政府が今国会で改定をめざす新農業基本法「食料・農業・農村基本法」には、食料自給率向上が明記されず、国策としては放棄される内容になっている。国民の食料確保を、政府の義務ではなく「農業者その他の関係者が取り組むべき課題」として農業者の責任に落とし込む。「もぬけの殻」法だ (新聞『農民』2/26) と強く批判されているが、当然である。 私がさらに問題だと思うのは、法案に「新規就農者支援」という言葉がないことだ。人に投資をすることを頑強に拒み、ロボットやドローン、AI技術頼みの生産を進める「スマート農業促進法」を進めようとしている。地域社会とそこに住む人々へのまなざしがない。これは、農外産業のもうけを…