斎藤 なぜポリフォニーがよいのか。ポリフォニーは隙間、余白が多いのです。ポリフォニーの対義語にあたるのがハーモニーと言われます。ハーモニーの場合は、一つの調和した意見が全体を支配するという状況で、一見すごく満足度が高いように見えますけど、実際には余白がなく、個々人の意見も微妙に抑圧されてしまっていることが多いと思います。「本当はちょっと違う気もするけど、一体感の気持ちよさに水を差すのもなんだから」みたいな妥協、譲歩があり得るでしょう。ポリフォニーのほうがはるかに隙間が多くて、その隙間において当事者は自分の主体性や自発性を回復するとされています。(横道誠、斎藤環、小川公代、頭木弘樹、村上靖彦『ケ…