や成長を際立たせていて興味深いですよね。 ユニークなキャラクターたちのドラマ 物語のもう一つの魅…

『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』の魅力 1970年代のアメリカがもたらすノスタルジア 『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』は、アレクサンダー・ペイン監督が贈る、1970年代のアメリカの雰囲気を存分に味わえる作品です。この映画は、マサチューセッツ州の全寮制の寄宿学校を舞台に、クリスマス休暇中に取り残された教師と生徒、料理長の物語を描いています。ペイン監督のこだわりが感じられる映像と演出には、思わず当時の雰囲気に浸ってしまいますよね。また、ポール・ジアマッティが演じるハナム教師の皮肉屋な性格が、なんともユーモラスで魅力的です。 キャラクターたちの独特な邂逅 作品の核心にある…