かつて、映画は「動くこと」そのものだった 映画とは何か: フランス映画思想史 (筑摩選書) 作者:三浦 哲哉 筑摩書房 Amazon 三浦哲哉の『映画とは何か フランス映画思想史』(筑摩選書)は、タイトルが示すとおり、映画と言ってもフランス映画の本である。 つまりアメリカ映画の話は載っていない。 ではこの本はフランス映画という狭いジャンルについての本なのかと言うとそうではない。 この本はつまり、伝統的にフランス映画が追求してきたようなタイプの、映画の本質的なものについて書かれた本なのだ。 映画が発明された時、人々は映像が動くことそのものに感動した。駅に入って来る列車や、風にそよぐ草の動きが映画…