優曇華はインドの想像上の植物で、三千年に一度花をつけるとされており、「優曇華の花待ち得たる心地して深山桜に目こそ移らねと聞え給へば」と『源氏物語』に出てくる。
滅多にないものの例え。活用例は盲亀の浮木の項を参照。
クワ科の常緑樹、Ficus glomerataに比定される。この樹は無花果の一種で、毎年開花はするが、その花は外部からは見えなかった。 中国ではMagnolia delavayi(山玉蓮)の事とされる。
昆虫クサカゲロウの卵塊。地域によっては吉兆、凶兆とされる。
🪻病から回復した源氏【源氏物語 65 第5帖 若紫9】 夜明けの空は十二分に霞んで、 山の鳥声がどこで啼《な》くとなしに多く聞こえてきた。 都人《みやこびと》には 名のわかりにくい木や草の花が多く咲き多く地に散っていた。 こんな深山の錦《にしき》の上へ 鹿が出て来たりするのも珍しいながめで、 源氏は病苦からまったく解放されたのである。 聖人は動くことも容易でない老体であったが、 源氏のために僧都の坊へ来て護身の法を行なったりしていた。 嗄々《かれがれ》な所々が消えるような声で 経を読んでいるのが身にしみもし、 尊くも思われた。 経は陀羅尼《だらに》である。 京から源氏の迎えの一行が山へ着いて、…
優曇華《うどんげ》の 花まち得たる ここちして 深山《みやま》桜 に目こそ移らね 〜源氏の君の来訪は、 優曇華 うどんげの花が咲いたかのような心地がして、 山桜には目もとまりません。 ✳︎優曇華→インドの想像上の植物。三千年に一度 花が咲くという。 🪷第5帖 若紫🪷 京から源氏の迎えの一行が山へ着いて、 病気の全快された喜びが述べられ 御所のお使いも来た。 僧都は珍客のためによい菓子を種々《くさぐさ》作らせ、 渓間《たにま》へまでも珍しい料理の材料を求めに 人を出して 饗応《きょうおう》に骨を折った。 「まだ今年じゅうは山籠《やまごも》りのお誓いがしてあって、 お帰りの際に京までお送りしたいの…