作家。 1962年東京生まれ。立教大学大学院博士課程単位取得満期退学。専攻は文化人類学。オーストラリアの先住民族であるアボリジニを研究。 女子栄養大学助手を経て、現在川村学園女子大学助教授。文化人類学的視点を生かしたファンタジーを書く。 2002年、守り人シリーズが第25回巌谷小波文芸賞を受賞。他にも数々の賞を受賞している。 2014年、国際アンデルセン賞作家賞を受賞。
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『精霊の守り人』 上橋 菜穂子 児童文学という勿れ、殺伐とした社会派サスペンスや腹黒い人たちだらけのミステリーばかり読んで(聴いて)ると、心洗われたくなるものです^^;無駄に濃いキャラクターが出てきたり、派手すぎる魔法や武器などが出てくるわけでもなく、静かに厳かに伝承や言霊の力などが散りばめられる。なんというか子供の頃にやや狭い世界の中で巻き起こる不思議に想像力を働かせて、頭の中でその世界を自ら作り上げる…そういった「素地」というものを感じさせられる作品。そこに出てくる丘や山、湖、川などは、まだまだ幼い頃の自分には、家のまわりに存在しているそれらを当てはめていたのだろうなぁ…なんて思い出されて…
これは、「才能がある」ってことの悲劇性を描いた物語なんだ、と最近読み返して腑に落ちた。 物語はふたりの男をメインに据えて進んでいく。ひとりは、飛鹿乗りの戦士で、故郷を守るために戦い、破れ、奴隷となって働かされていたヴァン。もうひとりは高名な医術師であるホッサル。 正直、あらすじを述べるのは非常に難しい。国と国の関係、病、宗教、いろんなものが絡みついた物語だからだ。 だから、ある意味ではふたりの全く異なるところで生活し、異なる価値観を持つ男の人生が、とある病を起点にして一瞬交わる、そういう話である、と言うこともできる。 ふたりには、ぱっと見て、あまり共通点がないように見えるのだが、強固な共通点が…
守り人シリーズ3作目。以下あらすじ。 【夢の守り人】上橋菜穂子 【あらすじ】(公式サイトより) 人の夢を糧とする異界の“花"に囚われ、人鬼と化したタンダ。女用心棒バルサは幼な馴染を救うため、命を賭ける。心の絆は“花"の魔力に打ち克てるのか? 開花の時を迎えた“花"は、その力を増していく。不可思議な歌で人の心をとろけさせる放浪の歌い手ユグノの正体は? そして、今明かされる大呪術師トロガイの秘められた過去とは? いよいよ緊迫度を増すシリーズ第3弾。 以下、ちょっぴりネタバレ含む感想。 前作までの土埃漂う戦いの世界観とは打って変わり、花と夢の世界が織りなす美しいファンタジー! …かと思いきや、人の弱…
守り人シリーズ2作目。楽しみ!以下あらすじ。 【闇の守り人】上橋菜穂子 【あらすじ】(公式サイトより)女用心棒バルサは、25年ぶりに生まれ故郷に戻ってきた。おのれの人生のすべてを捨てて自分を守り育ててくれた、養父ジグロの汚名を晴らすために。短槍に刻まれた模様を頼りに、雪の峰々の底に広がる洞窟を抜けていく彼女を出迎えたのは――。バルサの帰郷は、山国の底に潜んでいた闇を目覚めさせる。壮大なスケールで語られる魂の物語。読む者の心を深く揺さぶるシリーズ第2弾。 以下、ちょっぴりネタバレ含む感想。 舞台は新ヨゴ皇国からカンバルへ。バルサの内面を掘り下げ、怒りと葛藤と向き合うことで過去を乗り越えていくお話…
和製ファンタジーといえば上橋菜穂子。鹿の王、 狐笛のかなたを読んだことがありましたが、守り人シリーズはあまりに長編なので尻込みしてしまい、いまだに読んでおらず。(昔ラルクがアニメの主題歌やっていたよね、くらいの認識でした) ついに読みました〜!以下あらすじ。 【精霊の守り人】上橋菜穂子 【あらすじ】(公式サイトより) 舞台となるのは、異界と人の世界が交錯する世界 ── 。 腕ききの女用心棒・バルサはある日、川におちた新ヨゴ皇国の第二皇子・チャグムを助ける。チャグムは、その身に得体の知れない”おそろしいモノ”を宿したため、「威信に傷がつく」ことをおそれる父、帝によって暗殺されそうになっていたのだ…
こんにちは!小町です。 先日このブログのPV数が2000を達成しておりました! 読者登録してくださっているみなさん、ふらっと読んでくださっているみなさん、 本当にありがとうございます。 読書記録的に書き始めたんですが、本との出会い、人生を助ける考え方と出会うきっかけに少しでもなっていれば嬉しいです。 貴重な時間を使っていただいていることに、身が引き締まりますね。 駄文が少しでも良くなるよう精進します。 今回は、久しぶりにファンタジーに舞い戻りました。 上橋菜穂子先生の「香君」です。 ハードの方は上下巻、文庫版は全4巻です。 (function(b,c,f,g,a,d,e){b.MoshimoA…
2025年の読書は『香君』からスタートしました。文庫版、全4冊。 表紙が春夏秋冬をイメージしており、とても素敵で見惚れてしまいます。香君1 西から来た少女 (文春文庫 う 38-2)作者:上橋 菜穂子文藝春秋Amazon 今回は植物や虫がメインテーマ オリエの生き様に感動 今回は植物や虫がメインテーマ 自然と食物連鎖を軸にしてる感じがありますね。それらを絶妙にファンタジーと融合させてるのは、さすが上橋さんだなーと思いながら読みました。虫が嫌いな人はちょっとしんどいかも。 バッタ怖い…。『精霊の守り人』シリーズよりも、『鹿の王』に近いかも。 ファンタジーの度合いは薄く感じました。先が気になってあ…
今の会社に勤めて数年。経営層や管理職、他部門との距離が近くなったことで、それぞれの『視座』の違いを今まで以上に感じるようになった。例えば、同じ業績報告や今期の着地見通しの数字を見ても、経営層、営業部門、経理、人事とで着目する点が違う。それぞれの『役割』や『立場』により異なるポイントを見て、その数字の良し悪しを図っている…といったところだろうか。この報告が何を意味するのか?何に活かすべきなのか。何を対策すべきなのかをそれぞれの視座で見て、次のアクションを打つ…といったことが日々繰り広げられている。 職場を例に挙げたが、これは家庭でも、また市政でも同様だろう。そして視座の違いや重要視している時間軸…
上橋さんの守り人シリーズはすべて大好きなのだが、なんといっても本書が一番好きだ。自分で買うまでは、図書館に行って目につく度借りていたので、母に「またそれ?」と笑われていた。 これは、本編では深掘りされないアラユタン・ヒュウゴという男の少年時代の話である。彼は大国の密偵として働いていて、本編でもそれはそれはスマートに、かっこよく、主人公を助けたり、助けられたりする。そんなヒュウゴの原点となる話が収められている。 このお話をこれだけ得難いものにしている理由は、やはりタラムーにあるだろう。見える人と見えない人がいる、不思議な生物。祖国を焼かれたヒュウゴを助けてくれたリュアンという女性は、このタラムー…
このシリーズの中でも印象が強かった「神の守り人」。もしかしたらこのあたりだけ実写ドラマを見ていたからかもしれません。チャグムは出てこないけど、このシリーズの特徴である「子供の命や運命が政治的に利用されるのを止めるバルサ」と言う構図はしっかり守られています。 大まかなストーリー ロタ王国にはロタ人と、日陰に暮らすタルの民、普段は呪術師として暮らしながらも影からロタ王国を支えるカシャル(猟犬)がいた。この構図は昔タルの民の中に血を好む恐ろしき神「サーダ・タルハマヤ」を呼び寄せてしまった者がいて、その神を当時のロタ王が成敗した時代から始まっていた。またロタ王国には豊かな南部と貧しい北部で対立があり、…