1913年はクロム合金が発明され、鉄鋼生産に大きな革命をもたらした記録すべき年である。
当時、世界の多くの研究者は、鉄とは異なる合金の発明に取り組んでいた。
イギリスのベレアリ−氏はクロムを増すことによって銃弾用の樽に使用されている鉄の改良に努めており、12% のクロム含有量で鉄は酸腐食に耐えることを発見した。
ステンレス鋼 (stainless steel) の言葉は、当初新しいメタルから作られた料理用ナイフを説明するために使用されたものと言われている。現在は、さびにくい鋼のことを指す。漢字で不銹鋼と書くこともある。
ステンレス鋼は含有する化学成分で、Cr系ステンレスとCr-Ni 系ステンレスに大別される。1920年代末にクロムを含有しニッケルを含まないマルテンサイト系 (Cr13〜18% )とクロム、ニッケルを添加したオ−ステナイト系(Cr18,Ni8%, 以来18-8) 、1940年代に入り析出硬化系、ついで二相系ステンレス鋼が開発され、それぞれの特性を生かして新用途が開拓されてきた。
錆に強いとされているステンレスだが、鉄粉が表面に突き刺さると鉄粉の錆がステンレスに広がり、いわゆるもらい錆を生じてしまう。これを防ぐため、東急車輌による初期のステンレス車体の製作では、工場をカーテンで仕切りステンレス加工の区画を完全に分離した。