作家。 1962年東京生まれ。立教大学大学院博士課程単位取得満期退学。専攻は文化人類学。オーストラリアの先住民族であるアボリジニを研究。 女子栄養大学助手を経て、現在川村学園女子大学助教授。文化人類学的視点を生かしたファンタジーを書く。 2002年、守り人シリーズが第25回巌谷小波文芸賞を受賞。他にも数々の賞を受賞している。 2014年、国際アンデルセン賞作家賞を受賞。
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<ハードカバー版>
<軽装版> <新潮文庫版>
上橋菜穂子の『鹿の王 水底の橋』を読んだ。 以前に読んだファンタジー作品『鹿の王』の続編。 movielovers7.hatenablog.com 今作では、医師ホッサルが安房那へ出かけ、そこで起こることが描かれている。政治的なお話が多く、ファンタジー要素は少な目でちょっと残念だが、医療倫理・哲学が中心のお話で読み応えあり。 このシリーズ、さらなる続きがあるなら読んでみたい。 鹿の王 水底の橋 (角川文庫) [ 上橋 菜穂子 ]価格:880円(税込、送料無料) (2026/3/31時点) 楽天で購入
『鹿の王』の続編と位置づけられている。単行本が 2019年6月に刊行された。 しかし、『鹿の王』で中心人物となって行った<独角>の頭・ヴァンと山犬に噛まれても生き残った幼子ユナの二人のその後の物語ではない。 この物語は、『鹿の王』の主な登場人物の一人、250年前に滅びたオタワル王国の末裔で、オタワルの医術を継承する天才的な医術師ホッサルに光が当たっていく。 併せて、ホッサルの助手でオタワルの医術に携わりホッサルの恋人でもあるミラルが前作と同様に登場し、彼女も中心人物の一人になる。 つまり、那多瑠を現皇帝とする東乎瑠帝国が舞台となる点では背景として繋がりがあり、その帝国の続きを伝えるファンタジー…
タイトルに惹かれて本書を手に取った。この作家を知らなかったので、本書の奥書を読んで、びっくり! 単行本版が、2014年9月に刊行された。 そして、2015年に第4回日本医療小説大賞(主催・日本医師会)と第12回本屋大賞を受賞した作品。 本作は高学年の生徒から大人までを広く読者対象とするのだろう。だが直接の対象は大人だという気がする。 「あとがき」で著者が使用する言葉でいえば、「共生」と「葛藤」について、壮大でファンタジーな世界を創造し描き上げていった作品。 動物の一つにトナカイが出てくる。北極周辺の奥深い森林地帯と広大な山野が広がる地域に巨大な帝国が築かれていて、その一地方で起こった物語という…
上掲の画像は、15年ぶりに2004年6月に刊行された改訂新版の表紙。2014年4月の7刷で読んだ。本書は著者による児童文学のジャンルにおけるデビュー作。偕成社から1989年に刊行された。 ウィキペディアを参照すると、著者は文化人類学者であり、かつ児童文学作家、ファンタジー作家、SF作家でもある。 2015年に『鹿の王』で、第4回日本医療小説大賞(主催・日本医師会)と第12回本屋大賞の2つを受賞した作家というとわかりやすいかもしれない。 本書はSFファンタジーの未来物語。漢字のほぼすべてにルビがふられていて、児童文学というジャンルに入る物語になっている。 自分たちが起こした環境破壊が原因で地球に…
上橋菜穂子さんの『精霊の木』(偕成社、1989年)を読みました。執筆当時、上橋さんは、文化人類学を専攻され、大学院博士課程の進学準備をされていました。いわゆる「先進国」の人々が、ネイティブ・アメリカンやアボリジニ等の先住民社会を侵略していく、それを想起させるような作品でした。 現実には無い世界を描いているので、ファンタジーの一種と言えるのではないかと思いますが、人類が地球を汚染しつくして住めなくなり、異星に移住していく、という設定です。ですので、一般的なファンタジーとは、ちょっと意味合いが違うように感じます。近未来小説というか、そんな感じです。 話の筋からは離れるのですが、考えさせられた一節を…
上橋菜穂子さんの守り人シリーズ最終章、天と地の守り人を読んだ。やっぱり名作。感動した。 ※前の巻含め、ネタバレ気にせず感想書くので未読の方はご注意ください。 天と地の守り人〈第1部〉ロタ王国編 (新潮文庫) 作者:上橋 菜穂子 新潮社 Amazon 天と地の守り人〈第2部〉カンバル王国編 (新潮文庫) 作者:上橋 菜穂子 新潮社 Amazon 天と地の守り人〈第3部〉新ヨゴ皇国編 (新潮文庫) 作者:上橋 菜穂子 新潮社 Amazon 前作「蒼路の旅人」は、南の強国・タルシュ帝国の捕虜となったチャグムが、新ヨゴ皇国を枝国とするための駒として使われることを避けるため、わざと海に落ちて死を偽装する…
上橋菜穂子さんの守り人シリーズ七巻目。ここまで来て、面白さのギアが一段上がってしまった印象である。名作と呼んでいいのではないだろうか。 蒼路の旅人 (新潮文庫) 作者:菜穂子, 上橋 新潮社 Amazon 新ヨゴ皇国の帝のもとに、隣国サンガル王国から密書が届く。内容は、南にある強国・タルシュ帝国からの侵略に抵抗するための援軍を要請するもの。帝は援軍を送ることを決定するが、皇太子チャグムは、罠である可能性を疑い援軍の派遣の取りやめを直訴する。これが父帝の怒りを買い、チャグムは援軍への同行を命令される。かねてよりチャグムの人望を面白く思っていなかった帝は、かえってチャグムを殺す好機ととらえたのであ…
上橋菜穂子さんのファンタジー小説、守り人シリーズの5巻目と6巻目「神の守り人」来訪編と帰還編を読んだ。これまで少しずつ読み続けていたシリーズものだが、このブログで書くのは初めてなので、最初にこのシリーズ全体について書いた後、「神の守り人」の感想を書く。 ※今回はネタバレありの感想なので、未読の方はご注意ください。 神の守り人〈上〉来訪編 (新潮文庫) 作者:菜穂子, 上橋 新潮社 Amazon 神の守り人〈下〉帰還編 (新潮文庫) 作者:菜穂子, 上橋 新潮社 Amazon 上橋菜穂子さんの守り人シリーズは長編10巻、短編3巻が出版されているファンタジー小説である。分類上は児童書で、1巻の「精…
『精霊の守り人』 上橋 菜穂子 児童文学という勿れ、殺伐とした社会派サスペンスや腹黒い人たちだらけのミステリーばかり読んで(聴いて)ると、心洗われたくなるものです^^;無駄に濃いキャラクターが出てきたり、派手すぎる魔法や武器などが出てくるわけでもなく、静かに厳かに伝承や言霊の力などが散りばめられる。なんというか子供の頃にやや狭い世界の中で巻き起こる不思議に想像力を働かせて、頭の中でその世界を自ら作り上げる…そういった「素地」というものを感じさせられる作品。そこに出てくる丘や山、湖、川などは、まだまだ幼い頃の自分には、家のまわりに存在しているそれらを当てはめていたのだろうなぁ…なんて思い出されて…
これは、「才能がある」ってことの悲劇性を描いた物語なんだ、と最近読み返して腑に落ちた。 物語はふたりの男をメインに据えて進んでいく。ひとりは、飛鹿乗りの戦士で、故郷を守るために戦い、破れ、奴隷となって働かされていたヴァン。もうひとりは高名な医術師であるホッサル。 正直、あらすじを述べるのは非常に難しい。国と国の関係、病、宗教、いろんなものが絡みついた物語だからだ。 だから、ある意味ではふたりの全く異なるところで生活し、異なる価値観を持つ男の人生が、とある病を起点にして一瞬交わる、そういう話である、と言うこともできる。 ふたりには、ぱっと見て、あまり共通点がないように見えるのだが、強固な共通点が…