人間の束の間の性と生のタンゴを描く映画に、やらせなしの本物のレイプシーンがあったとしても、ベルトリッチ最大の傑作には違いない! (評価 80点) 名前も知らない男と女が、お互いの存在を確かめ合うように、アパルトマンの一室でその肉体を貪りあう。それは、まさに人生のラストタンゴなのだ。 顔と肉体がグニャリとひしゃげた男がソファーに寝そべるフランシス・ベーコンの一枚の絵。その静止映像に、ガトー・バルビエリによるジャージーなリズムとともに絶妙なサックスの音がかぶさるオープニング。初見の時、このオープニングに陶然とさせられて以来、本作を何度見たことだろう。 そんな本作は、アングラ映画監督の恋人との結婚を…