息子ヴォルフガングの音楽の天才に気付いたレオポルトは、これを育み開花させることを神から与えられた自分の使命と考え、早くからその実践に取り掛かりました。 音楽そのものはもちろん、音楽家として世を渡っていくのに必要な一般教養についても、幼いヴォルフガングに自ら教育を施したのです。 しかし、ヴォルフガングの才能を十全に伸ばし、そこから豊潤な果実を摘み取るには、彼らの住んでいたザルツブルクは小さすぎました。 そこでレオポルトは、ヨーロッパの王侯貴族や音楽の大家、さらには一般民衆に息子の楽才を披露し、彼らの評価と後援、さらには名声や金銭、地位を得ようと、ヴォルフガングを(時には姉のナンネルも)連れて、当…