訓読 >>> 1738しなが鳥 安房(あは)に継ぎたる 梓弓(あづさゆみ) 末(すゑ)の珠名(たまな)は 胸別(むなわけ)の ひろき吾妹(わぎも) 腰細の すがる娘子(をとめ)の その姿(かほ)の 端正(きらきら)しきに 花の如(ごと) 咲(え)みて立てば 玉桙(たまほこ)の 道行く人は 己が行く 道は行かずて 召(よ)ばなくに 門(かど)に至りぬ さし並ぶ 隣の君は あらかじめ 己妻(おのづま)離(か)れて 乞(こ)はなくに 鍵さへ奉(まつ)る 人皆の かく迷(まと)へば 容艶(かほよ)きに よりてそ妹は たはれてありける 1739金門(かなと)にし人の来(き)立てば夜中(よなか)にも身はた…