Mustafa Kemal(1881年〜1938年)
ケマル・パシャ、ケマル・アタテュルクとも。有能な軍人であり、トルコ共和国の建国の父にして初代大統領。「灰色の狼」
サロニカ*1に生まれ、12歳で陸軍幼年学校に進み、士官学校を経て将校に任官。
青年トルコ党に参加するが、どちらかというと軍務に重点を置いた人生を歩む。
第一次世界大戦においては、師団長として戦い、連合国軍のガリポリ上陸作戦を阻止して一躍時の人となる。パシャの称号を与えられ、将官としてコーカサス戦線の立て直しに成功、さらにシリア方面のオスマン軍を立て直したところで終戦を迎える。
敗戦国オスマン帝国は連合国によってかなりの国土を失い、あるいは占領下におかれていた。騒然とした世相下、ケマルはアナトリアにおいて主導権を掌握し、アンカラで開催された大国民議会において政権を樹立した。
その頃、ギリシャ軍は敗戦の混乱に乗じてアナトリア半島のイズミル(スミルナ)に上陸し、さらに内陸への侵攻を企てていた。ケマルは政府首班としての最初の大仕事としてこれを撃退し、政権基盤を確固たるものとした*2。
さらにオスマン帝国の政権およびスルタン制度・カリフ制度の解体を行ってトルコ共和国を確立した。
共和国初代大統領としては様々な非イスラム的な諸改革を断行*3、国民国家(世俗国家)としての近代トルコをほぼ一代にして完成させた。
アメリカ合衆国にたとえると、ワシントンとハミルトンとフランクリンの役割を一人で果たしたような存在。よってその権威は死後もなお絶大なものがある。