前回に続いて、上橋菜穂子『香君』を生物多様の視点から読んでみると・・・ ウマール帝国は、神授の稲オアレ稲によって属国を支配してきた。その支配構造と源泉は、現代の多国籍アグリビジネス企業のビジネス戦略とそっくりだということを前回の記事で示した。 物語では、さらに生物多様性の視点から興味深い出来事が続いて起きる。 オアレ稲一辺倒となった耕作地にヒシャという恐ろしいバッタが繁殖して稲を食べ尽くし、飢餓が蔓延する光景が描かれている。すなわち虫害だ。現在の香君と少女アイシャが、この害虫に対処するのが物語の山場でもある。 前回の緑の革命で記したとおり、プランテーションなど大規模なモノカルチャー(単一耕作)…