小学生の時、ごくたまに母親にドトールに連れて行ってもらえることがあった。ドトールは那覇に1つだけあって、ピアノ教室で那覇に行ったときのうち何度かに一度だけ、特別な時間だった。 母と半分こして食べるミラノサンドA。 中に入っているパストラミと生ハムはこれまでのわたしの人生の中で食べたことのない濃い味で、少しだけ硬いパンの食感と相まって、なんだか大人になったような気持ちがした。 あれから20年たった今でも、ドトールとミラノサンドAに触れると、背伸びした気持ちになる。 旅先の朝や、ふとしたときに立ち寄って一口食べると、一口目のハムの味が口に広がった瞬間、あの時の何か、自分がなんでもできるような、そう…