【書】『嵯峨日記』 13(No.1,977) 「二十六日 芽出しより二葉に茂る柿ノ実 史邦 畠の塵にかゝる卯の花 蕉 蝸牛頼母しげなき角振て 去 人の汲間を釣瓶待也 丈 有明に三度飛脚の行哉らん 乙」 (訳:二十六日 芽出しより二葉に茂る柿の実(柿の実から出た芽生えがもう二葉に茂っていることだ) 史邦 畑の塵にかゝる卯の花(白い卯の花が黒い地面に散りこぼれているのが、畑の塵のようだ) 蕉 蝸牛頼母しげなき角振て(卯の花の咲くあたり、かたつむりがやわらかい角を、出したり引っこめたり、たよりなさげなさまである) 去 人の汲間を釣瓶待也(釣瓶井戸の水を汲みに来て、前の人が汲みおわるのを待っている) …