★★★★☆ あらすじ 赤い魚のペアを飼い始めた出産間近の夫婦を描いた表題作など、5つの作品を収めた短編集。メキシコ文学。 感想 表題作をはじめ、すべての短編で魚や猫、蛇といった生き物が登場し、登場人物たちと生き物の姿がどこか重なるように描かれていく。そんな中で印象的だったのは、2番目に収められた短編「ゴミ箱の中の戦争」だ。登場するのはゴキブリで、ただ存在するだけで駆除されようとするゴキブリと、親戚の家に預けられ居心地の悪い思いをしている主人公の少年や、存在感を消してひっそりと生きている家政婦の年老いた母親の姿を重ねている。 内戦の被害者を見るような好奇の目でこれまでぼくがながめてきた、離婚家庭…