晴れ。長期休暇の初日。 駒場の前田侯爵邸の敷地内にある日本近代文学館に出掛ける。『ヴィリエ・ド・リラダン移入飜譯文獻書誌』の閲覧が目的である。CiNiiで検索したのであるが、公の図書館には一切所蔵がなかった。斯様に貴重な一册が、何故この文学館にあるのか。著者の小野夕馥氏が書誌編纂のために此処をよく利用していた為だそう。本に謹呈文が挟まっていた。 この書誌の中に、「斎藤磯雄とカトリシズム」という文献を見つけた。二人の学者の対談を記録したものである。面白いエピソードを幾つか読んだ。 ・齋藤磯雄氏には20歳程年の離れた長兄が居り、長兄は帝国大学で学んでいたが、病で帰郷。無教会派のクリスチャンであった…